2020年9月28日月曜日

白い影とアダージオ

 

           竹内結子さんの訃報には日本中が驚いた。


       綾ちゃん世代だとピンポイントで竹内結子のトレンディドラマが

       青春時代だったりする。ま、綾ちゃんの場合はドイツにいたから

       ネットが普及してから後でYouTubeやなんかで彼女の活躍を

       後追いで辿った感じだけれど。


       彼女の出演した作品で想い出すものといえば

             


                白い影!シブい!


      うまくアップできなかったけど綾ちゃんは第6話のラストシーンが

      大好き!中居クン(←実は中居ファン)はホントに影のある役が

      似合うう!砂の器も名作だし。


               原作は渡辺淳一の無影灯    

      

             でもね、絶対ドラマの方が素晴らしい!



         今見ると映像も古臭いしテンポも遅い。でも名作の匂いが

         プンプンする独特の「間(ま)」がある。


         死の秘密を抱えた若き直江医師は倫子(竹内結子)の率直な

         愛を受け入れることができない。色々中略する割には何の脈絡もなく

         ボートに乗った直江はゆるりと川を流され橋桁のトンネルをくぐり

         朝日の射す河原に出る。ずーっとマーラーの5番の第4楽章

         アダージオがバックに流れる長〜いシーン。

         たどり着いた河岸にはまたしても脈絡なく春一番のたんぽぽの花を

         抱えた竹内結子がそこに、、、



              このCD綾ちゃん持ってます!



        映像が語る〜!!文学において境界線(マージナル)を超える

        というのは永遠のテーマの1つなんだけどここはドラマで

        文学やっちゃってる!

        この回、今を時めく福澤克雄の若い頃の演出作品なんだよね。


                はああ〜、名作だったなあ。



               たくさんの人が旅立って行く。

               私たちを虚無の世界から救って。



2020年9月22日火曜日

不美人

 

      先生!あのね、私ね、お母さんからドイツ語の先生がうちに来るよって

     初めて聞いた時にね、ちょっと心配なことがあったの。でも先生に

     会ってすご〜くホッとしたんだ。それは何かって言うとね、、、



            うんうんうんうん。なに、な〜に?



           先生がね、美人じゃなかったってことなの。



             そ、そうなの、、、、。(ずるり)


      うちに来る先生がとっても綺麗で素敵な人だったら私、自分と

     比べちゃって悲しくなるなあって思ってビクビクしてたんだ。

     だけどね先生全然綺麗じゃないでしょ(オイ!!)だから嬉しくって!

     私ね、それで先生がとっても楽しくって優しい人だったから先生のこと

     大好きになったんだよ!



         あ、あ、あ、ありがとう、、と言うしかないな。


     Kちゃんはとっても可愛い小学2年生。控えめに見てもきっと美しい

     お嬢さんに成長すると思う。そのKちゃんからの率直な評価は、例えて言えば

     白雪姫の継母が魔法の鏡に宣告された最後通牒みたいなもんだ。(継母は

     世界で2番目に美しいわけだからマジ全然救われてるんだけれどね。)

     まあ、今の会話をお母さんがそばで聞いてなくてよかったよ。

     大目玉食らってるよ、Kちゃん!でも、、、 



            女子の気持ちは女子にしか理解らない。


     こんな正直な心の吐露になんてまず滅多に出会えない。ここまで正直に

     綾ちゃんの評価をしてもらってすごく嬉しい。自分の不美人さなんて

     もちろん誰より自分が判っている。正面切って言われればそりゃあ辛いさ。

     でもだから貴重なんだ。


             8歳の娘だって立派なオンナなのだ。


     女性としてのプライドが家庭教師の先生とまでバトルになる。

     自分より「オンナとして」勝った上でないとおそらくどんな指導も

     説明も耳に入って来なかったことなのだろう。カテキョーの先生としては

     一本取った!状態??いやオンナとしての敗北だからそれもまた虚しい。



     これは、解らない人には徹頭徹尾解らない話に違いない。

     綾ちゃん自身でさえこう言う感性が永いこと分からなかった。



          このエピソードは人間としての真実に迫る。

                プライドとは何か?

