ヴァイオリニストの桑野由紀さんと久々に連絡を取り合った。
なんと彼女は明日、自主コンサートを行うというので急遽駆けつけた。
ドイツは現在、長〜いロックダウンの最中でコンサートは
もちろん出来ない。
彼女は地元の町の老人施設内の吹き抜けロビーで
一人で無観客演奏を行うという。もちろん無報酬。
バッハのガボット、タイスの瞑想曲、アメイジンググレイス、
菩提樹、春の歌(民謡)& ムシデン(民謡)
18分くらいのところで「ツーガーべ(=アンコール)!」と
叫んでるのは綾ちゃんです。あはは。
久しぶりに聴いた本物の生演奏に目頭が熱くなった。
見えない施設中の人々が一様に感動しているのが
感じられる。彼らの感激が振動となって空気の中に伝わってくる。
そして我々はこんなにも感動に飢えていたのだと思い知らされた。
由紀さんの演奏の中に改めて学ぶものが多い。
彼女のヴァイオリンは音の一つ一つがそれを聴く観客の心に届く。
そういった音作りがどれほどの努力を要することか。
音楽だけでない、綾ちゃんが今やっている小さな仕事の
一つ一つもこんなふうに相手に「届いて」いかなければ
いけないのだと姿勢を正される、そんな演奏だった。
こんなふうに小さな幸せを与えられる仕事をしたいなあと
憧れるような素敵な風景を体験させてもらった。
音楽なんて不要不急の最たるものだ。
だけど、私たちは不要不急のためにこそ生きている。
間違っているだろうか?
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