2015年10月31日土曜日

外れた予測






今日もレミエル嬢がやってきた。



タッパーを預かって弁当屋の仕事をしていると(病院の日常的風景?です)
ドクターの奥様がやってきた。



『こんにちは、ヨシオカさん。あれ?お弁当?ああー、今日も
来てるわねえ、例の彼女。大変ねえ。味覚障害なんでしょう?』




は?奥様、誰の話をしてらっしゃるんですか?何?レミエル嬢?
味覚障害なんてそんな話聞いたこともないしカルテにも載っていない。
どっからそう来るんですか?



『本人に聞いたのよ。あなた、毎回お弁当だけどちゃんと食べてるの?
好き嫌いしてるんじゃないの?って。だいたい何でそんなにガリガリなの?
しっかり食べればいいじゃないって!』




はー、さすが奥様。綾ちゃんが腫れ物に触るようにそろそろとアプローチを
行い、ちろりと伸ばしてはまた引っ込めるナメクジの触覚戦術?を
繰り広げる一方でダイレクトに意見陳述なさったわけだ。
あなた、どうしてそんなに痩せてるの?って。



そして綾ちゃんの知らぬうちにレミエル嬢は奥様にすっかり心打ち解けて
何でも喋る関係になっていたのだった。




す、すごい!








もう一人のモーツアルト?


2015年10月29日木曜日

ノイベルトさんのコンサートに行ってきましたー!


ピアノコンサートに行ってきましたー!





楽しみにしていたコンサート。行ってきました。
ハズレ無しと解っているので綾ちゃんも気合い入れて予習していきました。



ミュンヘン王宮内にある王宮聖教会。
日本人の知っている顔もたくさんいました。


もう、大感激!大興奮の嵐!でしたー!行ってよかったー!


何が素晴らしかったって、全部なんだけど、特にラベル!


ラベル大好き綾ちゃんのくせに不覚にも「クープランの墓」はこれまで
一度もちゃんと聴いたことがなかった。こ、こんな名曲だったなんて、、、。



いえいえ、これはもちろんピアニストが素晴らしいからです。



良い音楽家とは、演奏後に「彼(彼女)は素晴らしい!」と言わせる
プレーヤーではなく「こんな曲を作るなんて、なんて素晴らしい作曲家なんだ!」と
言わせる人をいうのである。【綾ちゃん夫の言】


綾ちゃん夫は時々名言を吐く。


バッハに圧倒され、アルバンベルクに驚かされ、ラベルでは思わず
涙しそうになった綾ちゃんでした。




そしてラストのシューベルト、これは綾ちゃんお気に入りの一曲。
不可解で謎めいたソナタと言われるシューベルト渾身のラストソナタですが
シビれたー!ザ・ロマンティツクの粋!


よくこれだけ時代やキャラクターの違う難曲をそれぞれの色に
弾きこなすものだとほとほと感心しました。



コンサート後楽屋に訪ねて行きました。
滅多に外出しないムスコ1と。大切なコンサートの前などに
頼み込んで2度ほど特別レッスンをしてもらったことがあるニワカ師弟。
このムスコ1より年上のお嬢さんがいらっしゃるなんて思えない
若さと美貌をお持ちのノイベルトさん。(お嬢さんは受付にいらした。)


素晴らしい感動をありがとうございます!!







2015年10月28日水曜日

好きとか嫌いとか






うちは精神疾患の専門ではないから、漢方、鍼で患者さんの身体的疾患を
取り除くついでに心休まる作用があったりする程度なんだけど
「気」の流れを整えるというのはつまりは精神的にも落ち着くとこへ
行くはずだから、うちで治療を行うとまず気分が良くなって(残念
ながら反対の時もあります)後から症状の改善がやって来るケースも多い。



以前にもうつ病の患者さんたちの話で書いたと思うけど、精神疾患が主訴のケースは
苦戦する。まず患者さんが「通って」来てくれるかどうかが大問題だし。
うつ病なんて何かしら行動を起こすことが億劫な病なのに、うちは
薬を渡してハイ終わり、というわけにはいかないもんなあ。次、来てくれるかなあ。
お金もかかるし。
アルタナテイーフ(代替療法)を選ぶまでに財政的に破綻しているケースも
少なくない。(精神疾患が漢方で改善できないと言ってるわけではありません。
念のため。重症患者は時間がかかるのがミソなんです。)



だからとにかく通ってくださっている方はそれだけでエライ!と思う。
うーん、初診の際に彼女が挙げた症状のどれかでも改善できていれば
そこから突破口が開けるかもしれないんだけどなあ。


綾ちゃんは病院勤めを始めてからいつの間にか他人を見るときに「好き」
「嫌い」という尺度で測らなくなった。ああ、この人は面倒臭い、とか相性が
悪い、と思う人は存在する。でも職業上の習性はプライベートにまで
影響を及ぼし、いやー、今、目の前の人に何ができるだろう、と
考える癖がついた。
レミエル嬢は、もし、この人と個人的な知り合いだったらとてもじゃないが
付き合えんタイプの人だと思うんだけど我ながらがっつり
彼女に食らいついていくなあ。



まだまだ先は長いぞ。








新種モーツアルト発見!


2015年10月27日火曜日

見られたくないこと




    アノレクシア(Anorexia nervosa=拒食症)ブリミエ(Bulimia nervosa
   =過食症)は、要は同じ摂食障害なんだけどブリミエは食っちゃあ吐きだから
   食道炎なども併発する。胃酸で歯もやられる。






    そして食べる現場を人に見られることを極端に嫌う。
   尋常でない量食べるし他人に見られていると吐きに行けないし。





    合致してるなあ。歯医者にも通ってるって言ってたし。
   レミエル嬢はドクターがどんなに勧めてもお茶もお水も口にしない。
   そのくせがっつり食料は持ち帰りたがる。




            そして異常に痩せている。






    彼女くらい意固地なひねくれ者だと(すまん!だが本音だ)だととっかかりを
   つかむまでが一苦労だなあ。レミエル嬢。この手の人は自分でも心を開きたいのに
   誰にどうやって甘えたらいいのかわからないんだと思う。ネガティブな経験しか
   なくって。絶対、心打ち解けて誰かと話してみたいと思ってるはずだと
   思うんだけど。





            

見られたくないことって人それぞれ


2015年10月26日月曜日

波に呑まれない




     どれほどネガティブな人格であろうとレミエル嬢が自分の殻を脱ぎ捨てたくて
    ここに来たことは間違いない。投げつける否定形の嵐は打ち破って欲しい
    バリアの厚さを物語っているようだ。





