2014年8月20日水曜日

怒られたドクター

    


         夏休み中ですが血腫のおじいちゃんの話が途中だったので
   最後まで書いちゃいますね。


             綾ちゃんが別の患者さんの施術を終えて出てくるとドクターは
   すっかり落ち込んで憔悴した様子だった。はは~ん。おじいちゃんに
   手こずったんだな。無理もないや。あのものすごい呻きは
   ただ事じゃなかったからね。  



                『いやあ、ヨシオカさん、おじいちゃんに怒られちゃいましたよ。
    彼はとても心を傷つけられたと言ってものすごく怒って
    帰っちゃいました。来週次の予約が入っているんですけど
    来てくれますかねえ?』



          結局おじいちゃんは3度目の鍼を受けずにドクターを叱り倒して
   去って行ったらしい。



           ????? で、でも、な、なんかずれてないか? 全体として論点が
   よくわからんぞ?


            大体、おじいちゃんは何に対して怒ったんだ?そして一体何に傷ついたの?
   ドクターは何故落ち込んでるんだ?患者を一人失いそうだから?



                 綾ちゃん的にはちょっと意味不明。まあ、何となくわからないでもない
   カンジではあるけれど、、、。




                                      (写真は出発の汽車)



2014年8月19日火曜日

夏休みのお知らせ






         綾ちゃんは夏休み。




      明日から一週間。オーストリアのリゾート地へ。
      


      帰って来たら一日半おいて今度はロンドン一週間。



      9月の2週目からブログ再開予定です。


      上手くいけば途中で携帯からアップしますね。


      皆さん夏休みの残り、お元気にお過ごしください。




        






         

2014年8月17日日曜日

悲痛の叫び

        


         『ほ、本当にドクターがそう言ったんですか?後生だからもう助けて下さい。
   おおお!おおお!うおおおお!!』




            ああ~あ!!唸り出しちゃったよお。獣みたいに叫び続けるおじいちゃんに
   怯え、慌てて報告に向かう。今日は病院は超満杯。全室患者さんでふさがって
   いてそのうち一人は初診の方。




             『あのお、おじいさん、随分お辛そうなんですけどどうしてももう一度
    鍼を打たなければなりませんか?』




           ドクターもあっちに行ったりこっちにきたりで大わらわ。

                『あ、そうね。もうちょっと待っててもらって。』



          ドクターがたったこれだけのことを言い終わらぬうちに呼び鈴がわんわん
  鳴る。おじいちゃんだ。あのお、ドクターがやっぱりあと少しだけお待ち
  下さいって。




          なんて綾ちゃんの言葉も耳に入ってないみたいにうおお、うおお、と獣の
  唸りは続く。綾ちゃんがドアを出て別の患者さんのところに行こうとすると、
  またしても呼び鈴。おじいさん。あれから2分も経ってないぞ。
  一瞬、次の行動を迷ったが廊下に出てきたドクターと目があって目配せして
  自分の持ち場に行った。ドクターが自分であの惨状を目にするべきだ、うん。




       

           足つぼは意外に鍼を打たれても痛くない。
           でも京骨(けいこつ)は刺されるとき結構くる。
           マッサージにはとてもいい場所。



2014年8月15日金曜日

田舎の接待・病院編




           このテの偏屈じいさんにはこちらも翻弄されっぱなしなんだけど、
  とにかくイカンのは病状にまるきり回復の兆しが見えないことで、
  こちらとしては全力前進で出来うる限りのことをする。



            他所がどうなのかわからないけれど、例えば患者さんを仰向けに
  寝せた状態で鍼を打ったあと、20~30分後に一度鍼を抜いてから
  体位を変えてもう一度別のツボに鍼を打つということをうちのドクターは
  よくやる。



   時間も手間もかかるけれど患者さんの時間が許すならば一回一回の治療を
  ものすごく丁寧にやるのはいつも変わらずドクターの偉いところだ。
  4つの治療室が満杯で大わらわでも絶対手を抜かない。

             ある時、ドクターが綾ちゃんに



             『ハイ、あのおじいさんの鍼を抜いて来てください。でもまだ
     待っててもらって。もう一度鍼を打ちます。』



             ぎょぎょ!もう一度、ですか?思わず綾ちゃんは確認をとった。
   だってこれから抜くのは2回目の鍼。も一回ってことは3回目ですよ。
   あれだけ騒がれるのに?まじですか?



