2015年11月8日日曜日

出来ないこともある




夏頃通院してらした44歳の女性がたった3回鍼を打っただけで
妊娠した。ツボ押しもしなかったし(お灸はやったかな?)漢方薬も
飲まなかったと思う。マズイからやだって。
確かあまり時間がないとおっしゃって、さっと来て
パパッと鍼を打ってもらって30分経ったらじゃあバイバイって
感じで颯爽と帰っていくバリバリのキャリアウーマンの女性弁護士さんだった。



そうは言え、彼女はこれまでずいぶん長い事不妊と戦ってきた。
もちろん人工授精も試したし。
これまで妊活にはこれがいい、て事を何でも試してきて甲斐がなかったのに
ひょっこり妊娠、今は全く元気な妊婦さんだ。


彼女がネット検索でうちの病院をべた褒めしたので
一気に不妊治療の患者さんが押し寄せてきたというわけ。
そのうちの一人が楽園さんだった。



でも弁護士の彼女のケースは全くのレアで、40歳代の女性だとほとんどの場合、
やってる治療は更年期障害のそれと変わらない。まずは胎内環境を
アンチエイジング的に良くするんだけど、年齢に逆らうのは並大抵じゃない。
出来ることと出来ないことがあるんだ。



それから彼女等が妊娠を焦る理由はこちらの情報外の事情もふんだんに
含まれている可能性がある。


そのことに思い当たったのは楽園さんの様子がなんだかおかしかったのに
気がついたからだ。








どんな田舎に住んでんだって感じだけどミュンヘン中央駅から
郊外電車で30分離れているだけですよー。
こうやってみるといい環境に暮らしているなあ。



2015年11月7日土曜日

妊活のストレスな日々





40歳代の妊娠希望者、実は意外と多い。


もうちょっと早く来なさいよー!と本当は言いたい。
30歳代後半ならまだ全然オーケーだから。
30歳を過ぎたら自然妊活を開始、35歳を過ぎても赤ちゃんが
訪れないようならそれから病院で治療妊活で通常はまず間に合う。

うちの病院は30歳代の女性に関して言えばかなり成績が良い。


綾ちゃんのママ友仲間の間でもよくこの話題は出るんだ。
たいていの場合、人は妊娠を簡単に考え過ぎていて(というより
「出来ちゃった」を恐れすぎていて)まだまだ子育てに煩わされずに
人生を楽しもう!とギリギリまで妊娠を望まない。


だけど妊娠はそう簡単なものではなかったりする。


妊娠しやすい体質なのかそうでないのかは前もってわからないからね。
「出来ちゃった」後だとずいぶん簡単に思えるけど。
年齢やタイミングが微妙だから、いざ子供が欲しくなった時には苦戦する。



月に一度のチャンスはストレスで、最近は皆あまり口にこそ出さないものの
周囲の圧力も大きい。
親戚筋からは「いいわねアナタはラクして好き勝手やって」的な目線を感じ
(いや、それも半分本当だからと内心の葛藤に苦しみ、またはそれも自分の
自意識過剰か?と悩み)、夫の意味のないちょっとした不機嫌も、
これも子供が出来ないせいかと悩んだり、いや、アナタだって避妊の時には
協力したじゃない、何よ今更と逆ギレしたりする。


そう、綾ちゃんの周囲でも出来ちゃったの人たちって意外に幸せそうだし。
若くして子供ができると周囲の人々が皆大騒ぎしてお節介を焼きたがる。
財政的に大変でも早く子育てが終わるから再就職も意外にすんなり行くし
何より大変な毎日がむしろ生きがいを作り、夢中で充実した人生を育む。


ドイツのママ達はここのところびっくりするほど初産の年齢が高齢化している。
その波に自分も乗ろうとしてもこれはさすがに簡単ではないんだ。






2015年11月6日金曜日

楽園さん




彼女の名前はなんと「楽園」さん。
直訳で実名だけどドイツ語表記にいろんな可能性があるから
このままで行こう。


下腹部知覚障害??の彼女、もちろん生まれつきの訳がない。
ドクターの奥様があれこれ質問して一緒に記憶の整理をしていった。
下腹部が痛んだ最後の記憶といえば、、、。



改めて考えるまでもない、前回流産した時だ。


もう何度目かの人工授精。


やっとで着床した受精卵だったが3ヶ月まで持たなかった。
流産した時病院で搔爬(そうは)手術を行った。


あれから、にちがいない。



今日も秋晴れ。暖かく感じるほど。




紅葉は終わってしまいましたが空気が澄んで気持ちいい。



2015年11月5日木曜日

火傷しても気づかない?




この間、ちょびっと大変なことが起こった(らしい。綾ちゃんは
その場にいなかった)。患者さんが治療中に火傷をしちゃったんだ。


うちはお灸や吸玉療法で火をよく使うから火の始末には皆、ものすごく
神経質なんだ。だからそういううっかりのミステイクではないんだけれど。



ドクターがある患者さんにお灸を固定する木箱を(箱灸、というらしい)




セットしておいた。お腹に。これは熱の強さ弱さで棒灸の高さを
調節できるから便利な道具。念のためにいつでもスタッフを呼べるように
呼び鈴も渡しておいたから万全のはずだった。
それなのに気がついたらお灸の場所はひどい火傷になっていた。
下腹部は太陽叢といってエネルギーの源を司る場所。最も頻繁にお灸をすえる
場所でもある。



もちろんドクターはびっくり大慌てで火傷の処置をした。、、、が、
この時驚愕の事実が発覚したんだ。



この患者さん、下腹部の感覚がそもそも完全に無かったんだ。
そして患者さん本人もこの事故が起こるまでそのことに全く気がついて
いなかったんだ!