     ここで一つ気をつけなくっちゃあいけないのはネガティブの「波に呑まれ
    ない」ことなんだ。





     治療家(医者、セラピスト、カウンセラー、綾ちゃんみたいなその助手に
    至るまでおよそ治療に携わる者あまねく)を名乗るために一番大切な要件って
    これだと思うなあ。
    心の強さ、たおやかさ、と言い換えた方がいいかな?
    自分の心の防御もしっかり行いながら相手を受止める。
    護りながら(一度に相手は変わらない。いや、相手を変えようなんて不遜な
    心がけは慎むべき)違う価値観を提示する。
    英語のsuggestionという単語は当を得た表現だと思います。





     綾ちゃんは大学時代、教育学、教育心理学専攻の友人が多かった。
    その中で実際にカウンセラーになった人も多いんだけど、その中の一人で
    精神病院に勤めて数年後に自分が極度のうつ病になって長期入院療養を
    することになった人がいる。伝え聞きなんだけど。
    ミイラ取りがミイラになる、というやつかな。負のエネルギーというのは
    かなり手ごわい。しっかり気を引き締めてかからないとふとした拍子に
    飲み込まれてしまうからね。





       

こんな感じ?いやマジです。






2015年10月24日土曜日

おかわり?





       驚いたことに二度目の治療日、彼女は綾ちゃんが詰めてあげた
      タッパーを返却ついでに持参の弁当箱を提出した。





       『今日はこの後フィジオセラピー(平たく言うとマッサージ、保険
       負担できる)があって、、、よろしければこれにご飯、詰めてもらえ
       ますか?』





       もちろん食べないよりは食べれた方がいいに決まっている。骨と皮だけ、
      という表現がぴったりのレミエル嬢、口を開けば否定文の羅列のくせに
      弁当には妙にこだわる。毎回忘れずマイ弁当箱を持参しそのたび色々と
      要求するようになった。いや、好き嫌いがあるわけじゃない。
      綾ちゃんの詰め方にこだわりを見せる。ご飯の量だとかアルミホイルの
      仕切りを取ってくれとか。





       ドイツ人もおそらく中国人も弁当文化(食文化)の美意識が日本人とは
      根本から違う。というか私等に言わせれば見た目の美しさに対するこだわり
      ゼロなので(ケーキなんか寝っ転がって出てくるもんなあ)バランとか
      アルミカップが何もないのでせめてアルミホイルで仕切りを作って
      少しでも見栄え良くお弁当を詰めていたのだ。




       ホイルを取ると隙間がずいぶん空くので量が増える。こんなに
      食べれるのかな、ううん、このこだわりの理由は二つに一つだ。




       収入が無いから少しでもたくさんご飯をもらっておきたいのか、





       あるいはアノレクシア=拒食症(カルテにはそう書いてあった。
      彼女の自己申告)ではなくてあるいは彼女はブリミエ=過食症の
      患者なのかもしれない。




              そちらの可能性大だな。






             今日はノイベルトさんのピアノコンサートの日です。
         ラベルの「クープランの墓」はソコロフの演奏がYouTubeに
         ありました。綾ちゃん、この曲も知らなかったんですけど
         ラベルらしい雰囲気のある曲ですね。
         ではコンサートでお会いしましょう!






2015年10月22日木曜日

弁当


        
      実体は実は影で目に見えている方は無限の虚数空間って、これまさに
     この人を表す表現じゃないか。レミエル嬢と呼ぼう。お嬢と呼ぶには
     すこおしトウが立ってる40歳代だけれど。






      ドクターはというとこれまた呑気なもんで、食べれない!、そりゃあ
     いかん、まずなんかご飯でも、、、と台所からスープを取り出そうとする。
     だからあ、食べれないから拒食症っていうんだってば。
     原始人の彼にはおそらく一生、拒食症なんていう現代病を芯から理解する日は
     来ないんじゃないだろうか?




      とはいえ腐っても(おいおい)医者。医者の命令とあれば黙って大人しく
     従う人が多いのは事実。ドクターも呑気なふりして結構役者だったりするから
     侮れない。






       『いえ、このあと歯医者の予約があってものを食べたくないんです。
       でも、、、何か食べるものあるんですか?だったら持って帰って
       あとで食べたいんですけどお持ち帰り用に包んでもらえますか?』




              はあ?持ち帰りい?


          いつからうちは弁当屋に鞍替えしたんだ?





                           
         来たる土曜日はノイベルトさんのピアノコンサートです。
      しまった!綾ちゃんこの曲は全然知らない!!大慌てで毎日病院で
      この曲かけて予習してます。(患者さんはえらい迷惑かも。)
      オススメの画像とかじぇんじぇんわからないのでとりあえず
      グレン グルド聴いてます。ブレンデルのもYouTubeにありますね。





2015年10月21日水曜日

レリエル



                     豈に図らんや、彼女はうつ病と拒食症のセットの患者さんだった。
    この手の人はだいたいご本人像の後ろに真っ黒の煙のような影が見える。
    綾ちゃんにはそれ以上のものは視えないし何にもわからないけれど、
    こういう人は案外スピリチュアル系のヒーラーのところに行ったほうが
    早く快復するかもしれない。悪霊にとり憑かれるタイプの人だ。


                        お金もないんです。家族もいないんです。職場も辞めてしまいました。
     パートナー?もちろんいません。恋人なんて一度も持ったことないんです。
     (じゃあ、どうやって治療費捻出するんだろう?天涯孤独な一人暮らしの
     職無しなのに?おっと、この質問はまだ早い。)友人だって一人もいません。




      良くこんだけ全否定の例文をずらずら並べあげられるもんだ。
     もしアンタがドイツ語の先生だったら喝采を浴びれるくらいほぼ全ての
     用法を使って否定文の説明をしたよ。綾ちゃんは意識的にアタマの中で
     コミカルな情景を思い浮かべながら彼女の真っ黒な渦に巻き込まれないよう
     バリアを張る。ATフィールド=心の境界線ってやつか。(心理用語では
     ありません。ヱヴァンゲリヲンです。=アニメ好き)




           

第12使徒レリエル(新世紀ヱヴァンゲリヲンより)
名前の由来はユダヤキリスト教伝承の「夜」を司る天使レリエル。
この物体は実体ではなく直下に広がる影が本体でここにあるのは
無限の虚数空間という実はこちらが影。
こ、こいつは深い!この設定に綾ちゃんはアニメを見ながらシビれてしまった。
うつ病患者に出会うと綾ちゃんはこのレリエルをつい思い浮かべてしまう。