        いやはやこれぞ医療界の「田舎の接待」

         

患者さんに手作りクッキーをいただいた。
材料は全部有機農法の由緒正しいものだって。
30個くらいもらって綾ちゃんがこれだけ
残りは現在病院でバイト中の息子が食べた。


2014年8月14日木曜日

ホラーな風景は避けたい

    




       「痛み」というのは実はとても望洋とした概念で客観的に測ったり
  できるものではないから面倒だ。



           頭に刺す鍼は意外にへっちゃらだ。頭痛、不眠、不安症状に必須のツボに
  百会(ひゃくえ)、風池(ふうち)などがあるがここは患者の側から
  見えないという心理作用も相まってか痛がる患者さんを見たことがない、、、、
  っと、なかった。


        
どちらも押すととても気持ちいいツボ




          まあ、このおじいちゃんは病位がずばりアタマだから自然頭部に刺さる
   本数が多い。(ちなみにお灸も目とその周辺部位だから火傷をさせないよう
   ものすごく気を遣う。危険だから普段はドクターご本人が自らなさる。)
   これもものすごく痛がる。

             頭は鍼を抜く時に出血しやすい場所でもある。出血自体は
   さしたる問題ではなく綿で押さえればすぐ止まるし腫れたりすることもない。
   でも綾ちゃんが出血に気付かなかったり出血のタイミングが綿で押さえるより
   ビミョーに後だったりすると患者さんがだら~っと頭から血を流しながら
   服を着て出てきたり、最悪、頭からだらだら血を流しながら街中を練り歩く
   ホラーな風景を演出してしまう訳で、この失敗を何度かやってしまった(!!!)
   綾ちゃんとしては気を付けざるを得ないのだ。が、このおじいちゃんは
   綾ちゃんに消毒綿で(予防的)止血するヒマを許しはせず、とにかく
   一刻も一瞬でも早く鍼を抜いてくれと大騒ぎする。



              『いいんだ!いいんだ!そんなの』



          だが綾ちゃんの経験上、お年寄りなど血液循環の良くない人の方が出血しやすい。



          おじいちゃん、あなたなんて2本に1本の割合で出血しているんだから
  ほったらかすとものすごいホラーじいさんが出来上がっちゃうってば!








綾ちゃん休日ランチシリーズ。
お留守番2人組(ママと下の息子)で
ムール貝のタリアッテレ

そろそろ貝の季節




2014年8月13日水曜日

ペルセウス座流星群 






     今日、8月12日は旧暦だと7月17日なのだそうだけど
    年に一度の天体ショーの行われる日だということを考えると
    まさしく今夜が本物の七夕と言えるでしょう。



           ペルセウス座流星群





      流れ星が一挙に見えるというこんなロマンチックな日ですが
     ミュンヒェンは無理、ダメです。




      先週の時点から、12、13、14日は全て大雨と
     予報がでていましたからね。




      でも今日はなぜか雨は結局ほとんど降らず(一滴ほど感じた
     瞬間があった)お洗濯までしてテラスに干してしまった
     綾ちゃんとしてはちょびっと期待が残っていたのだけれど
     じぇんじぇん無理。




      綾ちゃんは田舎町に住んでいるので普段はそれはそれは
     星空がきれいです。なのにこんな日はだめなんですねえ。





      日本の皆さん、是非頑張って天体観測をなさってくださいね。





ジャコビニ彗星の日


「夜のFMからニュースを流しながら
部屋の明かり消して窓辺に椅子を運ぶ。
小さなオペラグラスじっと覗いたけど
月を滑る雲と柿の木揺れてただけ。」


今日の一曲はこれ以外あり得ない。ユーミン、やっぱり天才。

2014年8月12日火曜日

鍼を刺すと痛い部所、痛くない部所

         




     とりあえず勤務開始時間の8時まで待ってもらって(ドクターだってまだ
  いらしてない)指圧開始。



             綾ちゃんがおじいちゃんの足を綺麗に拭く(衛生上ね)あたりから
  神経質に何度も腕時計を覗き込む。ううん、これはちょっと失礼な動作。
  綾ちゃんがちゃんと指圧時間をサバ読んでないか測っているのか?



