2015年1月17日土曜日

どこまでも傲慢な女性




                         『いいですか、私は急患なの。緊急なの。重匿で今すぐ生命に関わる
      状態なの。』



                          電話口で怒鳴り声が響いた。いやあ、お元気なお声だこと。


                           初めて彼女と出逢ったとき電話口で彼女はそう言った。ドクターは
      問診の最中なので改めて30分後にこちらから折り返しお電話致します、
      と伝えたらいきなり「キレ」られてしまったのだ。


                            あの頃、綾ちゃんはここで働き始めたばかりで「ビジネスマン」
      として極めて「常識的な」電話対応 をしたつもりだった。
      だって問診中なんだよ。遮る訳にいかないじゃない。


                            いや、遮「らねば」ならないし、時に、「ある患者」の場合は
      「絶対に」遮るべきだと学んだのはこの直後だったと思う。
      (ちなみに一般的な患者対応マニュアルとしては絶対タブーです。
      でもマニュアルというのは現場での「例外」を把握するための
      道標に過ぎないということも肝に銘じるべき。)



                           このおばあさんはうちの病院ではトップクラスの「上客」に
      あたる方でオープン当初からの常連さんだった。

                               そして一番の「傲慢」さんでもあった。




シュタルンベルクのホテルのお部屋


こんなコテージでした。



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