『いいですか、私は急患なの。緊急なの。重匿で今すぐ生命に関わる
状態なの。』
電話口で怒鳴り声が響いた。いやあ、お元気なお声だこと。
初めて彼女と出逢ったとき電話口で彼女はそう言った。ドクターは
問診の最中なので改めて30分後にこちらから折り返しお電話致します、
と伝えたらいきなり「キレ」られてしまったのだ。
あの頃、綾ちゃんはここで働き始めたばかりで「ビジネスマン」
として極めて「常識的な」電話対応 をしたつもりだった。
だって問診中なんだよ。遮る訳にいかないじゃない。
いや、遮「らねば」ならないし、時に、「ある患者」の場合は
「絶対に」遮るべきだと学んだのはこの直後だったと思う。
(ちなみに一般的な患者対応マニュアルとしては絶対タブーです。
でもマニュアルというのは現場での「例外」を把握するための
道標に過ぎないということも肝に銘じるべき。)
このおばあさんはうちの病院ではトップクラスの「上客」に
あたる方でオープン当初からの常連さんだった。
そして一番の「傲慢」さんでもあった。
シュタルンベルクのホテルのお部屋
こんなコテージでした。
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