2014年6月2日月曜日

もう少し詳しく説明しよう

      


       医者(開業医)には三通りの「種類」がある。



   これはドイツでの区分なので他の国ではどうなっているのかわかりません。


      即ち、①健康保険医      普通に医学部に入学して国家試験を受ける多くの医師の
     コースはこれ。ドクターを名乗ることが出来てどの専門も開業出来る。
     健康保険医の認可を受けられる。



                  ②専門医     特定の分野でのみ(保険)開業出来る。整形外科医とか。
     多分歯科もこの範疇?


                  ③プライベート医    医療行為を行うことは出来るが健康保険認可はされない。
     外国での医師免許取得者、美容整形外科医、自然療法医その他。



     当然うちのドクターは③。うちのコンセプトでは保険医療には何の興味も無い。
が、この区分は社会的にというか保険会社の側から見れば全く別の側面を持つ
ものなのだ。お金がらみで。


      ①、②、③。この種類によって適用される料金体系と保険の種類が違う。





   ここは保険会社も狡猾で、綾ちゃんが契約した商品のパンフレットには
  特約事項として「漢方•中医学に関わる全てのコストが90%カバーされる」
  と謳ってあるが実際の契約ではものすごく細かい字で何ページにも及ぶ
  説明書きの途中に「漢方治療を行う専門医の漢方に関わる部分の90%」と
  書かれている。めちゃめちゃ詐欺じゃないか。




   実際には専門医で漢方•中医学治療を並行して行っている医者は整形外科しか
  いないし、その整形外科のオプションとしての漢方は具体的には鍼のみを指し
  その鍼も医者がどこかのコースに行って来て一週間かそこらで習い覚えた
  対処療法的なもの。診断はあくまで西洋医学的でレントゲンとともに行う。
  舌診、腹診、脈診などの中国的思考は無し。漢方薬など誰も処方出来ない。



     これは漢方でも中医学でもない。


     もともとのお値段も天と地ほど違う。専門医での治療では
     オプションの鍼を自腹を切って払ってもさしてお財布はイタまないだろう。




    それらの契約事項をロンさんは全部見逃していたのだ。



      

子供が病院に遊びに来て耳ツボのモデルで
福耳遊びをしていた。






 

2014年5月31日土曜日

詐欺?いや、それは職務怠慢、けれどその二つは同じもの




              業界最大手、消費者テストナンバーワンの会社にしては殺風景な内装だった。



               ここはミュンヘンで数少ない日本人ヘアーサロンや有名な1ユーロ寿司の
   お店がある通りだから綾ちゃんもしょっちゅう通っている。
            華やかな通りの賑わいに似つかわしくない雰囲気。むき出しのコンクリート。
   ドイツ人は(昔ならともかく)こんなの嫌がると思うんだけどな。意外や意外。



             時間ぴったりに現れた綾ちゃんをロンさんは玄関先でいまかいまかと
   待ち構えていた。もう、既に怪しいぞ。前回綾ちゃんが保険の契約に
   訪れたときには時間に遅れたじゃないか。
           コーヒーでも如何でしょう?なんてすすめられて、さて、どんなお話
   でしょうかね。




             『いやあ、お宅のドクター、何て言うか、ちょっと難しい方ですよねぇ。』




              そうだろう、そうだろう、オマエさんにとってはそうだろう。



              綾ちゃんは先日患者さんが怒鳴り込んできた日、あとからドクターに
   事情を聞いていた。




                 それはロンさんの致命的なミステイク事件だった。



           ロンさんは患者さんたちにうちの病院の治療費が使えない、
    つまり間違った商品を契約させていたのだ。








        



      おまたせ!綾ちゃん二男のEmflosajiカルテットの演奏です。
      ハイドン弦楽カルテット43番 dーMoll op.42

     先週 アウグスブルクのモーツアルトフェストの催しで
     アルミダ カルテット (2012年ミュンヒェン国際コンクール1位)
     によるマスターコースが行われた。子供たちはは前回のドイツ青少年音楽
     コンクール州大会1位特別賞の副賞でこのコースへの参加特待生と
     しての権利も勝ち取りました。コースの終了コンサート。小黄金の間にて。


     綾ちゃんは最後列の席で(子供たちのプライバシーを守るため)
     顔を映さないように撮影したつもりです。最後の礼のところは
     目をつぶって見てね。
     手ぶれで船酔いした様な映像ですがゴメンナサイ。





2014年5月30日金曜日

さらなる事件? 