              確かにマッサージの人とかでこういう場面で時間をサバ読む人は多い。
  綾ちゃん自身が患者やお客になったときたくさん経験している。
  プロの理学療法士(ドイツ人またはこっちの人)なんか何度も呆れるほどいい加減な
  仕事ぶりに出会った経験がある。綾ちゃんはそんなことしませんよお!だ!
         と、燃えに燃えて足つぼを圧していたら




                     『もう30分過ぎたよ。終わってくれよ。』



              え??そうなの?なんだ、早く終わって欲しかったの?普通患者さんは
   鍼は嫌でもマッサージは長くして欲しがって処置に困ることも多いと
   いうのに。


              じゃあ、と切り上げてドクターにバトンタッチ。鍼はうちの場合普通
  (最低)30分なんだけどこれも時計とにらめっこして鍼を打ち始めた瞬間から
  カウント始めている。
  ドクターが鍼を打ち始めるとかなり痛いらしく足などは痙攣することもあるし
  ひと鍼ひと鍼ごとにうめき声があまりにも可哀想。



   患者さんがあまりにも苦痛な時は無理強いなんて絶対しない。
  逆効果になるからね。



   でも患者さんも必死だから止めないでくれと懇願。



   綾ちゃん自身もこれまでたくさん鍼を打ってもらってるからどのツボが
  痛くてどれがどうってことないか知ってるつもりなんだけど
  このおじいちゃんはどれもこれも滅茶苦茶に痛むみたい。




          

例えば合谷(ごうこく)
ここはいつ打たれても痛い。
鍼を抜いた後も痛みが継続する場所だ。




2014年8月11日月曜日

曖昧模糊とした「痛み」




       事の是非はともかく西洋医学ではお薬ひとつ出せばそれで終わってしまう。
  「痛み」というのは実は大変奥が深くまたヴァリエーションの域もどこまでも
   広いからアスピリンやらで片付けることができるやり方は綾ちゃんたち
   自然療法側からすると嫉妬を覚える簡便さだ。



          頭痛ひとつとっても西洋医学的に様々な類別があり(綾ちゃん的には
   こういう分け方に何か意味があるのかよく理解らんが、まあ、危険な
   兆候もあるからね。)原因別、部位や症状別とお薬のランク別で
   目が回りそうだ。



           そして原因と痛みの因果関係がないケースも決して少なくない。
   心因性のものも多いし習慣性の原因のない痛みさえある。


              実は「鍼」もちょっぴしアブナイ。鍼のもたらす精神的な恐怖は
   意外に大きいのだ。



              眼底出血のおじいちゃんはまさしくこのループに陥ってしまったようだった。



        
痛散湯というのは
   中国古典「傷寒論」に載っている
超スタンダードな痛み止め。
これは効きます。


2014年8月10日日曜日

クロスワードパズル、SUDOKU、そしてスマートフォン

          


      『アンタ、ドイツ語わかんないんだろう?それとも耳が遠いのか、
     どっちなんだ!』




              リアクションが一歩遅れると罵声が飛んで来る。綾ちゃんは
     こ、この状況でどう対応したものか俊巡していたのだ。眼底出血の
     おじいちゃんは意味もなくオープンの30分前にやって来て(7時30分、
     つまり綾ちゃんの就業開始時間だ。)苦しみを訴える。
     夜眠れないからね、夜が明けるのを待ちわびてやって来た様子が
     目に浮かぶ。



      綾ちゃんは話を聞いてあげたいけどここで朝の準備を怠ると
     そのあと一日中仕事に支障をきたすのでとりあえずほったらかす。
     椅子を勧めてお茶を淹れたらソッコーで朝の支度に取り掛かる。
     (ちなみにドイツの普通の病院だと開院時間外は一秒たりとも
     患者を中に入れてくれない。)
     するとおもむろに新聞を取り出して裏のクロスワードパズルを始める。
     おお、ドイツ人!!!




              余談だが「クロスワードパズルに熱中する姿」というのはここ
      7、8年前まではドイツ人の超典型的時間つぶしの姿だった。
      朝の電車、病院の待合室、公園のベンチ。漫画を読んでる人なんて
      一人もいない。新聞を読むか小説を広げるか暗記物のお勉強にいそしむか、      あとは皆クロスワードパズルに夢中だった。

          
          





      が、突如として革命が起きたのは10年ほど前のことだ。
     あれほど人々を熱中させたクロスワードパズルより面白い一人遊びが
     広がったのだ。それがSUDOKU。手軽さといい、難度の具合といい、
     ヴァリエーションの豊富さといい、全てドイツ人のニーズにぴったり!

