2016年1月12日火曜日

さざなみ

                   




     二日目の朝、携帯を取り出す手間が惜しいほどの美しい光景を目にしたんだ。
    朝日の昇る光に向かって大きな白鳥が湖をゆっくりと進んでいく。


           ああ、「白鳥」だ。これがその世界なんだあ。




      サン・サーンスと言えば何をおいても「白鳥」。チェロと言う楽器のことを
    全然知らない人だってこの曲は知っている。サン・サーンスさんご本人は
    ピアノの名手として名高かったそうだけれど綾ちゃんはいつも思うんだ。
    彼はチェロという楽器を知り尽くしてその性能を最も高める最高の曲を
    たくさん書いた人なんだって。ピアノ協奏曲とかヴァイオリンの曲とか
    もちろんたくさん書いているけれどやっぱり「動物の謝肉祭」中でも
    「白鳥」はひときわ精彩を放っているし、他にもチェロ協奏曲とか
    アレグロ アパッシオナートとか彼のチェロの名曲は特別な感じがする。






綾ちゃんはこの美しい風景の只中ベンチに腰を下ろして
YouTubeでいろんな演奏家の手によるいろんなサンサーンスの演奏を
聴き比べていたんだ。



そしたらね、





弦楽器(特にチェロ)のビブラートと湖の穏やかなさざなみが綺麗に
シンクロしてうわー、って高みに上っていく飛翔感を突然味わった。


         いや、本当は味あわなきゃいけないのは僕の方です。




       すっかり舞い上がってしまった綾ちゃんのホリデーでした。






      

2016年1月11日月曜日

白鳥



       今回、綾ちゃんはお泊りせず毎日会場に通いました。
      昨年は色々出費が嵩んだので節約モード。駅から徒歩で
      すぐというのも良かったし。ご飯は予約制で一緒に食べれて
      言うことないんだけど、息子の部屋には相棒がいるので母親が
      居座るわけにもいかずちょっとした休憩時間はお散歩する羽目に。
      でもそこは綾ちゃん晴れ女パワーで毎日良いお天気。
      敷地内はWifiも完備で音楽を聴きながら贅沢三昧。




トウッチングのお城跡を改造しています。



         アルプスまで見渡せる。シャッターを切る息子






陽が暮れかかると薄闇でああロマンチック




ワイドで撮ってみた。


息子は現在もサンサーンスと格闘している。んで、自然、綾ちゃんも
サンサーンスにどっぷり浸かったままでいるんだけれど、、、


皆さん、サンサーンスっていうと何を思い浮かべます?




これですよね。


白鳥といえば、湖!いや、チャイコフスキーに飛びたいわけじゃあ
ないんだけど、、、これがシュタルンベルク湖に美しい白鳥がいて
水面を優雅に泳いでいるわけなんだ。


うわー、これこれ!この雰囲気〜!とインスピレーションを得て
一人で興奮する綾ちゃんでありました。

続きは明日。



2016年1月9日土曜日

冬休みの写真〜湖の郷愁





シュタルンベルク湖の音楽コースから帰ってきて日常の日々が戻ってきましたー!

少しずつ写真をアップします。




会場はこれまでのホテルからEvangelische Akademieに変わりました。
ここも美しい施設ですお庭が湖に直接面している。




晴れても曇っても朝も午後も全て美しい。



ゴージャスなテラス。



ユリアさんのコンサート


息子の部屋。ミヒャエル君13歳と相部屋。
湖が眺めわたせる清潔な部屋。


この施設はドイツ人の間ではかなり有名らしく、綾ちゃんの知人でも
知ってる人が多かった。会議とかコンサートとかよく行われるらしい。

一般のお客さんでも一泊80ユーロくらいで泊まれるからびっくりです。





2016年1月8日金曜日

昨日、京、奈良、飛鳥、明後日??




     ドクターのいない年末。今こそ溜まり溜まった書類仕事(何と9月分から
    手をつけていなかった!?)を片付けんとしていた矢先、電話のベルが鳴った。
    表示を見るとドクターの携帯だ。おお、日本から携帯でかけてきてる。
    こいつは急ぎの用件だな。綾ちゃんはドクターの万一に備えてチャットも
    (中国人は皆 we chat )メールも全部スタンバイした状態で待機中だった。
    何だ何だ今度は?




     羽田到着後すでに一度クレジットカードトラブルで電話してきたドクター、
    今度は何だ?







