2014年1月31日金曜日

眠りたいの。 その3






                このラインさんに限った話ではない。



 最近、どうもこの手の患者さんが多い。全部女性だ。不眠を訴えているが
神経質で細かい事にうるさくそしておしゃべりだ。
病的におしゃべりで感情の起伏が激しい。



 綾ちゃんはここで簡単に「躁」という単語を使ってしまっているが、本当の意味の
病気とは言えない。綾ちゃんはお恥ずかしながら自然療法家養成学校時代心理学•
精神医学が意外にも不得意で(結構重視されるのでみっちり習う)苦手意識が
高いため、大抵、疑問が出たときは自分の知識に頼らず文献を当たる事にしているが
通常専門的に「躁鬱病」という単語を使う場合は明確に社会生活が阻害される領域に
達していなければならない、ようだ。




 つまり、うちの患者さんのケースは精神病というレベルには達していない
ものの理性で自分を押さえられるか、られないか、という極度の緊張感が
ストレスになっている状態のようだ。もちろん、もともと性格的な素因が大きい。



     


       『眠りたいの、眠りたいの、私は眠らなきゃならないの!!』



と訴える彼女を横目にいやあ、眠れないのは辛いものなんだよねえっと
同情を惜しまない私と、いや、そこまで思い詰めるからひどくなっちゃうんだよねえ、
と醒めた目で見守る私と両サイドから見つめてしまう。




 ドクターは、まあまあまあ、なんて言いながら台所に走っていって
熱々のスープをよそおって来た。でたよ、常套手段だ。これがまた効くんだ。




          恐ろしいほどに。




 もともと彼女がその言葉とは裏腹に我々に救いを求めてやって来た事は
わかっている。本当に治療を止めたいのなら電話一本で断りを入れればいいのだ。
それをせずにわざわざ文句を言いにやって来た。彼女は自分の話を聞いて欲しいのだ。
自分を受け止めてもらって自分の痛みを理解してもらいたいのだ。



 

           彼女は最初は食欲なんてないんだから、と
          断っていたが、ふと、あちあちに湯気の立つ
          スープを見つめてそれから
          スプーンを手に取った。(やったね。)




           このスープには昨日出した漢方薬以上の
           秘薬が込められている。しかも即効性があるんだよ。







ううん、やっぱり横向き。
ハルシュタットで見かけたお家。
普通の一般家庭です。









2014年1月30日木曜日

眠りたいの。  その2







       『だからあ、もう、絶対、絶対、やめてやる!
       もう二度とここには来ませんって言いに来ただけなんだからあ!
       ああ、ああ、あああ〜!!』





 凄まじい雄叫び。これだけのことを一気にまくしたてた後、その女性は
恥も外聞も無くわあわあ泣き始めた。




 昨日初診で訪れたラインさん(仮名)。ハタから見るとぎょっとする光景だけど
さすがに綾子さん、もうこのくらいのことではたじろがない。




 昨日、彼女は不眠治療のために来院。大手銀行にお勤めのキャリアウーマン。
ものすごく明るくてとにかくよくしゃべった。というより沈黙を恐れるかのごとく
しゃべり通しだった。ものすごいハイテンションで。
だがカルテを見ると彼女は問診の際、ドクターに「鬱」の悩みを語っている。




       そう、「躁」と「鬱」とは表裏一体だ。
       彼女は自らその証左となっている。





 昨日の彼女は延々と仕事の大変さ、ストレスから不眠症になったこと、
どれほど彼女がうちの治療に期待しているかを語っていた。





      『全て裏切られたわ。昨晩はいつもよりもっと目が冴えて
      胸はどきどき頭はがんがん。アシスタントの彼女の(ひやっ!!)
      指圧を受けた部分はトラックで何度も轢かれるみたいに
      繰り返し痛むし不安はつのるばかり。鍼が悪いのかお灸のせいか
      漢方薬もひどい味だし指圧も最悪。』




 もちろん、綾ちゃんは(当然ドクターも)知ってる、判ってる。今、彼女が
どういう状態にいるのか。彼女のケースではおそらく避けては通れない道筋なんだ。
もちろん彼女は治る。お墨付きだ。




     さあて、でもどんな風に彼女と接していくかな?




