2021年9月8日水曜日

Verweile doch! とどまれ!公転!

             それにしても長い長い風邪だ。


           もう何週間目だ?他の症状は取れたけれど

           胸の痛みと疲労感が酷すぎる。まだ咳も出る。


            綾ちゃんは元々、自然療法の人だから

         色々やり方知っているので順番にせっせと試しているところ。

延々と続くひまわり畑

                   あとは体力!


         先週末からお天気いいからとにかく体力つけようと

         ほぼ毎日、湖へ行って泳ぐ。いつもの半分くらいだけれど

         泳ぐのは重力から解放されて気持ち良い。

         陸に上がるとぐったりでよく眠れるのも良い。




18時半に泳ぎ始めて帰る頃は暗くなり始めていた。




天気予報によればこの陽気(といっても最高気温23℃)は
あと2日続く。毎日、この贅沢は今日が最後かも、、と
思いながら湖を訪れる綾ちゃん。

10月に入ったって良いお日柄はもちろんある。
だけど地球の公転は止められない。
すぐにドイツは寒くなって泳げなくなっちゃうよー!

これは昨日
ミーティング先に抜けちゃった!皆さん、ごめん!

突然だけどドイツ文学の最高峰
ゲーテの『ファウスト』をご存知だろうか?

「ファウスト」の物語でファウスト博士はこの世で
かけがえのない素晴らしいものを見つけ満足できたなら

『止まれ!お前は美しい』
Verweile doch! Du bist  schön!

の言葉を自らの生命と引き換えに悪魔と取り引きした。


verweilen(フェアヴァイレン=とどまる)という言葉のニュアンスを
学生時代の綾ちゃんは全く分かってなくて

なぜ訳語は「止まれ!」なんだろうとか
「止まる」にあたる別のドイツ語がたくさんあるのに
なんでこの単語なんだろうとかぼんやり考えていたものだった。

綾ちゃんは今は理解る気がする。
「その瞬間にずっと止まっていたい」から
verweilenを使ったのだと思う。

綾ちゃんが今、このお気に入りの湖の風景の中に
もう少しだけとどまらせて欲しいから
地球の公転をちょっとだけ止められないかなあ
と思うような儚い幸福感。

作者ゲーテはもちろんこの感覚がわかっていたから
あの作品を書いたんだ。

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