           ロンさんが出入り禁止になってから病院はまた以前の通りになった。
    時々、ロンさん、怒ってるだろうなあ、とかいまだに追い出された理由を
    ご自分では把握してないだろうなあとかちらちら考えることはあったけど
    まあ、全体としてそれほど大それた事件じゃない、時間が経てば笑い話さ、
    位に思っていた。



                 そして「本当」の事件が起こった。


             ある日のこと、若い女の患者さんが怒鳴り込んできた。
    文字通りの怒鳴り込みだった。



             彼女は例の、ロンさんの紹介で治療を受けた中国人の学生さんだった。
    ドイツ語が一言も喋れなかったので綾ちゃんとはいつも英語で会話していた。
    彼女が大変「キツイ」性格のヒトだと言うのは気がついていたがそれにしても
    まあ、凄い剣幕でドクターに食ってかかった。まあ、中国語だから
    綾ちゃんには全然わからなかったんだけどね。




            ドクターはというと、深刻そうに彼女の話を注意深く聞いたあとで
    どこかへ電話をかけた。そして電話口で相手に向かって今度はドクターが
    文句を言っているように聞こえた。何だろう?お金のことかな?




              綾ちゃんは他人事には首を突っ込まない主義なのでまあ、いいやっと
    自分の仕事に集中していた。



            すると先程まで中国語で不快そうに誰かと電話していたドクターが
    まだ切れていない電話をそのまま綾ちゃんのところに持ってきた。
    ええ?電話の相手が綾ちゃんに何の用?それって間違いなく中国語の
    ヒトでしょう?




              ドクター『フラウ ヨシオカ、ロンさんがあなたに話があるって。』


              えええ!?電話の相手ってロンさんだったの?
               私に何の用?



             ロンさん『こんにちはー!フラウヨシオカ。お元気ですか?実はですね。
         折り入ってお話したいことがあるんですけど近いうちに
         お時間とっていただけないでしょうか?』




             はあ。この間の契約のことらしい。まあ、ロンさんご自身は
    出入り禁止だから綾ちゃんが出向くしかないようだ。幸い彼のオフィスは
    病院のすぐ近くだから仕事帰りに寄れないこともない。


      子供の帰宅が遅い火曜日ならと約束をした。


             彼は終始にこやかだったがなんだか悪い予感がするぞ。状況的に。



                ドクターはさっきの患者さんと一緒にどこかへ出ていっちゃったし。

                綾ちゃんの結んだ保険契約。なんかまずいことでもあったのかなあ?








園芸下手の綾ちゃん、買って来る植物を次々に冥土へ旅立たせている
罪深いヒトですがこれだけは上手に育ちました。



クレマチス
3年目で大きくそだったなあ。
今日は16度と寒い日ですがお庭で満開です。



2014年5月29日木曜日

再び追い出される




               あの日はみんな興奮してたから舌足らずだったんだろうな。



              ロンさんは自分が追い出された原因を「病院」で「携帯をつかったからだ」と
   文字通り解釈。電話を済ませてのこのこ帰って来た。



            これが中国語ではなくってドイツ語の会話なら助け船の出しようも
   あったのだろうと思う。




            いや、違うな。綾ちゃん、普段から母国語とは違う言語で生活する者として
   イヤになるほど痛感していることがあるんだ。普段頑張って外国語で
   しゃべっている分、母国語の通じる相手に対しては思いもかけぬほど
   心安く感じてしまうし、その一方で相手に関する人間観察と対人評価が
   キビシクなってしまうのだ。ドクターもロンさんがドイツ人だったなら
   もっと理性的に話し合えたのかもしれない。でもそれ以前にそもそも
   彼らの中にここまで急速に深入りはしなかっただろうな、ドイツ人なら。