2015年10月20日火曜日

ブラックホール人






       スピリチュアルの話題を延々と引っ張っているうちに病院では
      一人の新患がやってきた。その名はザ ブラックホール。





       誰でもそれまでの人生で何人かはこういう人を知っていると思う。
      近寄るだけでおおおー!!と暗〜い闇の中に吸い込まれそうになる
      影でできているようなブラックホール人。




         『初めまして。アシスタントのヨシオカです。(握手)』




       『私の手、冷たいでしょう?もう、何をやってもダメなんです。』




       いえいえ、毎日たくさんの人と握手したり手足をさすっている
      職業の綾ちゃん的経験ではさほど深刻なレベルの冷えではないですよ。
      綾ちゃんは職業上手を保護するために、いつも手袋をはめている。
      夏でも薄手の手袋を持ち歩いている。今年は9月から冬用のふかふかの
      革手袋だ。手を大切にしようとする努力の賜物さ。(⇦もちろん面と
      向かっては言わない。)




          『お座りになりませんか?お茶でもどうぞ。』





           『いえ、具合悪くなるから結構です。』



        こ、これは久々にやってきた「アレ」かあ?と思いながら初診の
       手続きを行う。そうかあ、もうどっぷり秋だもんなあ。
       オクトーバーフェストも終わっちゃってクリスマスまで何のイベントも
       ないドイツ。この時期、一気にうつ病患者が増えるんだ。
  



           今シーズン、最初のうつ病の患者さんだよ!
           (何、ウキウキしてるんだ???)






                                   今週土曜日はノイベルトさんのコンサートです。
         ノイベルトさんは最近バッハ フランス組曲のCDを
         おだしになられたんですよね。


          綾ちゃんのお薦めはアンドラ シフの演奏かな?
         組曲全曲弾いてる画像の方が好きだったけど長すぎるので
         こちらをアップしておきます。







2015年10月19日月曜日

医学とスピリチュアル

          


    
      綾ちゃんが「感じる」ワザを取得したのは今の病院に勤め始める少し前の
    ことだったと思う。「感じる」というのはもちろん性的興奮を指す言葉では
    なく、人間関係で相手の出す波長のようなものを受けとるということである。





     因みにこの能力はうちのドクターがものすごく、医者という職業を
    この動物的直感を使いまくって乗り切っている。彼は決してエスパーとか
    ではないが、言葉巧みな癖に大事な場面では決して言語に頼らない。
    ドイツ語が出来ない状態でただ一人異国にやって来た若き医者の
    死にもの狂いの処世?術として養われていった能力かもしれない。
    鍼や中医学の診断術も気を視る日々の訓練となっているのだろう。
    ただし奔放な山勘が思いっきり外れることもままあって、そのようにして
    人間関係を外して!しまうと収拾は涙ぐましい物語と化す。




            実際病院という場所は山勘、第六感を養うには最適の場所で、
    患者さんたちの病気と彼らの人生は切っても切れない訳だから、いかに
    素早く限られた情報からその人の「本当のカタチ」「在るべきカタチ」を
    見切れるかに治療の成功がかかっている。こういう発想を西洋医学の人々は
    しないはずで(精神科は別?)結果としての最終目標(患者さんのクオリティー
    オブライフとしての治癒のレベル)に差が出てくることは言うまでもない。




                   医学とスピリチュアルは切っても切れない。特に生命エネルギーに
    言及しない自然療法は無いんじゃないかと思う。






皆さん、来週土曜日はノイベルトさんのピアノコンサートです。
綾ちゃんはコンサート前は必ず予習をしてから行きます。
クラシックでもポップスでもこれをするとしないとでは楽しみが
違うんですよ。
シューベルトのソナタはブレンデルが綾ちゃんのお薦めです。


                               
          

2015年10月18日日曜日

出逢わなかったことに意味がある




       出逢いには意味があり別離にも意味がある。




     日本でも2012年のフォトンベルトとかアセンションブームの煽りを
    受けてスピリチュアルが流行していたから(やはりアメリカ発か?)、
    綾ちゃん、出会う人出会う人皆が皆、宇宙人がどうした、過去生が
    どうの、第78次元空間はどうなっているとかサイババとか言う人
    ばっかりだったとしても不思議はなかったのかもしれない。   




     日本に帰った彼女もそうだったが、皆、綾ちゃんに一連の、一般に
    非科学的と呼ばれる宇宙の真理について綾ちゃんに勉強させるために
    やって来てくれたようなものなんだ。綾ちゃんの方から与えられるもの
    なんて何もない。だけど皆、とっても軽い調子で、ねえ、この本読んだ
    ことある?ねえ、ねえ、こんなことって本当に起こり得ると思う?って
    まるで小説やテレビドラマの話題を振るようにどんどん綾ちゃんを未知の
    世界に連れて行った。




     けれど彼らの持ってくる話題はどれも興味深いものだったけれど
    その話題を持ってくる人々自身がカリスマ的であるというわけでは
    なかった。綾ちゃんに大きな影響を与えてくれる人には出逢わなかった
    という意味だ。まあ、身近にバシャールとか江原さんみたいな人がいたら
    大騒ぎになるに決まってるからありえないのはわかるけど。リアルでも
    本の中の人でも。
    綾ちゃんは栄養分を吸収するようにこれらの知識を身につけては
    行ったけれど綾ちゃんという樹の形を左右するほどの思想には出会えなかった。




     例えば綾ちゃんがホメオパシーに出会った時には、これだ、これが私の
    進む道だ!と落雷にあったかのごとくショックに打ち震えた。
    (しかしこれもまた何かの途中だったのかもしれない、と最近では感じる
    ようになってしまったが。今は漢方どっぷりだし。)このことに関しては
    またいつか書こうと思っているけれど。




     相性もあるのかもしれないが、一寸先がまるで見えないように見える
    人生にもやはり流れのようなものがあって流れて「行かない方には決して
    行かない」ものらしい。




     綾ちゃんの人生にとって決定的な意味合いを持つ人(または書籍)と
    出逢わなかった、ということに意味があるのだと思う。




         

これも一時期ブームになりましたね。綾ちゃんは青山さんの
おっしゃりたいことがなんとなくだけど解る気がする。
こういう神秘学系の思想を背景に携えながら学問するのと
しないのとでは引き出される結論にも意味合いの深さが違ってくると思う。




    



    

2015年10月16日金曜日

おーい!お坊さんはどこへ行った?