     誰かに何かを伝えたい時に見落としてはならない本質とリンクしてる。



     綾ちゃんは自分が不美人だから、だから今、1つの本質にたどり着く

     近道を示唆してもらったと思っている。

           まだ上手く言葉に置き換えられないけれどね。


                 もう少し待っててね。


        

          新大阪駅の売店に売っていた吉村府知事のクッキー




彼の人気はやはり彼の甘いマスクにある
ええ加減にせえよ!て言うても詮無いこっちゃ。


            

2020年9月16日水曜日

アンディ、あるいはかつての友

 

          その日が来た。いや、来ることは分かっていた。

    

          次に彼に会ったらこうしようと決めていた。

          いつもいつでも正解なんてない。それでも、、、



    どっぷり疲れて自宅最寄りの駅に降り立った。いつもの帰り道。


    彼は誰かを探していた。綾ちゃんを探していたわけではない。

    誰でも良かったはずだ。でも彼は綾ちゃんを識っている。綾ちゃんを見つけた。


   アヤコじゃないか、良かった!僕の話を聴いてくれ。あのね、ママが死んだんだ。

    癌だったんだ。


    ーそれはご愁傷様、いつお亡くなりになったの?

    昨日。でも今日知らされたんだ。ミュンヘンの病院で。妹が知らせたんだ。

    66歳で。悲しくて悲しくて。心が苦しくてどうにかなっちゃいそうなんだ。

    今、手持ちがないんだけれどビールを一杯飲めれば少しは眠れると思うんだ。

    お願い!お店が閉まる前に2ユーロ持ってたら分けてくれない?


    ー本当に本当にご愁傷様。今日は奥様はどこ?

    もう、何ヶ月も前に離婚届を押し付けられたよ。

    僕は孤独(ひとり)で震えているんだ。


    ーねえ、今、お仕事はどうなってるの?工場に通ってたでしょう?

    3月にコロナで閉鎖になったよ。今は生活保護をもらってるんだ。

    ーじゃあ、どこに住んでるの?お家賃はどうしてるの?

    以前と同じそこのアパートだよ!家賃は二ヶ月滞納してる。


    そう、コロナ特別対応で家賃滞納を理由に大家は退去を迫れない、そうだった。

    ただし滞納家賃は消えはしない。必ずいつか払わねばならない借金が

    膨らんでいくだけだ。

    

    そして綾ちゃんが前回彼に会ったのも駅のすぐそばで、そう、3月だった。

    あの時も2ユーロを誰かに無心していてソデにされ、綾ちゃんを見つけ

    綾ちゃんに泣きついた。

    綾ちゃんはそれまで(通勤仲間で)仲良く喋っていた彼に無心されたことが

    ショックで財布を忘れたからと嘘をついた。そしたら彼はまた誰か別の人を

    見つけてカネの無心に走っていった。

    

    その日綾ちゃんは人に会う約束があって先を急いでいたのも事実だった。

    が、彼の哀れな豹変がアタマに焼き付いて離れず次に彼に会ったら

    話をしたいと思っていた。


   ーねえ、私があなたにお金をあげるとするでしょう?たった2ユーロでも

    あなたは私にお金を返すことはできないわ。私があなたにお金を恵んだ瞬間

    あなたは乞食になって私は他人になるの、理解る?私はあなたのご近所さんで

    時々あなたと電車で一緒になって互いの近況を語り合うのが楽しかったわ。

    私は、人間としてのプライドを持った人としかお友達になりたくないわ。

    ねえ、たった2ユーロのビール代であなたは乞食になって私と縁を切りたいの?

     

   ーアンディ、お願い、きいて。明日、あなたは労働局へ行くの。必ず職はある。

    あなたはドイツ人で綺麗なドイツ語が喋れるしこれまでよく働いてきた

    キャリアもある。一生懸命働けばあなたを尊敬してあなたを慕ってくれる

    女性も現れる。それまでに滞納家賃をなんとかしなくっちゃ。

    毎日、お母様が死んだといって乞食の真似をする生活とはおさらばする。

    あなたは若い(多分30歳代)。残りの人生をこのままボロクズにしていい

    理由なんてない。


    彼は、ボクはダメなんだ!身体も壊してしまったしもう何もかも無くして

    しまったと繰り返し繰り返し繰り返す。


    ーじゃあ、アンディ、これで私はあなたとは縁を切ることにするわ。次にもしも

    あなたが私に声をかけたら即座に警察に110番通報する。いい?