         





             けれどそれはとても短い期間だった。今、人々は電車の中で
    SUDOKUをしているのかなんだかよくわからない。
    スマートフォンやタブレットだからね。新聞を読むのも小説を読むのも
    ゲームするのもスマホだと「携帯」の一語で片付いてしまってつまんない。
    (ちなみに私見によればおじさん、おばさん族のひまつぶしは圧倒的に
    ソリテイアかテトリス。ゲームも古典が強い。)かくいう綾ちゃんも通勤電車で
    ブログ書いてるしね。
  


            だから、病院にやって来て新聞のクロスワードパズルを始めた
    おじいさんの姿は圧倒的なものがあったのだ。



             おそらく彼は携帯を持っていない。老人の一人暮らし。連絡をとる相手も
    いない。携帯を持つ必要性を感じないのだ。



           綾ちゃんはやむなくこの翌日からあと30分早起きして(サービス出勤さ)
    早く来るおじいちゃんを待ち受けることにした。
    どこまでもやってやろうじゃないのお!!




           

                ソリティア




           

               テトリス  シンプルイズベストだな。
            ちなみに綾ちゃんはゲームしません。







          

2014年8月9日土曜日

代表選手





              病気の種類はごまんとあるけれど、「症状」の種類は限られている。
  吐き気がしたり咳がでたり、めまいがしたり痺れたり。
              そのなかでも代表選手は「痛み」だ。「痛み」の中にありと
  あらゆる種類がある。



             漢方などの自然療法だと患者の体質、性質(いわゆる「証」)をみて
  患者の身体の状態から症状の原因を取り除こうというやり方なので、
  眼底出血のおじいちゃんのように原因が明白で更に状況が絶望的なケースでは
  苦戦を強いられる。



            そしてこのおじいちゃんはものすごく口が悪い。



              もともと「キツい」方なのだろうとは思うけれど、それだけではない筈だ。
  想像を絶する痛みに何ヵ月も苛まれ明るい展望が何一つ無い状態は
  今や人生から拷問を受けているに等しい。

         最近綾ちゃんは朝、あのおじいちゃんが来る日だと思うとそれだけで気が重い。




ミュンヒェン大学の前を久々に通りかかってパチリ。
おお、懐かしい!


2014年8月8日金曜日

ありがたい「痛み」

        


           症状はありがたい。



           症状があるから私たちは身体の不調に気付くことができるのだ。



          身体が痛むからといって痛み止めの薬を飲むのは、例えば家が火事に
   なって警報器のアラームがわんわん鳴っているのに火を消し止めようと
   しないでアラームの方をぶち壊して「ああ、もう大丈夫」なんて言ってる
   ようなものなんだ。この例えは由井寅子さんの著書の受け売りだけどね。



             そうは言っても耐え難いのが痛み。




              漢方・中医学では「痛み」治療としては鍼やらお灸、漢方薬と
   スタンダードにあの手この手あるんだけど、正直、毎日苦戦を
   強いられている。



    シビアな患者さんが多くって。



            今、うちに毎日のように通いつめてらっしゃるおじいさんは眼底出血で
   頭の奥に血腫があり、その圧迫痛で割れるように頭が痛む。医学ではもはや
   手の施しようが無い状態。手術をしようにも位置が悪すぎる。寝ても覚めても
   割れるように頭が痛む。既にモルヒネ以外に頼る手段がなく「窓から飛び降り
   自殺したくなる」レベルということだ。



          もう、そばで見ているこちらも心が痛む。原因が明快でさらに取り除く
   可能性が無い。もはや「ありがたい」などと悠長なことを言ってられない。






バイエルン州政府


2014年8月7日木曜日

痛みとの終わりなき戦い




             病気というのは症状が不快だから治したくなる。




                とてもシンプルな真実だ。




              誰しも乞い願わずにはいられない。ずっと元気で苦労もなく
     晴れやかに日々を送り幸せな老後を迎え、ある日静かに「お迎え」が
     来る。90歳くらいまで生きれたら本望だろうか。老衰、なんて言葉には
     近年めったにお目にかかれないけれど。




      不快な症状のナンバーワンは「痛み」。




      痛みは最もシンプルな身体の不調のサインだ。毎日どれだけ
     たくさんの痛みを抱えた患者さんと出会うことだろう。
     そしてとても厄介な主訴でもある。







ミュンヒェン民俗博物館入り口階段の額
江戸時代のものらしい。




2014年8月6日水曜日

今度は百足(ムカデ)?