      彼女の一家がドイツ赴任期間を終え日本へ帰国するより数ヶ月
     以前から彼女からの連絡が途絶え始めていた。



      綾ちゃんは呑気なタチで(ていうか毎日勉強したりセミナーに
     出向いていたからね)事態にずいぶん長い間気がつかず、あれ?
     そういえば最近、彼女とおしゃべりしてないな、と気付いた時には
     彼女の帰国間近となっていた。
     お別れの挨拶を綾ちゃんから切り出すのは変だしな、、、とちらっと
     気になりだした頃、主人が夕飯の晩酌時に職場で起こったトラブルについて
     語り出した。(綾ちゃん夫は口が固いので基本的には職場のこと、特に
     同僚の噂話などはあまりしません。この時はもうトラブルが下火に
     なっていた。)




      実は数ヶ月前からこんなことで揉めていてね、、、彼の語る職場の
     トラブルでは彼女のご主人が管理職に反対する立場を取っていた。
     ああ、そうだったのか、と合点が行く。これってウワサに聞く奥様
     社会の縮図だね?ダンナ様同士がそりがあわないと奥様にも波及するって
     やつ。あれだけ家族愛の強い彼女ならそうだろう。へー、綾ちゃん、
     初めての体験。、、、




           ばっかみたい。おーい、お坊さんはどこへ行った?



       まあ、オンナの友情が儚いのはこれに限ったことでもないけれど
      「徳の高いお坊さんが見える」とまで言っておきながら都合が悪くなると
      ムシかよ。
      あほらし。自分の透視能力は間違いでした、嘘でした、って告白してる
      ようなもんじゃないか。結局、自分の都合のいい時だけ「視える」と
      豪語していた彼女。



       ちょっとムカムカしていた綾ちゃんだったが、いよいよ日本へ帰国、と
      なった数日前のことだったと思う、彼女が電話をかけてきた。




       すると綾ちゃん、瞬時にして彼女と過ごした一風変わった日々が全部
      蘇ってきて、やっぱりこのままにはできなかった。彼女もさすがに
      あそこまで綾ちゃんと付き合っておきながら全てを反古には
      できなかったのだろう。すぐに待ち合わせしてきちんとお別れを言った。





       彼女とは結局ソリが合わなかった。のちに彼女が家族でミュンヘン旅行に
      きて懐かしい職場訪問をした話を夫から聞いたりしたが綾ちゃんには
      会おうとしなかった。綾ちゃんも日本に帰省した際、彼女に連絡を
      取ったりすることはなかった。



       ただし、彼女がいなければ綾ちゃんがここまで集中的にスピリチュアル
      を識ることはなかった。絶対に。彼女との出会いには意味がある。
      そして別離にも意味があるのだ。



       彼女が綾ちゃんの前からいなくなった後次々にいろいろな女性が
      綾ちゃんの前に現れてきたのは偶然ではないと思う。


       それから3〜4年のうちに綾ちゃんはスピリチュアルに
      興味があるという方と一気にたくさん知り合いになった。
      綾ちゃんは自分からこういうことに興味があるとか言わないんだけど
      不思議なほどどんどん人が寄って来るんだ。




       しかも大抵の場合、そのテの本を携えて、、、。これは引き寄せ
      効果というやつだな。




             


             

前世療法の古典ですね。




              

      
      

2015年10月15日木曜日

言葉を超えたい






      言葉というのはとても便利な伝達手段で無意識のうちに万能と
     思う向きも多いんじゃないだろうか?弁の立つ人間が社会的に
     成功する傾向にあるし、言語手段を介さずには大部分の学問は
     成り立たない。英語教育の偏重だって欧米社会で少しでも優位に立つ
     ための焦りの表れのようなものだし。





      でも綾ちゃんは、実を言えば言語の持つ実用性、つまり「言葉」そのもの
     をさほど重要視していない。



      こういうとリアルの綾ちゃんを知っている人は意外に思うかもしれない。
     綾ちゃんは(自分でも実は内心呆れてるんだけど)ペラペラおしゃべり
     大好きオバさんだしなんでもかんでも解釈したり定義付けたりしてばかり。




      でも綾ちゃんが「言葉」にこだわるのは、まずは言葉でどこまで
     行けるのか行くだけ行ってみてその境界線を知りたいからなんだ。
     その「外側」を知りたいからなんだ。
     この感覚、分かってもらえるかな?



      綾ちゃんが学生時代、文学を専門にしていたのはまさしくその探究心の
     表れで、言語芸術が言葉というコミュニケーションの機能を超えて
     「美」に変化する瞬間を捉えたい、というのが究極のテーマ、つまり
     綾ちゃんの願望だったわけ。分かりやすく言うと。


     



      綾ちゃんにとってスピリチュアル、魂や宇宙、そして彼岸のあれこれと
     いう話題はその、綾ちゃんがたどり着きたいものの到達点に近い気がして
     いた。だから綾ちゃんはやはりここでも自分流のやり方である程度の
     理解を得たかった。文学などのすべての芸術はつまるところ神の国への
     憧れと生なる地の重き楔(くさび)の哀しき描写がほとんどを占める
     わけだし。



      綾ちゃんがスピリチュアルを極めようという人に求める覚悟というのは
     つまりはそのような努力のことを指していた。



      だから、必然的に彼女とは袂を別つ日が来たのだと思う。



             

               両部(りょうぶ)曼荼羅
          曼荼羅というのは大日如来の真理や悟りの境地を
       言語化だけでは表現できず視覚化で試みたものと言われている。



      
      

2015年10月14日水曜日

スピリチュアルの危険






         彼女と知り合って時々お茶したり家族ぐるみで付き合ったり
        するようになって1年ほどが過ぎた。綾ちゃんは女友達として
        彼女と付き合うこと自体、普通に良い関係でいたと思うのだけれど
        綾ちゃんと彼女をつなぐ共通の部分であるスピリチュアルに
        関しては二人のキャラクターの特質の違いが明らかになってきた
        時期でもあった。





         綾ちゃんはアタマでっかちなので知識を集める。すなわち本を
        読み漁る。彼女はどこまでも勘頼り。スピリチュアルに関しては
        あからさまに綾ちゃんの方が彼女よりも詳しく!なっていった。



         綾ちゃんはほほうと感心したことやズギュンとハートを射抜かれた
        トピックの因果関係をなんとか理屈をつけて整合性のある思想として
        アタマの整理を行おうとするのに対して彼女は感じる、閃くの感性が
        全てで理屈をつけたり言語化するとか、いわゆるお勉強っぽく
        なると先へ進むのが難しくなるようだった。右脳、左脳ってやつか?
        デコボココンビでそれなりに相性もいいのかな?
        ただし、付き合ううちに綾ちゃん、だんだんと彼女の「能力」と
        いうのはまあ、時々、濃い念が視えるという程度で、お話に出て
        くるようなエスパーとかそういうのでないのだなということは
        だんだんにわかってきた。