       そうして綾ちゃんはお財布から50ユーロ紙幣を取り出した。



         アンディは大泣きして道路で綾ちゃんに土下座した。


   ーねえ、50ユーロなんて何にもなりはしない。これじゃ家賃の足しにもならない。

    私はどうしたらあなたが人間としての誇りを取り戻してくれるのかが

    わからない。でも今日は何か温かいものを食べたらいいと思う。

    明日、あなたがどう生きるかはあなたが決めることで誰もあなたを

    助ける事は出来ない。 



    ーじゃあ、あなたとは絶交だからもう二度と声をかけないで。

    私は次には必ず警察を呼ぶからね。約束したわよ。



              綾ちゃんは立ち去った。

    アンディは50ユーロ札を握りしめて道路に突っ伏して大泣きしていた。


    彼は綾ちゃんの住居を知らない。彼に住所を知られてつきまとわれたら

    どうしようと以前はちょっと怖かった。


   今は不思議なほど怖くない。宣言してきた。何かがあれば躊躇せずに110番だ。



    仲良し、というほどの関係でもない。近所の知り合いという程度だ。


          けれど今日、綾ちゃんはひとり友を失った。


      

               夏休みの博多の海。福岡ドーム

2020年9月11日金曜日

ひとりでできるもん


LINEはほぼほぼ復活いたしました。
まだSIMカード交換していないので綾ちゃんが自宅にいるときだけですが
ここ数日間、皆様にご迷惑おかけいたしました!
もうすぐ以前と同じように皆様と連絡取り合えます!



しかーし、、、、


綾ちゃんの新しい携帯。待ち受けは夏休みの後ろ姿乙女。



日本から戻った綾ちゃんは思いもかけず仕事に追われ
新しい携帯の設定を二人の息子に任せて放ったらかしにしたところ
あいつらそれぞれ適当にいじくってお互いに削除しあって!!!
挙げ句の果てに飽きてしまったようで
ある日ようやく少しヒマのできた綾ちゃんが携帯を覗くと
LINEその他が「消されて」いて(履歴削除おおお〜涙!)
何も進展していないままだった。




いや!いやいやいやムリでしょう!


冷蔵庫以外の電化製品は使用できない綾ちゃん。
(ん?ブログはどうやって書いている?)
携帯設定なんて一人でできるわけなーい!


でもでも、一人で眺めていたって魔法がかかるわけでもない!



これまでの知識を総動員、判らなければ何でもとりあえずググってみよう。



少し(少し?)お友達に助けてもらったりして何とかできた?みたい。




この海もこの夏の思い出



ひとりでできるもん。


これまでだってそうだった。

やったことないから、私はハイテク音痴だから、これもダメ、
あれもダメって何をやるのもできない言い訳ばかりしていた。


もう言い訳はしないって何度自分に誓っただろう。


今回だって何とかできた。思ったより簡単だった。


今度こそ忘れない。今、誓うよ。


もう、「出来ない」言い訳はしない。




2020年9月4日金曜日

恋人に再会して


帰ってきた。

長い長い夏休みは綾ちゃんにとって大きな転換となる冒険で
どうしてあの様な興奮に包まれていたのか。


綾ちゃんの一番落ち着ける場所、おうちに帰ってタメ息をひとつつくと
全てが夢のようで綾ちゃんは結局浦島綾ちゃんだったのだと気がついた。


そしておうちに帰って再会した。私の恋人。



              綾ちゃんの大切なベヒシュタイン


       福岡の実家には、かつて昔綾ちゃんが幼い頃弾いていたヤマハの
       アップライトがある。この夏毎日弾いていた。
       鍵盤が重くて一音出ないキーがある。
       
       以前は帰省のたびに調律をお願いしていたけれど(子供が弾くからね)
       綾ちゃん一人ならその必要もない。
       鍵盤は重くてずっしりと。暑くて湿気に満ちた空気を震わせる。




       不思議なもので違和感だらけの重いキーも毎日弾いていると指が慣れて
       「その音」が普通に思えてくる。これってちょっとした浮気かな?


       けれどうちに帰って再会するたびに決まってやっぱり惚れ直す。
       なんという軽いキー!天国に届くような倍音。綾ちゃんが思うよりも
       もっと幅広く「想い」を伝えてくれる表現力の豊かさ!



          なーんてね、ピアニストぶってエラそうだけど
          綾ちゃんのピアノなんて本当は聴けたもんじゃない
          ド下手もド下手。でもいいんだ。この喜びは何事にも代えがたい。



                 ただいま、おうち。


昨日まで37℃の世界にいたのにドイツに帰ったらいきなりの13℃
そして秋になっていた。
フェーダーヴァイサー、ホルンダー(ニワトコ)の花のシロップを
作って飛行機に乗ったのに帰ってきたら実がなっていた。
ブドウも大きくなりはじめ、、



りんごももうすぐ収穫!
小さい秋!小さい秋!小さい秋見つけまくり!