      

本文と関係ないですけど
今、この本読んでます。
前作の「さよならドビュッシー」も力作でしたね。













2014年1月29日水曜日

眠りたいの。 その1







                                                             なんかおかしい。




                          この冬、妙にドイツは暖かい。ここ数日でやっとこさ雪が
                    降り始めたがまだまだ本格的とはいえない。去年の冬も年末までは
                  こんな感じだったようだが(綾ちゃんは帰省中だったから伝え聞き)
                  そのあとはばりばり寒くなった。まあ、これから寒くなるんだろうけど
                  とにかく変なカンジ。





                              なんとなく、この妙になま暖かい冬とリンクしてるように
                   感じるのだけど、、、今年の冬は「うつ病」の患者さんが少ない。
                  というか、いない。ゼロだ。これは冬の日照時間が少ないドイツの
                  この時期としてはかなり珍しい。っていうかヘンだ。








                               うちのドクターの評判が悪くて鬱の患者さんが全員
                                             他所の病院に流れちゃったとか???






                                                            まさかあ~!   





                                    その代わりっと言ってはなんだけど、
                                      「躁」の患者さんは妙に多い。
                 そしてこれがまた、判で押したように皆、同じ悩みでやって来る。





                                                     『眠れないの。』ってね。










う、横向きだ。
これは世界遺産ハルシュタット(オーストリア)













数年前の夏休みの写真です。






2014年1月28日火曜日

面目回復



                                                     とうとうやってくれました。









                                                   多分、今日、治った、と   、思う。








                                  病気というのはある日突然やって来ることがあるが、
                                 同じくある日、突然治るという風にはなかなかならない。
                                 回復の兆しが見えてからも波のように苦しみが繰り返し、
                                 少しずつ良くなっていくのが普通だ。








                       ところが自然療法に関わるようになってから「転換点」を間近で見たり、
                       本当に「いきなり」「全快」するという信じられない瞬間に出くわす
ことがあるのだ。



                 



                    今日、それを自分で体験した。
           理屈ではない。綾ちゃんの場合、残念ながら
          全快パターンではないが、突然自分の体が
          ゴールに向かって疾走し始めたのがわかった!






ドクターが自分のアシスタントの病気を治せないのは
どうにも格好がつかない。だからって訳じゃないだろうけれど
本当に頑張ってくださった。
10回以上になる。新しい煎じ薬をいただいた。
その度にその処方の「根拠」もえんえんと聞かされた。




そして今回の処方は「当たった」と思う。
もちろんそれだけじゃない。
入院中に色々なやり方を教わって
自分でも頑張った。





いや、感無量です。
ドクターは面目回復。
感謝、感謝。


ありがとうございま〜す!!








2014年1月27日月曜日

お別れ






                                        我が家にとっては大事件です。





    綾ちゃん夫が単身赴任することになりました。色々事情があって家族は一緒について行くわけにはいきません。

      これからは日本とドイツで離ればなれです。出発の日、我々はまだシュタルンベルク湖にいました。この日はホテルの夕食ではなく四人だけでごはんを食べに行きました。




             



ギリシア料理を食べにいきました。



     でもやっぱり「お別れ」の実感が湧かなくて、いつものように「じゃあね、バイバイ!」って感じでした。
     綾ちゃん夫は2月に一度、3月にももう一度それぞれ一週間ずつ帰って来ます。だけどそのあとは長いお別れ。



      きっとこんな日々もずっと後から振り返るといい思い出になるんだろうな。




       元気でね。元気でね。それだけを念じていました。









綾ちゃんは食欲無くてなすの前菜だけ
でもほとんど残してしまいました。






2014年1月26日日曜日

職場復帰






職場復帰しました〜!!






今度という今度は本格復帰です。
昨年はいっぱい病欠してしまい、おまけに
大したことないのに入院までしてしまい
職場には迷惑かけどおしでした。



ドイツのクリスマスは
11月末の第一アドヴェント(待降節)に始まり1月6日の東方の三博士の日まで
続くのでクリスマスの飾り付けはその日まで長くあります。
上の写真のリースは綾ちゃんが退院してから
慌てて作ったもの。




職場でリーシャルトのレープクーヘン(スパイスクッキー、ドイツの伝統菓子)
をいただいた。実は綾ちゃんレープクーヘン苦手なんだけど
これはばかうまだった。おかわり!