            勘のいい人、というやつだ。




         彼女のケースは大変典型的で(後になって理解したことだけれど)
        自分の「能力」に興味があるばかりに「見えないこと」にばかり
        目がいって、誰の眼の前にもある「現前たる事実」に気がつかない、
        または興味がない、ということが多くあったのだ。
        


         これはものすごく危険なことでここを克服しないことには
        絶対先へ進んではいけないと思う。勘のいい人、第六感を
        持っている人、もう少し進んだ能力を持っている人(予知とか
        ハイアーセルフの声を聞けるとか物理的に不可能とされることが
        できるとか)という人は実は意外にたくさんいるのだ、と
        だんだんに綾ちゃんにも理解できるようになってきた。
        こういう人というのは別に特別な人ではなくて、足の速い人、
        計算の得意な人、スタイルや声のいい人、etcと同じでほんの
        少しの特性に過ぎない。





         何より問題なのは、特殊な能力を持っている人がその能力に
        見合うだけの倫理性を持っているとは限らない、ということだ。
        心の発達や社会性、倫理力と言うものは生来備わるものではなくて
        自ら人生の中で学び獲得していくものだ。多くの特殊能力を持っている
        人が、その能力に甘えて目の前の現実に盲目になってしまっている、
        そういう危険を綾ちゃんはこの頃初めて危惧することを覚えたの
        だった。





                 

バシャールは綾ちゃん夫のオススメスピリチュアル本
バシャールの言ってることは実に現実的で地に足がついている。
こういう立派なことを言っているのが宇宙人だというのが
痛快で愉快だと思うなあ。





         


         

2015年10月13日火曜日

高級なオトモダチ





     ほどなく、なぜ彼女がそれまで会ったこともない綾ちゃんに「擦り寄って」
    きたのかおぼろげながら解ってきた。いや、背後霊の坊さん云々にいちゃもん
    つけるつもりじゃないんだけどね。だけど彼女と付き合っていくうちに
    やっぱり説得力に欠けるというか、それとは別に事情があるような気が
    してきたんだ。






     ホメオパシーだったんだ。彼女は(当時夫も一緒になって)ホメオパシーの
    勉強をしていることを聞きつけて綾ちゃんのことを彼女の「仲間だ」と
    直感したんだ。残念ながらそれは大勘違いなんだけど。





     彼女が綾ちゃんちに持ち込んでくる書籍、特にオーラソーマやレイキや
    パワーストーンなど「気」を整えるスピリチュアルヒーリングの本の中には  
    必ずと言っていいほどホメオパシーへの言及が出現する。
    わずか一言だけのこともあるが「ホメオパシーと同様」とか「ホメオパシーに
    つながる」とか「ホメオパシーに比する」などなど。
    文脈はどれも同じで本書に語られるメソッドの効果、実証は「あの」ホメオ
    パシーに通じるところがあり、信頼に値するものなのだ、といった(科学的に
    立証されていない、しかしながら医学の世界で受け入れられて実績のある)
    ホメオパシーを引き合いに出すことで権威付けとして(ほとんどの場合)
    強引に使用されていた。




     綾ちゃんはそれまでそちらの方角?からホメオパシー療法を眺めてみたことが
    なかったので妙に、なるほど、と膝を打ちたいような感触に襲われた
    ものだった。なるほど、「こちらの」方面からしか物事を見たことのない人
    にはホメオパスが「ちょっと高級な」オトモダチに見えることだろう。





     彼女には郷里に彼女より、よりパワーの強い女友達がいるとのことだった。
    その方がご自分のショップをお持ちでそこでオーラソーマと共にホメオパシー
    セット(由井寅子さんの開発したキット)を販売しているとのこと。
    (彼女はミュンヘンに来る以前はそのお友達からスピリチュアルの教示を
    受けていたようだった。)
    日本ではホメオパシーのレメディーは健康食品扱いだから薬局以外の普通の
    お店に置くことができるのだ。寅子さんに批判的な綾ちゃんだがこの時も
    ああ、やっぱり、と正直がっかりした。




     でももしかしたら本当の意味でがっかりしていたのは彼女の方だったんじゃ
    ないんだろうか?
    だって綾ちゃんには彼女が期待するような「特別な能力」なんて何一つない、
    ただの理屈っぽいオバさんなんだもの。



     おそらく彼女は綾ちゃんの姿に郷里の親友の姿を重ねあわせて
    いたのだと思う。







         

アミ、小さな宇宙人
これは数あるスピリチュアルブックの中でも綾ちゃん
イチ推しの本です。スピリチュアルに興味のある人も
ない人も、アミの語る真理の言葉に酔いしれることでしょう。


2015年10月12日月曜日

叱咤の意味




    ちなみにこの彼女は母親として、主婦として、優秀で立派な方だった。
   申し分ないほどに。綾ちゃんなんかよりずっと真面目でむしろ生真面目すぎる  
   くらい。家族を愛する気持ちやご主人を盛り立てようとする態度、お子さんを
   愛しサポートする姿勢は文句のつけようがなかった。例えばご主人が
   出張で不在の時など、同じ職場の他の奥様たちはこれ幸いとばかりに
   奥様たちで小旅行に出かけたり小パーティーを開いたりして普段の
   憂さ晴らしを兼ねて息抜きしたするのが通例だったけれども彼女だけは
   「万が一の時に私が遊んでいたなどということになったら言い訳のしようが
   ない」と決してそういう仲間に加わったりしなかった。




    ヒーラーの彼はこの彼女の普段の姿を知りもしないでなぜここまで
   彼女を責めたのだろう?綾ちゃんが自分のセッションがなんだか外れてると
   思ったのと同様、単に彼女に対してもとんちんかんなことを言っただけ?
   かしら??