                   久々に漢方薬ネタです。




        よく患者さんで漢方薬の処方箋の実際を詳しく知りたいとおっしゃる方がいる。




         気持ちはすごくよくわかるけど知らないほうが幸せってことも多いよ。実際。
 ていうか、知ってしまうと絶対飲みたくないと思って売れなくなっちゃうよね。




           初期の風邪薬とかだと身体を温めたりする植物の組み合わせが多くって、
  みかんの皮だのナツメだのシナモンだのって説明するほうも心安いけど、
  そうもいかない生薬がほとんど。




          冬虫夏草とかキハダとか杜仲みたいに日本ではある程度知名度のある薬品も
 ドイツではラテン語や植物辞典の絵を見せながら教えてあげることもある。
 まっ、いずれにせよ植物由来だと気はラクだ。




                問題は「イキモノ系」だよなあ、やっぱ。






蜈蚣(ごこう)と読みます。
竹ひごの様なものにまっすぐに
貼付けてある。



                  あああ~!!!こっ、これはあ!まさかああ!

                現在ドクターの奥様が中国に帰省中で準備が足りなかったとみえる。
    いつもは粉末状なので「ブツ」を見たことがなかった綾ちゃん。
    うわわわわ。ご、蜈蚣ってムカデのことだったの??
    こっ、これ、ミキサーにかけるんですよね。
              大急ぎで粉砕機にかけ別包にて患者さんにお渡しする。この人は、
    た、帯状疱疹の患者さん。かなり重症でいらっしゃる。


                お願い、聞かないで!この薬、何なのって。





ぴよ〜ん。写真撮影のため二匹取り出してみました。





うちに帰ってネットで検索した。
帯状疱疹の特効薬って書いてあった。



2014年8月5日火曜日

平和への祈念





               急に出演依頼が来た。


                Emflosajiカルテット。



            イスラエルへの遠征公演を予定していたプッフハイム・ユースオケ
    キャンセルとなり、代替として主催者であるD・バレンボエム財団が
    ミュンヘンの中心部、イザール川そばの聖ルーカス教会をコンサート会場に
    してくださった。

 
ルーカス教会



              プッフハイムは綾ちゃんの住む町から遠からぬ小さな小さな田舎町だが
    ユースオケのレベルは高く指導者のミヒールセン御夫妻の音楽性の高さ、
    指導力の質が伺われる。今年もイスラエルのユースオケフェスティバル
    (コンクール?)に参加予定であった。



              が、会場は例のガザ地区に遠からず。もちろんフェスは中止。





リハの様子




              平和祈念となったチャリティーコンサート、オケの曲の合間に
     (編成を替えるため)カルテットに演奏して欲しいとのこと。
     ハイ、光栄このかたないです。


 
               実はうちの二男を除く他三人のカルテットのメンバーはこのオケの
     若きエースたち。3年前、我が家がこの地域に越して来たときから
     色々な接点がありちょこちょこお付き合いがあった。




              去年の音楽コンクール弦楽ソロ部門の州大会でまたオケの
     メンバーに再会。カルテットの打診を受けてからまたしても
     プッフハイムの人々とのお付き合いが始まった。






          今回は本当に急ごしらえで三日前から慌てて連絡を取り合って
      急遽練習を再開したような感じで大丈夫かなと心配したけど
      お陰様でブラボーとアンコールの嵐でした。ありがたい限りです。





カルテットのリハ






壮麗なる教会内部
本番は満員御礼でした。



          ミュンヘンの都心部の教会だったので仕事上がりのドクターと
      りんちゃんを誘ったらお疲れにも関わらずやって来て下さった。
      本当にこの日は病院忙しかったんだよお!綾ちゃんもへとへと
      だったのにわざわざ来てくださって本当に本当に
      ありがとうございます!!!





コンサートの後ドクターがごはんをごちそうしてくれた。
右が綾ちゃん、真ん中がりんちゃん
Foto by Doctor



              ドイツでもイスラエルの戦争の様子は連日報道されている。
      心痛むことだらけだ。




           音楽で少しでも優しい気持ちが増えていきますように。





「持ち曲」となったハイドンとシェスタコービッチ
頑張って弾きました。





2014年8月3日日曜日

元気でね、モト、お父さん?