うちの患者さんたち皆さんで綾ちゃんの事心配してくれてたんだって。



綾ちゃんがいない分、ドクターの奥様がいっぱいいっぱい働いて
下さったそうだ。本当に感謝、感謝。




いっぱい休養して果たして社会復帰出来るか心配だったけど
今月は結構患者さんの数も少なくってリハビリには
うってつけ。早起き出来るかとかつまんないことでどきどきした。




えへへ、また頑張ります。





2014年1月25日土曜日

Confiserieのケーキ





退院して新年を迎えてシュタルンベルク湖で
一週間を迎え職場復帰した週の金曜日、
あすかさんがごはんをいっぱい持ってきて
遊びにきてくれた。
水仕事を出来るだけ避けたい綾ちゃんは大助かり。





ついでに近くのケーキ屋さんConfiserieにてデザートを買いました。
ここのケーキ屋さん、知る人ぞ知る名店らしく、とっても綺麗で美味しいです。
パテイシエさんが有名な人らしい。
素朴な焼き菓子とかもあるのだけれど、どれも
「おっ、コイツはタダモノじゃない」と思わせる味です。
ミュンヒェン市内にここを超えるケーキ屋さんって無いんじゃないかな?



あすかさん、店内に入るなり、



『きゃあ、デパ地下みたい〜!』



これ、ドイツのケーキ屋さんの評価としては最高の褒め言葉だと思う。



色々迷ったあげく以下のものを購入。







ひゃあ、満足!でした。




また遊ぼうね、あすかさん。





2014年1月24日金曜日

シュタルンベルク湖で過ごす冬休み 続き









宿泊ホテル客専用のビーチに降りてみた。
今日は空気が澄んでとっても気持ちいい。
もしかして日本の方が寒いんじゃないかしら?





今日の夕食はおしゃれなフラムクーヘン
ベーコン、タマネギなどの載った薄ーいパン生地
サラダ、スープ





とっぷり日も暮れていよいよ本番
頑張れえ〜!!



コンサートは毎晩です。
うちの子はそのうち2晩弾きました。





2014年1月23日木曜日

シュタルンベルク湖で過ごす冬休み







          クリスマス直前に退院した綾ちゃん、年の瀬を慌ただしく過ごし
        迎えた新年。年の始めはここ数年ここで過ごしています。




             
                     シュタルンベルク湖




            ヴィスコンテイの映画「神々の黄昏」でも描かれている、
        狂王ルードヴィッヒ二世が謎の怪死を遂げた湖。




     残念ながらここで綾ちゃんたちは優雅なヴァカンスを楽しんでる訳ではありません。  毎年ここで新年を過ごしているのは二男のチェロのコースが行われているからです。




                             ユリア フィッシャーとともに過ごす音楽休暇




                               

         
         ユリアさん。ミュンヒェンが誇る天才ヴァイオリニストは
        なんだかんだで綾ちゃん一家とも間接的に色々つながっている。

                                  


   ユリア フィッシャーさんとその仲間(多くは音大の先生)が子供を対象にした
  音楽合宿を毎年開催している。うちの二男のチェロの先生もその一人だ。






オープニングコンサートは
毎年ユリアさんとヤンケ歩(長男のピアノの師匠)コンビだが
今年は歩先生ハネムーンのため代理の方のピアノで。




食堂(グラスハウス)からの眺め




会場のホテルは普段は結婚式場を専門にしている素敵なプチホテル。





二男のリハーサル風景
ピアノ伴奏は11年生(高二)のアンナちゃん




いやあ、贅沢な時間ですねえ、と言いたいところだけど
実はうちの二男、このコースともう一つ、全く別のところの
アンサンブルで弦楽四重奏の集中レッスンを掛け持ちしていて
超ハードスケジュールであっぷあっぷ。
かなり可哀想だった。











2014年1月22日水曜日

掃除機ロボット「シチロウ」君、参上!