       『フラウ ヨシオカ!無事京都に到着しました。でもスーツケースを
       東京の宿に忘れてきちゃったんです。』



     はー、今度は何事かと思ったがほとんど人知を超えたポカだなこりゃあ。
    綾ちゃんは東京の宿に電話をかけて三日後に取りに行くのでそれまで
    預かってもらえないかと電話をかける。




     東京観光のセッティングもドクターらしくやれ国会図書館や北里大学の
    医学図書館(神奈川!)に行きたいとか中医学者〇〇さんに会いたいだとか
    無茶が多すぎる。国会図書館くらいなら皇居見学ついでに行けるから
    あとは次回にしましょうと軽くいなして京都。奈良。これは中国語ガイドの
    方に落ち人したところガイドなのにどこまでも親身になってくださって
    とても気持ちの良い観光ができた。
    





          
              京都に出てきた綾ちゃん夫と豆腐懐石
             ドクターは真ん中。右はガイドの方。



          


        日本をとっても堪能してくださったドクターでした。





2016年1月4日月曜日

実はドクター イン ジャパン?





        現在うちの病院は冬休み中です。ドクターはいつものように
       中国へ里帰り、と思いきやなーんと日本にいらっしゃったんですね。
       もちろんこれは綾ちゃんが提案したこと。ドクター、せっかくなら
       日本に少しお寄りになってから中国へ行かれたらいいのに。そう
       綾ちゃんが言った翌日、ドクターは本当にチケットを取っちゃった!




        自然な流れで綾ちゃんが宿泊その他全てのアレンジを行う羽目に
       相成った。




        何と言ってもドクターはドイツ語と中国語しかできない。どうしよう?
       綾ちゃんは(本来なら経理等書類仕事をすべき時間を全部使って)
       中国語ガイドの手配と交通チケット、および完全マニュアルの作成に
       2ヶ月以上を費やした。東京と京都&奈良全部で1週間!



        ああ、でも心配だー、心配だー!どう考えても心配だ。
       どんだけドクターがおっちょこちょいか熟知している綾ちゃん、
       心配性の綾ちゃん。何度も計画を見直す。




        そうこうするうち出発の日がやってきた。綾ちゃんからあれこれ
       情報を詰め込まれていざ出発!




         

今回、綾ちゃんが手配した東京は浅草の
台東旅館。外国人に人気のチョー格安宿。
一泊なんと3000円!
普通の日本の家屋っぽいところが実にいい。






        
       



2016年1月3日日曜日

湖のほとりから


           今年もお正月恒例シュタルンベルク湖畔のコースにやって来ました。ユリア フィッシャーさんの集中コースで息子のチェロの先生が講師をなさっています。


            もうすぐユリアさんのオープニングコンサートが開幕します。この一週間、音楽にどっぷりつかる美しく贅沢な時を過ごせるのです。




               今年は暖冬で雪が無く霧立ち上って幻想的なメルヘンの世界に迷い込んだような気分。お天気が良いとドイツ最高峰のツークシュピッツエまできれいに見渡せるはずですが、向こう岸が霧に隠れて見えないのでまるで海辺にいるみたいです。郷愁をそそられます。




                    美しい景色に囲まれると厳粛で敬虔な気持ちにさせられるものですね。この幸せな気持ちを誰かに分けてあげたくもなります。



                    皆さま、良い一年になりますように。



                       

2016年1月2日土曜日

音楽は敵を超える




            明けましておめでとうございます。



   新年にはいつも心改まる思い、出発の気持ちがみなぎるものです。
  この新しい一年を、一瞬一瞬を素晴らしい、生きていてよかった、と思える時間に
  したいものです。



   一年の初めに贈る言葉として今年は去る12月8日、世界的な指揮者兼
  ピアニストであるバレンボエム氏が来日に際してのインタビューで語った内容を
  採ろうと思います。彼のように芸術に音楽にだけ集中していても、いや
  集中しているからこそ語れることがある。心の中にある美しい想いを
  そばにいる人と暖かく育める、
  そんな時間を過ごせたらと願って止まない2016年初頭の綾ちゃんです。




       大晦日にマリエン広場に花火を見に行こうとしたら雨が止まないので中止。
  まったりと家で過ごしていたところ、テロ警報にて駅は閉鎖騒ぎだったと元旦に
  知りました。お出かけしていたら帰れなくててんやわんやに巻き込まれている
    ところでした。
  そう、こんな風にお気楽タイヘイに生きている私の、その地球の裏側で血を
  流しながら無残にも命を落とす名もなき儚い存在がある。そんな緊張感を
  思い起こさせてくれる1月1日でした。 





