2021年4月23日金曜日

不要不急に生きる

 

       ヴァイオリニストの桑野由紀さんと久々に連絡を取り合った。

    なんと彼女は明日、自主コンサートを行うというので急遽駆けつけた。


         ドイツは現在、長〜いロックダウンの最中でコンサートは

         もちろん出来ない。

         彼女は地元の町の老人施設内の吹き抜けロビーで

         一人で無観客演奏を行うという。もちろん無報酬。


          


バッハのガボット、タイスの瞑想曲、アメイジンググレイス、
菩提樹、春の歌(民謡)& ムシデン(民謡)
18分くらいのところで「ツーガーべ(=アンコール)!」と
叫んでるのは綾ちゃんです。あはは。


久しぶりに聴いた本物の生演奏に目頭が熱くなった。

見えない施設中の人々が一様に感動しているのが
感じられる。彼らの感激が振動となって空気の中に伝わってくる。
そして我々はこんなにも感動に飢えていたのだと思い知らされた。


由紀さんの演奏の中に改めて学ぶものが多い。


彼女のヴァイオリンは音の一つ一つがそれを聴く観客の心に届く。
そういった音作りがどれほどの努力を要することか。


音楽だけでない、綾ちゃんが今やっている小さな仕事の
一つ一つもこんなふうに相手に「届いて」いかなければ
いけないのだと姿勢を正される、そんな演奏だった。

こんなふうに小さな幸せを与えられる仕事をしたいなあと
憧れるような素敵な風景を体験させてもらった。


音楽なんて不要不急の最たるものだ。

だけど、私たちは不要不急のためにこそ生きている。

間違っているだろうか?




          

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