    もう一度彼のところに取って返してあの時の本意を聞くわけに
   いかないから綾ちゃんの想像で言うしかないことだけれど、彼の叱咤は
   彼女の生来の特質に対して向けられたものではなく、彼女のスピリチュアルへの
   態度(または社会的認識というか)に向けて発せられた言葉だったような
   気がする。




    綾ちゃんは、自分のために行ったセッションがどうもちゃんと的を得て
   いないと感じていたがそのあと、彼女の通訳がうまくいかなかった一件が
   全くもって痛恨の一事として生涯忘れ得ぬ思い出となった。そして、
   全体として2つのセッションは綾ちゃんのためにはとても勉強になったと
   感じていた。もう、二度とあのような「甘ったれた」仕事はすまいと。
   その意味であの彼にとてもとても感謝しているのである。
   激しい思い込みかもしれないけれど、あの時の体験は綾ちゃん的には貴重で
   つながりのあるものだったと感じている。



    彼女は主婦であり、母であるその領域では申し分ない方なのだが
   自分の興味や趣味の対象を社会的に役立てようとするならば、平たく言うと
   それで仕事にしようとするならば全くのど素人というほかはなかった。
   そしてそのこと、つまり、社会人としての自覚や覚悟の不足を知らしめた、
   ということだったんじゃないだろうか。



    つまり、彼女と綾ちゃんは二人セットで「甘ったれた主婦根性」を
   叩き直されたということなのかな、と今では思っているんだ。 




        

結局2年連続でオクトーバーフェストには寄り付かなかった
綾ちゃん。地元民になると行かないものです。
今年はテロを恐れて行かないほうがいいと言ってる人が多かった。
何事もなく無事に終わって本当に良かったです。




     

2015年10月10日土曜日

彼女の決意





      あの頃の綾ちゃんは完全に通訳失格だった。通訳というのは
     あくまで仲介者だから通訳者の予断を加えてはいけない。多分、
     一番大切なルールなんだけど実は(やってみるとわかるけど)
     当たり前のように見えて結構これが難しい。のちに他の人が通訳
     しているのを見て綾ちゃんも学んでいったことなんだ。
     あれ、ドイツ人はこう言っているのにその訳語じゃニュアンスが
     変わっちゃうよ?とか通訳者の解釈を入れすぎじゃないか、とか。








      そのことを痛切に感じたのがこの時だった。







      彼女にはヒーラーの叱咤が届いていないように見えたからだった。





      綾ちゃんの通訳が悪かったせいなのか彼女がネガティブな表現を
     右から左へ流してしまったからなのかよく分からない。
     とにかく綾ちゃんはそのあと彼女と一緒にランチのスパゲッティ
     (彼女のおごりだ)をほおばりながら3つほどの、わざと正確に
     訳さなかった(訳せなかった)単語が頭の中をぐるぐる回るのを
     止められずにいた。




        『ねえ、吉岡さん。私ね、今日の体験で決心したの。
        この道で頑張ってやっていこう、って。』





       綾ちゃんとしては彼女の中の心の変化の相関関係とか論理とかを
      いまいちなぞれなかったんだけど、とにかく彼女にとって今日の出来事は
      プラスに作用した?らしかった。
      



       ああ、通訳というのは、いや、仕事というのは恐ろしい。スパゲッティ
      一皿の報酬でも仕事は仕事、責任は責任だ。
      綾ちゃんは自分が満足のいく仕事ができなかったせいで、彼女の
      この決心をポジティブな決意と捉えていいのか、トンチンカンな
      流れなのか判らず結局自分を責めてしまう結果に陥ってしまったからだ。



           

             

ノーベル生理医学賞受賞のト ユウユウさんは
うちのドクターの奥様の研究室の先輩にあたる方だそうです。
もう、ドクター、大喜びでした。




2015年10月9日金曜日

二度目のセッション




       綾ちゃんのセッションからはあんまり実ある成果が得られたとは
      言えなかった。おそらく綾ちゃん本人は深刻な悩みもなく(自分で
      言うのも変だが)バランスのとれた俗人なのでセッションしがいのない
      お客だったんだろう。彼の言う通り、真面目といえば真面目な性格
      だけど人生を楽しむことを忘れるほど勉強に没頭したりはしないし、
      むしろそういうのに憧れたりするくらいだ。




       でも全体の流れとかドイツ語の感じはわかったから通訳の下準備には
      なった。少なくても役にはたったぞ。
      そして本番、三度目の正直で彼女の順番の日がやってきた。彼女は
      一番高いフルコースを選んだ。まるまる二時間。




       ヒーラーの彼は楽勝通訳気分の綾ちゃんに向かって厳かに申し渡した。




        『アヤコ(ってすでに馴れ馴れしい)、いいですか。これから
        私が彼女に伝えることを全て一語一句正確に彼女に伝えてください。
        決して手心を加えてマイルドな表現に置き換えてはいけない。
        いいですね。』




       この場面でハイという以外答えようがない、、、が、、どうしたんだ?
      この間と人が変わったみたいじゃないか?まるで怒ってるみたい。
      フルコースだと真剣味まで変わるというのか?





       彼が彼女に施したセッションというのは叱咤に次ぐ叱咤。お説教と
      いうより非難に近い。これ以上ないほど「責めて」いるようにさえ
      見えた。





       彼が事前に綾ちゃんに断りを入れた意味がよくわかった。いや、直訳
      するとすさまじく攻撃的な言葉になるので、結局しばしば表現を変えて
      伝えてしまった箇所もしばしば。(そう、通訳って実はこういうところが
      難しいんです。)




       曰く、なぜそんなにいい加減な人生態度なのか?家族、特に父親との
      心理的トラブルが彼女を安易な方向に向かわせている。
      ドイツに3年も住んでいて一言もドイツ語を発しないとは何事だ!
      (ひえー!)せめて英語を使ってでも頑張ればいいものを!(きゃあー!)
      何もかも心を入れ替えて人生をやり直しなさいと言わんばかりの
      お叱りだった。




           

ドイツでファンタグレープ、ファンタマンゴー、
ファンタストロベリー??発見








 

2015年10月8日木曜日

オーラソーマセッション






                        正直、当時の綾ちゃんちの家計は火の車だったので(綾ちゃん、
     働いていなかったし前の持ち家のゴタゴタで借金をこさえてしまって
     いた)この時点での100ユーロの出費はものすごく辛かった。


                         が、綾ちゃん、この時既に「流れに従う」「流れには意味がある」と
     考えるようになっていた。今、ここでセッション受けなければおそらく
     一生同じシーンは巡ってこない。えーい、今月は悲惨な生活になるかあ!
     と腹をくくって一人でセッションに赴いた。



                               間口は普通の住宅。



      パワーストーンなどで装飾されてはいるが全体としては簡素な造りの
     部屋だった。ヒーラーの彼はオ◯マにありがちなムキムキなよなよで
     とっても柔らかい感じの人だった。綾ちゃんはとりあえず本命の彼女が
     急用で代理で自分一人で来たこと。今日はミニマムのセッションを
     お願いしたいことなど伝えた。





      オーラソーマのセッションというのはタロット占いに酷似している。
     好きな色のボトルを4本選んでそれぞれに現在、未来、過去などの
     意味合いや問題点を見出していく。




