ようやくおばあちゃんの病院内「インテリア指導?」が終わり
問診に入る。
結局、バウムおばあちゃんの『生命に関わる』病気というのは
腰痛だった。オペラ好きのおばあちゃんはワーグナーのオペラ
「ニーベルンゲンの指環」(!!!)に出掛けて腰を悪くしてしまったのだ。
ニーベルンゲンの指環
綾ちゃんはオペラに疎くてどれが名演かとか知りません。
フルトベングラーならハズレはないんじゃないか?
ご存知の方もいらっしゃると思うがワーグナーのオペラというのは
ハンパなく長い。4時間座りっぱなしはご老体にこたえた、という訳。
でもおばあちゃんはどちらかというとドクター相手にオペラの講釈に
余念がない。「自分が来る時にはその後の患者を入れるな!」
(ひえええ!!)というのが彼女のいつもの注文で、西洋文化に疎い
ドクターにレクチャーするのを楽しみにしてらっしゃる。
また、ドクターはドクターで神妙にノートを取りながら
バウムおばあちゃんの講義に耳を傾けている。
いや、本当は問診なんだって!腰痛に至る経過を伺っていたら
「指環」の作品背景やら、どの指揮者がいいどのオケは悪いの
えんえんとオペラ談義は続く。
綾ちゃんはワグネリアンではないし(おばあちゃんにハッキリと
そう宣言しているので綾ちゃんにはレクチャーしようとしない。)
第一、綾ちゃんは音楽の話をするときに、講釈だけたれるというのが
どうも好きじゃない。音楽を聴こうよ、実際の音を!
おばあちゃんの治療はいつまでたっても始まる気配すらないのでした。