           お向かいの御主人を最期に見たのは確か4月の頭だった。

            お向かいさんとはほとんど付き合いらしい付き合いをしていない。
   ほぼ同時期に引っ越してきて同じ敷地内に住んでいる(大家はお隣)が、
   なんというか家のカラーというものがあってうちとあっちは共通項の
   ようなものが無いので何となく積極的に話しかける感じじゃなくって
   ついに3年目に突入した。



            別に日本でだって珍しい話ではないだろう。でもヨーロッパ、いや、
   綾ちゃんの理解するヨーロッパは社会階層格差が日本よりずっと露骨な世界だ。
   向こうも綾ちゃんたちをスノッブな日本人野郎と思っていたかもしれない。



             仕事の多くない大工(大家情報)らしい御主人は、そうは言っても気のいい
   オヤジで綾ちゃんに会えば必ず挨拶してくれたし話かけてくれることもあった。
   奥さんと娘(うちの二男よりひとつ年下)はさっぱりなんだけど。



                だけど去年の今頃から、いつ見ても酒を飲むようになった。いつもお庭で
   ビールを飲んでる。綾ちゃんが午前中お出かけしようと駅に向かうと駅そばの
   キオスクで飲んでることもあった。


                  そして夏休みも終わろうとする去年の8月の末のある晩のこと、ものすごい
   怒声が聞こえて慌てて窓やドアを開けて何事かと思った矢先、隣のオヤジが
   お客さまらしきおじさん(そこの庭先でよく見かけるから同僚?)をどかあんと
   殴り付けている現場を目撃する羽目に陥ってしまった。




     警察沙汰にまでなってパトカーがやってきて大騒ぎになった。




     あのあと2件隣の奥さんからは


      『ああ、お隣がお宅だったらよかったのに。あんな暴力亭主と
      顔つき会わせるなんて。』




     なんて愚痴いわれたりして(通報したのはこの奥さんか??)いた。




     そしてふと気がついたらお向かいのご主人の姿をとんと見かけなくなった。
    奥さんと娘はいる。普通に生活している。



     どうやって生活してるんだろう。あの奥さん、どうみても専業主婦。
    家賃は?生活費は?



     その答えを今日見てしまった!お庭で新しいお父さん役をやっていたのは
    去年殴られていたあのおじさんだああ!!





         そうか、だから殴られたんだ。人生、辛いもんだ。




         元気でね。モト、お父さん。






         


ここはミュンヒェンの中心地に近い
聖ルーカス教会


向かいはイザール川




2014年8月1日金曜日

月面世界の裏側





                       ミュンヘンは夏!



           芸術の夏!かどうかはわからないけれどミュンヘン美大(芸術アカデミー)が
  学生の展示会を行うというので行って来ました。美大に足を踏み入れるのは
  初めて。ミュンヘン大学(LMU)とミュンヘン音大にはしょっちゅう足を運ぶけど。




          いやはや、汚いとこだなや、美大っちゅうとこは、、、。というのが綾ちゃんの第一声。音大や総合大学と同じレベルのお掃除では間に合わないんだなっこりゃあ。あちこちにペンキやら資材のゴミが散らばっていて、この学校のトイレには絶対寄りたくないと思ってしまう。
歴史があって外観は美術館のように壮麗で立派なんだけど。


      ところで綾ちゃんが今回美大に来たのはアルバイトのりんちゃん(仮名)が美大生で
 彼女の作品を見るためなんだ。りんちゃんは彫金科。アクセサリーとかの製作を
 してるんだって。




           彼女のクラスのテーマは「月の陰」。





            陽の当たらないひよっこの芸術家たち。






     是非彼らの作品にスポットライトをあててくれということで
    いきなり真っ暗な部屋に月のオブジェがどおおん。





例えばこのおじさんも月を一生懸命観察して
帰っていった。




            !!!?ほとんどのお客さんはこの月がメインだと思って帰ってしまった。


           りんちゃんの作品はどこだ?お月様をぐるっと回り込んで真っ黒な影の部分に
   やっと見つけた。備え付けの懐中電灯を押すと小さな装飾品が姿を現す。
          いや、これは凝りすぎて普通客はここまでたどり着けんって。






錫の作品で「私は花瓶ではありません」
というタイトル?

花瓶を作るのと同じ行程で途中まで作ってから
崩したんだって。




他の学生さん。
一度りんちゃんが病院に連れて来たことのある娘の作品。