きっかけと言うのはあるものでレミエル嬢はいきなり明るくなった。
相変わらずガリガリだし毎回弁当を所望するが顔つきがもう全然違う。
『多分、生まれて初めてです。治療して具合が良くなった、
気分が晴れた、と感じたのは。』
へええ、笑ってる。びっくりだ。ドクターはご満悦だけど(そして
絶対認めないと思うけど)これは奥様の功績が大きいぞ。
これは内助の功、と言ってもいいかも。
案ずるより産むが易しっていうもんなあ。
病院なんだし、ええい、何でも気楽にしゃべっちゃえって雰囲気を
作ったのが良かったんだな。
綾ちゃんなんてびびりっぱなしで自分のバリアを築くのに夢中だったかも。
もちろん患者さんへのアプローチに定石は無い。相手との間合いを計りながら
様子を見たり切り込んだりする感じは格闘技に似てるかも。心理戦として。
相撲とか居合いとか。勝った負けたが目的じゃ無いから
あくまででも相手との距離の取り方の意味合いだけど。
もうひとつ言えることは、綾ちゃんがオーラとか、その人の発する
「何か」を感じようとしすぎて注意深くなりすぎる、ということもある。
綾ちゃんはとてもじゃないがレミエル嬢の発する暗雲めがけて
斬りこむ勇気なんてなかった。こちらが傷つけられて木っ端微塵になりそうだ。
天然っていうのは才能なんだなあって思う。
マリエン広場の大道芸人さん
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