                   我が家に3番目の息子がやって来た?
    その名もシチロウ(七郎)。何でこの名前かというと、彼の本名が



                           iRobot   Roomba  760       だから。
       




           吉岡家の男性は皆、名前に「郎」が付く。綾ちゃんの息子は上が太郎で下が二郎。
因みにおじいちゃん(父方)は三郎だ。綾ちゃん夫もそのお兄さんも皆、「○郎」という名前なのだ。760だからシチロウでいいじゃない。ナナロウだと七回浪人した人
みたいだしね。下の子は「ナムタン」って呼んでるけどね。





    この新しい息子、働く主婦、綾ちゃんの強〜い味方。子供も面白がって
お掃除に協力してくれるし。うちは家の造りがロフトだから各お部屋持って移動
しなきゃならないけど、このナムタンことシチロウ君、かなり賢いやつだった。






この動画ではどこがどう賢いのかようわからんが。



           



    家具や楽器に傷をつけてもらっては困るので事前にそれなりに勉強して
この760シリーズにしました。かなり満足しています。







2014年1月21日火曜日

ドイツ自然療法クリニック体験談 23 え?綾ちゃん入院?

       




           2週間の入院期間を終えて退院したのはイヴイヴ、つまり12月23日だった。



 クリスマスイブに続く三日間は日本で言う正月三が日にも等しく、出来る限り
患者さんをお家に帰してあげようとする機運が高まる。もちろんスタッフだって
一人でも多く休みたい。






           『いやあ、全くもって綺麗になって。あとは掛かり付けの先生におまかせです。』



              スタッフの皆さんも病院の設備もシステムも何もかも最高だった。いっぱい色々
勉強出来たし普段の日常から離れてアタマを切り替えるチャンスにもなった。
基本的には誰にでもお奨めできる病院だったと思う。ごはんが美味しくて心のこもった
手作りだったのが最高だったな。




             残念ながら終わり良ければ全て良しにはならなかったけどね、綾ちゃんの場合。
          




          治療方針を変えよう、って言われた時に「そんなの絶対イヤだ」って頑張れば
投薬治療にはならなかったと思う。そうすべきだったかなあ。がっかりして帰路に
着くことになっちゃったもんね。






         ドイツの様々な自然療法を集中的に体験出来た。例えばクナイプバスなどは
後からネットでもう一度そのポリシーとやり方を確認した後、毎日続けている。
ここで出会ったどの療法も身体を基からキレイにしよう、元気にしようという分かり
やすいもので素直に頷けた。綾ちゃんの場合は2週間の超健康生活で体調に変化があったかと言うと、正直何も変化がなかったのだけれど、年が明けた辺りから少しずつ身体の内側から気持ち良くなっていくのが実感できた。



          何より綾ちゃんのワガママにつきあってくれた沢山の人びと、家族、職場の人たち、退院後たくさんごはんを持って遊びに来てくれたあすかさんetc,
ご迷惑おかけしました。感謝しております。










第四アドヴェント(待降節)のごはん
さりげなくデザートがクリスマスシュトレン







典型的なお夕食







3Fの見舞客用ラウンジ
日が当たってなくて綺麗さが伝わってなくてごめんなさい。





2014年1月20日月曜日

ドイツ自然療法クリニック体験談 22 え?綾ちゃん入院?







             当然ながら綾ちゃんの湿疹は見事に、綺麗さっぱり無くなった。
        当たり前だ。ステロイド内服薬飲んでるんだもん。





                   だけど私はこんなことをしにきたんじゃない。




       ドクターたちや看護婦さんたちが回診に来るたびに



                  『まあ、こんなに綺麗に良くなって。良かったですねぇ。』



とのたまわっていくのがどうも癇に障る。




               私の湿疹がいわゆるアトピーならば体質改善をはかるところから
   始めねばならないが、急性の、例えば接触性アレルギーならば
   まず原因物質を見つけて排除出来るかもしれない。そのためにはまずは
   皮膚テスト。とりあえず肌の状態を良くしなければならない。
   その理屈には納得したから方針に従ったのだが、
   こんなことはわざわざ入院なんかしなくても通院治療で十分だ。








個室部屋のバスタブと洗面台
写真では豪華さを伝えきれない






お手洗いはお風呂場とは別
これはかなり珍しい






ロゴ付きバスタオル





新品のパソコン新年から各ベットでそれぞれネット通信出来る。







2014年1月19日日曜日

ドイツ自然療法クリニック体験談 21 え?綾ちゃん入院?