      綾ちゃんがその時どのボトルを選んだかはもう思い出せないけれど
     綾ちゃんはその時々の気分で色の好みが変わるタイプではないので
     ここら辺だったってのは覚えている。順番は定かでないけどね。

                 

56番セイント ジャーマン
サンジェルマンですね。これを選んだのはよく覚えている。


      色の選択というのは本当に面白くって人それぞれ。以前にもお話し
     したけれど綾ちゃんは基本的に原色、強い色、激しい色が苦手。




      ヒーラーの彼による綾ちゃんの人生あれこれは、、、うーん、、
     なんだかなあって感じだった。出来ればおお、どうして私のことが
     そんなにわかるの?ああ、あなたについて行きます的な成り行きを
     期待(?)していたのだけれど。



      彼は綾ちゃんに、とにかく真面目に四角四面に頑張りすぎ(えっ?)
     もっと気を楽にして息抜きをして人生楽しむことを覚えなさいっと
     言う論調に終始していた。



            これ以上遊んでいいのか??? 



2015年10月7日水曜日

ピアノコンサートのお知らせ




            ピアノコンサートのお知らせです。



        


10月24日(土)19時30分より
Allerheiligen Hofkircheにて



ミュンヘンでコンサートに行ってみたいけれどどんなのがいいかしらって
迷ってらっしゃるアナタへ。



ノイベルト西本未來さんは綾ちゃんが自信を持ってお勧めできる
イチ押しの一流ピアニストです。



綾ちゃんのお勧めはシューベルトの即興曲 op.90-3
こちらのサイトでも彼女の他の素晴らしい演奏の数々を堪能できます。




ミュンヘン音大で勤務なさるかたわら演奏家としても活躍中ですが
ノイベルトさんのピアノは音の美しさ繊細さ音色の多彩さ
確実なテクニックと素晴らしい技巧に支えられた音楽解釈の
奥深さ、、、もう、完璧!です。




曲目もバッハ、アルバン ベルク、 ラヴェル、シューベルトと
ご馳走てんこ盛りのメニューです!



ぜひみなさんお誘い合わせの上いらしてくださーい!


綾ちゃんも参ります。見かけたらお声をかけてくださいねー!





セッションの予約





       ある時彼女とスピリチュアルショップで石やオーラソーマを
      覗いていたら店員さんに話しかけられた。オーラソーマに興味ありますか?
      って。それで、この辺りでオーラソーマのセミナーをやっていたり
      セッションを受けられたりするところってあるんですか?と尋ねて
      みたところ、その店員さん(オーナーだった)自らやっていますよ、と
      おっしゃってパンフレットを頂いた。




   
              お値段を見ると結構お高い。今から10年ほど前だったけど
      100ユーロ前後。(いろいろプログラムがある。ミニマムで
      80ユーロ位。2時間くらいのお祓いまでついたマックスコースだと
      150ユーロくらいだった記憶がある。)
      ちょっと遊びで受ける額じゃないなあ。




       彼女はせっかくだから吉岡さんさえよければ通訳してもらって
      セッションを受けてみたいとおっしゃった。綾ちゃんに異存のあろう
      はずもない。その場で予約を取ってその日は帰路に着いた。
      彼女は日本ではオーラソーマの簡単なコースを受けたことがあるだけで
      本格的なセッションは初体験だという。綾ちゃんはこんなことで
      通訳するなんて初めてのことで、上手くできるだろうかとかそっちの
      心配をこっそりしていた。(医学の勉強は一通りしてるからボランティアで
      病気の方の医療通訳とかはしょっちゅうやってたんだけど、通訳というのは
      分野が異なると突然語彙が変わってくるからプロでもない綾ちゃんには
      結構しんどいものなのです。)




       ところがセッションの当日、彼女は大風邪を引いてしまい予約を
      延期する羽目に陥った。キャンセルの電話自体は特に問題なかった
      のだけれども、困ったことに延期した2度目の予約の日、又しても
      トラブルが起こってしまい、どうしても彼女は行けなくなってしまった。




       『でね、2度も予約を取り消すのはどうかと思ったので、
      考えたんだけど、吉岡さん、よろしかったらセッション受けて
      らっしゃらない?』





              しぇえええー?わ、私?
            こ、これも、天の思し召しってやつ?


           

ミニボトルのペンダント
彼女は自分で身につけると自分のエネルギーが強すぎて
すぐに鎖が壊れてしまうっておっしゃっていたっけ。









2015年10月5日月曜日

本を愛するものとして





       それから綾ちゃんたちは時々会ってはスピリチュアルショップを
      眺めに行ったりするようになった。彼女は会うたびに綾ちゃんに
      新しい書籍を持ち込んでくださる。
      いや、こういう分野の本ってこんなにいっぱいあったのかと
      驚いてばかりだった。アセンションとかカバラの書、生命の樹とか。





                

こんな感じだったけどずばりこの本じゃなかったかな?



とにかくこうやってお付き合いするからには最低限度の知識は詰め込んでおかねば、
と毎日必死で本を読んでおりました。





綾ちゃん、実は以前から自分で決めていることがあるんだ。
人から本を借りた時にはそれがどんな本でも必ず全部読んで
貸してくれた人にその本の感想を言おうと。



これ読書愛好家としてのけじめとして自分に課しているルール。



と、いうか本を愛するものとしての修行というか、



「面白かった」「きれいだった」「素晴らしかった」等の
ありふれた言葉を使わないで自分だけの表現を試みる。



まっ、相手の人は別にそんなに構えて綾ちゃんの評論や感想を聞きたい訳じゃあ
無いはずだから、気楽なもんだけどね。



で、この時も一冊本を読了するたび、どこが綾ちゃんにとって
新鮮だったのか、こういう記述と別の分野のああいうことって
つながりがあるかもしれない、とか一言ずつだったが言い添えていた。




ところが彼女はほとんどのケース、綾ちゃんのそういう感想に対して
無反応だった。というかむしろ困っているように?
見えた。



私は、実を言うとまだちゃんと読んでないんです、と言って。




?????