 「ドイツほど、自分たちの過去と真剣に向き合ってきた国はない。そうでなければ私は、ユダヤ人としてこの街に住むことなど考えなかった。
 多くの国がいま、過去との向き合い方に関して問題を抱えていますね。イタリアフランススペインも、そして日本も。多くの原因は、『愛国』と『国粋』を混同していること。自分たちがやっていることに誇りを持つということと、自分たちが他より優れていると思いこむことは大きく異なる。本物の自信と誇りは、他者との比較からは決して育ちません」
 「同じように、グローバリズムとユニバーサリズムとの間にも、本質的な違いがあります。ユニバーサリズムは互いの違いを認めるということ。グローバリズムはみんな一緒を求めるということ。どちらを私が支持するかはもう言うまでもないですよね。私はスパゲティもおすしも刺し身も天ぷらもインド料理もフランス料理も、すべて好きです。人生を豊かにするのはグローバリズムではなく、ユニバーサリズムなのです」
 「大切なのは、自虐からではなく、誇りを礎に再起すること。ドイツはあまりに過去が凄惨(せいさん)すぎるものだから、愛国的なにおいがするものを即座に『危険』と排除する傾向が今もある。楽器ひとつとっても、オーボエやトランペットで、ドイツらしさを感じさせるものが減りつつある。ナチスは『最も偉大なドイツ人だけが真の芸術を理解できる』と主張したが、これがファシズムの権化であるとすれば、ドイツらしい重厚さを排除し、機能的な響きばかりを歓迎するのも、これもまた逆の意味でファシズムとなりかねません。時代は流転する。そのつど過去を受け止め、克服してゆく。この継続なくして、先に進むことはできません」
 「大切なのは、国という集団としても個人としても、誰もが過去と向き合う必要があるということです。いま、世界でたくさんの紛争、対立が起こっています。それは、ある種の過去への憧憬(しょうけい)から生まれているものです。今のロシアはいつも過去を振り返っているし、アメリカも世界を統べる権威ある国として威容を誇っていた時代を懐かしんでいる。しかし、今はどちらもすでに、唯一無二の覇権国家などではない。繰り返しますが。過去を新しい状況のなかで受け入れ、克服しないことにはどの国にも未来はないのです」
 「ドイツでも、過去に対する取り組みをちゃんと感じられるようになったのはせいぜい80年代のことでした。こういうことには時間がかかります。例えば、私があなたに何か良くないことをしたとしましょう。私はあなたに謝らなければなりません。それは道徳的な行為であり、また、対立を終わらせるための戦略的な行為ともいえます。ごめんなさい、私が悪かったです、と。私は悪くない、と言い張れば言い張るほど、対立は根深いものになってしまう。人対人なら、手をとりあおうという姿勢を共有することができます。しかし、国対国となると、なぜそれができなくなるのか。そこを私はまだ理解できないのです」
 「今したことに対して謝ることより、100年前に犯した過ちを謝るということが、なぜこんなに難しいのか。思うに、現代の私たちに欠けているのは勇気です。そうした時に音楽は、政治的な理由での対立を人間同士のものに戻すことができます。紛争や対立から、一瞬離れることができるのです。ドイツフランスの相克の歴史はご存じかと思いますが、ドビュッシーやボードレール、ベートーベンやバッハを通じ、彼らは人間として出会うことができるのです」
 思想家のエドワード・サイード(1935~2003)とともに、イスラエルパレスチナの若者を集めたオーケストラ「ウェスト・イースタン・ディバン・オーケストラ」を創設して15年。思想や民族の対立を超え、心を通わせる幸福な感情を若い時期に体験することが、無為な争いの芽を摘む。そんな信念をゲーテの「西東詩集」にちなんだ名称に託した。卒業生の多くがベルリン・フィルやシュターツカペレ、バイエルン放送交響楽団などの名門へと翼を広げた。
 「ディバンは平和の象徴のようにしばしば語られますが、それは違う。正義や安全は、音楽にはもたらすことができないものです。ディバンの目的は政治的な合意ではなく、たとえばベートーベンの交響曲について、同じ考えを持つようなことを求めるわけです」
 「『敵』である人の隣で、同じ曲を1日練習したとしましょう。終わるころには『敵』という感情はなくなっています。政治には不可能なことが、音楽では可能になるのです。私はまず、相手の言葉をリスペクトすることを求めます。自分の考えと違い、納得できなかったとしても、相手の正当性を否定せず、まずは受け入れなさい、と」
            ダニエル バレンボエム氏のインタビューより



バレンボエムの録音は数多くの名演がありますが今日はベートーベンの
「悲愴」を。彼は綾ちゃんが熱愛するチェリスト
ジャクリーヌ デユ プレの夫でもあった人です。
綾ちゃんにとって彼は自分の亡き夫(?例えがオカシイ?)のごとく
愛すべき人物です。



今年も素晴らしい年でありますように。