2020年7月4日土曜日

救う、そしてそういう風にできている



                どうも調子が出ない。

         まあ、当たり前か。あんなことがあったんだもんね。
         あのあといっちゃんママにお悔やみメールを打ったが
         スルーされて今に至る。今頃どうしているんだろう。
         綾ちゃんが彼女の立場なら今、何考えてるだろう。
       できれば会いにいきたいお参りしたいけどきっと迷惑だよね。


       「オトナ」女性の綾ちゃんは(えっ)フツーに仕事するし
       週末はお客様だったし念願のプールにも行った。よって元気。
    
  だがふとした瞬間、顔を下に向けると突然涙がどぼぼと溢れて自分でびっくりする。
             そんな一週間を過ごしていた。



ようやくプール解禁です。West Badは外のみ。


       そうして寒い羊の日々をくぐり抜け妙に蒸し暑い夏が来た。


ベランダからの眺め。心が暗いと妙に風景も暗い。



     寒い日に辛いことがあると心も身体も冷えてわかりやすいけど
     暑い日に落ち込むのって脳みそがぐちゃって煮えてるのに後ろの方だけ
     妙にゆるくどろっと冷たい。気味の悪い感じがする。


    綾ちゃんの心はどうしても暗い方へ流れて行って、ぼんやりしていると
    つい、「意味のない」死に方を数え上げてみたりする。事故死?
    巻き添え?戦争?いや、やっぱり違うな。人は誰もがいつか死ぬ。
    でもどうしても「彼」より冷酷な「救われない」ストーリーを見つけたい。
    でなきゃ、やってらんないよ。


   気温32度のうだる暑さに一人真っ暗なオーラを放ちながら歩いていた綾ちゃん。


        すると後ろからちゃりんちゃりーん!とベルが鳴って


       「すみませーん!気をつけてくださーい!」と女性の声。

    何かな?と振り向くと5歳くらいの女の子が慣れない自転車でよろよろと
    歩道を走ってくる。ママが周囲の歩行者に注意を呼びかけていた。


   綾ちゃんはにっこり彼女にアイコンタクトを送ると再び暗い思索に襲われた。
   同時に前を向いた綾ちゃんの目にやたらとはっきりとなぜかスローモーションで
   前を行く中年女性の倒れゆく様が写り込んできた。


                ドラマみたい。


       さっきの自転車の女の子に驚いて恰幅の良いその中年女性は
      バランスを失って車道に転がった。そこにバスが、、、。


      綾ちゃんは何も考えずに悠然と車道に飛び出し転んだ女性の前に
      立ちはだかり両手を挙げた。バス、停まれ!



                 不思議な体験だ。


       バスが停まるのはわかりきっていた。もちろんそもそも大した
      スピードを出していた訳ではないが。
      だがその瞬間の綾ちゃんにはものすごい動体視力がついていて
      何も恐れず全てのタイミングがわかっていた。


      しっかりバス及び全ての交通が一時停止したのを確認してから
      綾ちゃんはその車道の真ん中に転がった女性(ショック状態)を
      抱え上げ歩道まで抱えてあげた。きっと綾ちゃんより10kg以上
      重そうな方だったがちっとも重さを感じなかった。


      女性の外傷が無いこと、意識も正常なことを確認して(救急車不要)
      綾ちゃんは立ち去った。自転車ママが平謝りしている。


      今、綾ちゃんて誰かの生命を救った?少なくとも誰かを助けた?


            アタマはいまだに麻痺している。


      アリンコのように小さな生命を生きている我々に「救われる」生命と
      「救うことのできない」生命があって瞬間瞬間を大いなる意志によって
      采配されている?


                どうなんだろう?


お庭のクランベリー。完熟でびっちりなります。とっても綺麗。



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