       治療方針が変わったのとほぼ期を同じくして
      「引っ越し」した。





 看護婦さんがやって来て「お部屋を移るから今すぐ荷造りするように」言われた。
ま、そうだよね。一週間近く三人部屋を個室状態で羽根伸ばしてたんだもの。回診する人だってお掃除のおばさんだって手間がかからないほうがいいよね。
個室があんまり居心地良くって、うちのドクターが(自分の診察の後)夜、煎じ薬やら
おかゆ(!)やら果物やら持ってきてくださったときも、お友達のあすかさん
東野圭吾の文庫本をいっぱい持ってきてくださったときも(ありがとう!)
ついつい話し込んで(人目を気にせず日本語でおしゃべりし放題!)
自室状態で長居させて遊んでしまったし入院患者にしては
やりたい放題だったね。栄華の日々も終わりじゃ。




 それでも日本に比べれば三人部屋が大部屋なんだから贅沢なもんだし、
同室の人たちとおしゃべりだって楽しんでもいい。




 さて、今度はタコ部屋に押し込まれるかと思いきや、、、なんと3Fの2人部屋に
アップグレイデイングー!!!








お部屋にさりげなく飾られた
クリムトの風景画
センスの良さあふれる。









木造りの家具。私物用。隅っこに置いたのは
未読の小説たちとドクターにいただいたりんご





写真でこの部屋の素敵な感じが伝わるかしら?
まるでホテルみたいだった。




こ、ここは明らかにプラス料金で入る特別なお部屋。
タオルもバスローブもロゴ付きの専用のもので
ピカピカのバスタブ+洗面所があって
トイレは別室




クリスマス直前で患者数が激減したので皆を一カ所に集めて
スタッフも3Fのみにしたんだって。
わざわざ良いお部屋を充てがってくれようという心意気、
素晴らしいものです。




感謝。感謝。





2014年1月18日土曜日

ドイツ自然療法クリニック体験談 20 え?綾ちゃん入院?







                                  『アトピーじゃないのかもしれないのなら原因追及しなければ。
         じゃ、ステロイドで一気に治すよ。いいね。』






 え?え?ええ〜???かくして「自然療法クリニック」らしい日々は終わりを告げ
翌日から突然、ステロイドの錠剤を渡され(プレドニゾロン5mg3日間、2.5mgを残りの3日間)綾ちゃんの湿疹は一気に回復の途をたどった。温熱療法を始めとする
各種自然療法自体は根本治療のため毎日続けられてはいたが。



 抗アレルギー剤もそれまでの弱いもの(医薬部外品)から医師の処方箋が
必要な強いものに変えられた。翌日から綾ちゃんは薬の副作用で一日中
ぼーっとしたり吐き気がして胃が痛んだりし始めた。これらの症状は
抗アレルギー剤服用時に多く見られる事が知られているので担当医に話して弱いものと
替えてもらった。が、後に綾ちゃんの場合はステロイドに反応していた事が判明する。
退院の日くらいに判明したので遅かったが、抗アレルギー剤の方を弱いものにしようが
完全に止めてしまっても具合は一向良くならず、ステロイドは弱いものでも
飲んだ直後から身体がいやいやをするように種々の反応が訪れるのだった。     




   


2週目に入ってうちのドクターが花束を持って
お見舞いにきてくれた。




中華風なごはんの日
これはまあ、アジア人の私的にはボツでしたな。

2014年1月17日金曜日

ドイツ自然療法クリニック体験談 19 え?綾ちゃん入院?



                      1週間が過ぎた頃、綾ちゃんの湿疹は明らかに悪化し始めた。







      もともとこんなんで入院なんて大袈裟を通り越して恥ずかしいほどの軽症だったし、
恐らくは良くなって行く過程にもサイクルがあるだろうから本人は大して気にしていなかった。自然療法に一時的な悪化は付き物だしね。
最悪の頃から比べたらいずれにしろ全然軽い。



                  だが医者たちは違った。看護婦さんたちが報告したのだろう、にわかに回診が活気付き(?)色んなドクターたちが代わる代わるやってきた。大先生(なんて呼んだらいいんだろう?病棟で一番エラい先生)まで顔を見せて、





          『吉岡さん、悪化したんだって?』




と訊かれて、まあ、本当の事だからハイ、なんて言いながら患部を見せた。






           『???そんなにひどくないじゃない!?』





    だから、私は最初からそう言ってるでしょう!!でもまあ仕方が無い。
ここのお医者さんたちはもっとひどかった頃の綾ちゃんの悲惨な状態を
見てないしね。入院当初が大したことなかったのでちょっと悪化するくらいは
予想範囲内だったのだと説明したら、





         『つまり、あなたはお小さいころからアトピー体質で
         こういうリズムを知っているという事ですか?』




なんて訊かれたので、とんでもない、これまで何十年と言う人生で生まれて初めての
体験ですって答えたら、これはとても意外な発言だったらしく、






          じゃあ、方針を変えよう




                       という事になった。


で、どうするの??