『だって熱くも痛くもないんです。 』


綾ちゃんが次の治療日に火傷の痕を見てびっくりしていると
彼女は平然としていた。火傷したことに対して怒っても悲しんでも
いないように見えた。(例え病院側の過失でなくとも)こんなにひどい
火傷を負ったら綾ちゃん、自分ならもうここに来る気にならなくなると
思うけどなあ。


彼女は妊娠希望の女性だった。


当年とって48歳。




アンパー川沿いの散歩道
綾ちゃんちのすぐそばです。



2015年11月4日水曜日

感覚障害







でも奥様に言われて、そういえばって思い当たるフシがあった訳
なんだけど。


感覚障害の患者さんは意外に多い。それが主訴ではないケースも
ままあって患者さんと四方山話するうち出てきたりする。
患者さんの方では主訴と直接関係ないから問診の際には
話題にしない。でも実際は密接につながっていることも多いから
要注意なんだ。


知覚、感覚障害というのはそれまで普通だと思っていた感覚を失うという
意味だから身体中どの部位の問題も指すわけなんだけれど、約半分くらいは
「手術」がきっかけだ。これは仕方ないし我々は手術を簡単に考えないで
リスクを伴うものだと理解していないといけない。
歯の治療後に三叉神経麻痺で顔面(多くは半分)麻痺になったと言う方を
これまで3人ほど見たし、新聞配達の方が顔面麻痺で来院なさったケースだと、
ドイツの冬の冷たさにやられた、それ以外に考えられないとの説明だった。
(患者さんは暖かい国の出身の方だった。)




それ以外にも色んなきっかけで突如として味覚を失ったり
声を失ったりすることがある。


ドラマでこういう場面が出てくると、まっ、そんな都合よくっ、あ、あり得ない
でしょって一人で白けちゃったりする綾ちゃんだけど。意外や意外、
現実の職場の方がドラマチックだったりする訳だ。





秋晴れー!
綾ちゃんは気持ちがいいので通勤の帰りに
一つ駅を手前で降りて一駅分お散歩して帰りました。






森を抜けて2キロ歩きます。
空気が美味しい!



2015年11月3日火曜日

天然なる才能





きっかけと言うのはあるものでレミエル嬢はいきなり明るくなった。
相変わらずガリガリだし毎回弁当を所望するが顔つきがもう全然違う。


『多分、生まれて初めてです。治療して具合が良くなった、
気分が晴れた、と感じたのは。』



へええ、笑ってる。びっくりだ。ドクターはご満悦だけど(そして
絶対認めないと思うけど)これは奥様の功績が大きいぞ。
これは内助の功、と言ってもいいかも。


案ずるより産むが易しっていうもんなあ。
病院なんだし、ええい、何でも気楽にしゃべっちゃえって雰囲気を
作ったのが良かったんだな。


綾ちゃんなんてびびりっぱなしで自分のバリアを築くのに夢中だったかも。



もちろん患者さんへのアプローチに定石は無い。相手との間合いを計りながら
様子を見たり切り込んだりする感じは格闘技に似てるかも。心理戦として。
相撲とか居合いとか。勝った負けたが目的じゃ無いから
あくまででも相手との距離の取り方の意味合いだけど。



もうひとつ言えることは、綾ちゃんがオーラとか、その人の発する
「何か」を感じようとしすぎて注意深くなりすぎる、ということもある。
綾ちゃんはとてもじゃないがレミエル嬢の発する暗雲めがけて
斬りこむ勇気なんてなかった。こちらが傷つけられて木っ端微塵になりそうだ。


天然っていうのは才能なんだなあって思う。




マリエン広場の大道芸人さん


2015年11月1日日曜日

ドラマ診断?





ドクターの奥様、これまで何度か書いたが知的で天然。


薬学博士だが医学の知識は足りない。(ある程度はご存知だが、、、)



『この間、家で韓流ドラマ(!)見てたのよ。そしたら目の前で
恋人を殺されちゃった女の子がその後ショックで目が見えなくなるっていうのが
あって、そうかって思ったの。』




そっかー。中国人も韓流にハマるんだな。


だがその知識を病院にまで持ち込むな。



『でね、ラミエルさんも小さい頃、何かあったんじゃないかと思って
尋ねてみたの。彼女ほら、ポーランド人じゃない、(綾ちゃんはそれも
知らなかった。発音から東欧圏の人だとは思っていたけれど)彼女は
10歳の時にポーランドから亡命してきて12歳の時に急に高熱を出して
その後記憶障害になってしまったんですって。
それと一緒に味覚障害も併発して食べる喜びが全く無くなってしまったんですって。
親御さんが心配して彼女の治療のために奔走してくれたのはいいんだけれど
それ以来今に至るまで(何十年だ?)朝から晩まで治療治療。
毎日のスケジュールが治療一色でとうとううつ病になってしまったんですって。』



いや、韓流ドラマ応用の是非を問うどころじゃないな。綾ちゃん目からウロコ。
ドクターより良く問診してるじゃない。





カステラではありません。
ハロウインでかぼちゃプリンを作ったのです。
でも形は間違ってる。なんかアイディアがあっても良かったんじゃないか?
プリン自体は激ウマだったのにぼさっとしていてカラメルを
焦がし過ぎてしまった。
(お料理する方なら解ると思いますがカラメルを作る時にぼーっと
するなんていうのは最もあってはならない致命的ミス。)
ワンモートライ!です。