2015年10月3日土曜日

カラー リーデイング




      通常の人には見え無いものが見える彼女が今、一番興味あるものは



           




イギリスのヴィッキー ウオールによって誕生したオーラ ソーマ。




オーラ ソーマ入門本
綾ちゃんもこの時初めてこの本を手にしました。



1983年にイギリスで最初のボトルが誕生したオーラソーマの経緯は
綾ちゃんが学んでいるバッチフラワーレメディー(1930年代
これまたイギリスでバッチ博士が開発)と基本は確かに似ている。



バッチ(ドイツでは作曲家のバッハと同じスペルなのでバッハと皆呼んでいます)
ははっきりとした自然療法で精神と身体のバランスを取り戻す
目的で、つまり、明らかに医療の一つの系統として生み出された
ものであるのに対して、オーラソーマはどちらかというと
ヒーリング的なものだという違いもなんとなくわかった。



彼女は要するに、せっかくのヨーロッパ駐在の期間を利用して
少しでも本場におけるオーラソーマ、またはスピリチュアル全般の
実態のようなものに触れたい、ということなのであった。



(ちなみにこちらのサイトでオーラソーマの無料オンラインリーデイングを
やってるみたいですね。)








背後の人





      『ご主人さまのお姿を初めて目にした時、彼の背後に奥様の
      姿が映って、私は、ああ、この方に会わなくっちゃと思ったんです。』






     かくしてこの女性はミュンヘンに引っ越してきたばかりの綾ちゃんの
    最初の女友達と相成った。彼女は自分が興味あるという分野の書籍を
    5〜6冊持参していたが、どれもこれも綾ちゃんには未知のタイトルばかり。





      『こうして実際にお目にかかると吉岡さんの奥様の背後に大変徳の高い
      お坊さんの姿が見えるのがわかります。』





     彼女は大変霊感の強い体質。そのきっかけは妊娠だという。体質?が
    変わったのか、突然他人には見えないはずのものが見えるようになった、
    とのことだった。妊娠中彼女の夫の赴任地が陸の孤島的(または湯けむり
    ミステリー的?)片田舎で土葬の習慣が残っている場所だったそうな。
    土着の葬儀は死者の亡骸を伴って村じゅうを練り歩く!!!風習だった
    そうである。そんな際、彼女の目にはお亡くなりになったご当人の霊を  
    始めとして友人、親類、悪意のあるもの無いものありとあらゆる
    霊魂がぞろぞろ「見えてしまう」。





          いやー、そりゃあ大変だろう。





      大変なのはよくわかった。んでも、それで彼女はこの綾ちゃんと
     一体どんなお付き合いをしたいんだろう?まさか「徳の高いお坊さん憑き」
     の綾ちゃんに悪霊を追い払って欲しいとか!???そんなばかな。





            

その時彼女が持参した本のうちの1冊
フラワー オブ ライフ









2015年10月2日金曜日

会いたいという人




      『綾子、◯◯さんの奥さんが是非綾子にお会いしたいってさ。』





    その頃綾ちゃんはフランクフルト郊外の自宅にいた。医学や自然療法を
   勉強中とはいえ身分はお気楽極楽三食昼寝つきの専業主婦。


    綾ちゃんは大学こそミュンヘン大学に通ったもののお勤めに始まり
   結婚、出産と長い期間をフランクフルト郊外ののどかな田舎町で
   暮らしていた。職場を退職してしまえばネットも携帯もまだ無かった
   当時の綾ちゃんの日常は日本から情報遮断されていた
   浦島花子ちゃん状態で実際この辺り10年ほどの
   日本に関する知識は記憶障害のごとくぽっかりと抜け落ちている。




    夫は単身赴任で先にミュンヘンに赴いていた。転職といっても前職と
   つながりのある職場で出向という形を取らないが皆に祝福されての
   ステップアップだった。



    綾ちゃんは自宅マンションを売却する使命を夫から仰せつかって
   夫に遅れること10ヶ月。やっとでミュンヘンで家族揃って暮らせる
   目処がついたところであった。




    綾ちゃんに会いたいと言っているという女性は主人の同僚の奥様だ。
   綾ちゃんは一面識もない。よくわからんけど、これからいわゆる「奥様会」
   なるものが始まるってことなのかな?噂ではなんか、面倒臭そうな感じだけど、
   大丈夫かな?綾ちゃんにハイソなおつきあいなんて出来るのかしら?



        余計な取り越し苦労だった。


    この奥さんは極めて特殊な理由で綾ちゃんとお知り合いになりたかったのだと
   いうことがミュンヘンに来てからすぐにわかることになるのだった。



          

         今、ミュンヘンの街中に貼っている映画のポスター。
                こ、これって、、、




              

ほら、「安心してください。はいてます。」じゃん。



ほらね。




2015年10月1日木曜日

巡り合わせ

               


      ちょっとだけ、って思ってたんだけど折角だからこの話題、やっぱり
     突っ込んでおこう。スピリチュアル。
                綾ちゃんがこの分野にどのくらい首を突っ込んでどういったスタンスで
     いるか。そしてそれはどうしてなのか。




                  よく、理科系の人とかでワタシは科学の申し子なので占いだの宗教だの
     宇宙人だの科学的に証明されていないものは一切信用しない、とか
     宣言している人がいるけれど、さすがに今の世の中でさえこんなこと
     言う人はよっぽどアタマの悪い人、又は学校のお勉強的にしか学問を
     捉えていない人なんだな、と思う。これが結構世間でインテリと
     言われている人たちの中にさえいるから驚きだ。(←ちょっと言い過ぎ?)
                    我々の生きている世界は未知のもの、科学では説明のつかないもの、
     不思議なことだらけだ。我々の世界認識なんてお釈迦様の掌で奮闘する
     孫悟空のあがきに過ぎない。


                          だからといっていわゆるスピリチュアルの分野に拘泥してしまうのは
     実は大変危険なことだと思う。綾ちゃんが今理解している限りでは
     こういった分野こそ本気で取り組んだプロの人、どこまでも覚悟の
     できている人以外は下手に深入りしないほうがいいと思う。その理由も
     ぼちぼち書いていきますね。


                          これもいわゆる「巡り合わせ」な訳だけれど、綾ちゃんは今から
     十年ほど前、スピリチュアル系の本を山ほど読む羽目に陥った。
     そしていつの間にか「卒業」したらしい。本当にぱたりと誰も綾ちゃんの
     ところに本やら情報を持ってこなくなったからだ。ふーん、こういうこと
     だったのかな、と今では思っている。あの人に出会ったのもこの人に
     出会ったのも「今のうちにこういう分野の勉強もしておきなさい」という
     時期だったということなんだなって。


                          あの頃学んだことはどれもこれも超がつくほど面白かったし今でも
      綾ちゃんの思想の重要な部分を占めている。



       どんなことが起こったのか順番に説明するね。




     全ては綾ちゃんがミュンヘンに引っ越してきたことから始まったんだ。




            
        本文と何にも関係ありません。とにかく明るい安村。