綾ちゃんの入院2日目にアンゲリカさんが
3日目にジェシカさんが去りそのあと1週間近く
この部屋は綾ちゃん貸し切り状態になった。






普通食になった初日の昼食。かぼちゃリゾット。
器を変えてお店で出せば間違いなく大ヒットするであろう
美味しさでした。








2014年1月16日木曜日

ドイツ自然療法クリニック体験談 18 え?綾ちゃん入院?





           こんな風に、温熱療法のある日はそれだけ、ない日はあたふたいろいろな
       治療を受けるという日々を繰り返した。   





             ある日,看護婦さんが





     『明日はムジークシューレ(音楽教室)の人たちが来るので
     お夕食が遅れます。おそらく夕方の6時頃になると思います。』





とおっしゃった。6時の夕食というのはそもそも常識的な時間なので全く構わないが
え〜っと、ムジークシューレって言ったっけ?何じゃそりゃ?と聞き流していたら、
翌日、 










こっこれは〜!!
聞き慣れた音楽が〜!!
ドイツのクリスマスソングだ〜!!
というかバイエルン地方に伝わるクリスマスソングの数々。
日本人が聴いても全く知らないだろうけどこちらの人々はみんな知ってる曲ばかり。




リコーダーとチェロと歌のお姉さんで
「我らはそこからやって来る」「もうすぐ暗くなるから」等々。




綾ちゃんの二人の息子は以前、少年合唱団で歌っていた。
これらのバイエルン方言の歌の歌詞を(20曲以上、2番とか3番とかもあって)
暗記するのがひと苦労で夏休みから(!)毎日のように口ずさんで
一緒に覚えたから忘れる訳が無い。



懐かしい〜!!おお、クリスマスだ〜!!









そう、以前はクリスマスにお家に帰れない方達のために
慰問する方の立場だったのに、慰められちゃうなんて!!



病棟の各棟ごとに演奏を披露してくれて院長先生、アシスタントの
先生たち、事務の方皆さんで病室を一部屋ごとに訪問して
患者さん一人一人に握手とクリスマスの祝福を
述べてくださいました。



大感激!!!のひとときでした。





2014年1月15日水曜日

ドイツ自然療法クリニック体験談 17 え?綾ちゃん入院?





             ということで約2時間半後、ベッドに横たわったまま
     お殿様のごとく(お姫様?)自室に連れて来てもらいました。
     無事御帰還。本当はすぐにでもシャワーを浴びて
     汗を洗い流したいのだけど30分~1時間は起き上がってはいけないし、
     綾ちゃんの場合は血圧が低かったので(もともと低め)
     最初に起き上がるときは看護婦さんを呼ぶように言われた。






                綾ちゃんの湿疹は療法中は特に何ともなかったけれど、
     汗が冷えてくると痒みが増して気をそらすのが大変だった。
     ダンブラウンで何とかごまかした。看護婦さんに、
     目が疲れるから読書は駄目よ、って言われたけれど
     事情を話して理解してもらった。役に立ったぞ、ダン!




                 30分、必死で耐えて、呼び鈴を鳴らして
     看護婦さんにもう一度血圧を測ってもらう。
     110/70、よし、OK!そろそろと起きあがる。
     うん、何ともない、大丈夫。それでは念願のシャワールームへ。


           シャワーを浴びてさっぱりした頃タイミング良く昼食のお時間。







おお、ステーキ!お野菜のね。
チコリをオーブンで焼いただけのものに
バルサミコソースがかかっていて
感動の美味しさだった。
付け合わせはもちろんじゃがいもとスープはグリース(セモリナ粉)団子の
ブイヨン、デザートにあんずの缶詰、サラダ。



本館へ散歩した。
正面玄関に飾ってあったミニチュアの病院俯瞰図