           綾ちゃん自身もドイツ人の患者さんへの評価と日本人の患者さんに
   対してでは大きな開きがある。患者さんが日本人だといきなり「身内」気分が
   発生するから距離感の取り方にむしろ随分気を遣う。


    これは何年経ってもどれだけ外国語が上達しようと変わらない。




              だから、ここでもう一度繰り返すがこれが重要なんだ。




                        「親しき仲にも礼儀あり」



        そしてロンさんは改めて追い出された。おそらく今度は品行不良を
    申し渡されて。




          ドクターは面と向かって厳しく接した。同じことをしたのが
    ドイツ人なら(あんまり想像し難いが。やっぱドイツ人ってエライもんだわ。
    それだけ礼儀正しいってことだね、ドイツ人)
    もっとこちらの応対も違っていたはず。も少し理性的に話し合うとか。







ミュンヒェン東駅に近いソーセージとかを売っている
飲食店。古い映画に出てきそうなうらびれた雰囲気に
思わずシャッターを切ってしまった。
そういえば最近はドイツでもこういう汚いお店って滅多に見なくなりました。
不思議と懐かしい気がしたのです。




2014年5月28日水曜日

懲りぬ奴

         



   ドクターはロンさんの傍若無人ぶりにかなり前から腹を立てていたらしい。



        しかもロンさんがほぼ毎日ご飯を食べに来ていたのは、奥さんが毎朝誘いの
  電話をかけていたからだと知らなかったと見える。(今日は

  東坡肉=トンポウロウつまり豚角煮に肉まん、麻婆豆腐もあるわよ♪ってね。)

  ちなみに奥様はご飯を食べさせた後、ロンさんにサインをさせて「栄養不良を

  是正するための食事療法」

  名目で請求書を立てる算段まで立てていたのだ。払うのは保険会社だからね。
  ちょっとやり過ぎだと思うけど。




       ともかく、 夫婦間の意志疎通不足の典型的な例だ。ドクターは(綾ちゃんが
  そう思っていたように)自分の奥さんが若いにいちゃんにでれでれしている、
  という目で見ていてそれが耐えられなかった様子だったし。


         とにかく二人は大喧嘩したあとむくれてそれぞれの持ち場に戻った。



              綾ちゃん 『あのお、鍼、どうしましょうねえ?』



              奥様        『いいわ。今度にする。』



   ま、それが妥当なセンだなっと思ってお部屋を片付けようかとのろのろ
  動き始めたとき、ドアのベルが鳴って誰かが入ってきた。



                        え?   え?    ええ~!??



                        まさかのロンさん再登場。



                   あほか、お前さんは舞い戻ってきて。空気を読め。空気を!






お休みの日はお庭でのんびりゆっくりごはん食べるのが好き。
週末の遅いランチは病院のコックさんに作ってもらった
ワンタンを餃子みたいに焼いて食べた。
激ウマでした。




これはキームゼーの地ビール
普段は高いのに安売りしてた。
75セント=100円くらい?

ゆっくり平和な満ち足りた気分の中で
湊かなえさんのこわ〜いミステリー「告白」を
読んだりするのが至福の時!?



2014年5月27日火曜日

とばっちり





               綾ちゃん  『あのお、ドクターってロンさんのこと
            快く思ってらっしゃらないんですか?』



                   奥様   『うーん、この間からけしからん奴だとか
            何とかしろとかぐちゃぐちゃ言ってたのよねえ。
            でもねえ、彼は患者さんいっぱい連れてきたじゃない。』





               そうか、そうだったんだ。ニブイ綾ちゃんようやくはたと思い当たる。
   あの若い中国人の女性たちって皆、ロンさんの紹介だったんだ。
   なんかいつもの客層っていうか患者層と違うと思ってたんだ。
   つまり従姉妹さんはともかく、奥様が彼にちやほやしてたのは
   営業接待の一環だったんだ。



           もう指圧もおわりで綾ちゃん、奥様の治療(鍼)の為ドクターに
   タッチ交代しなきゃならないけど外はそんな雰囲気じゃあない。
   えっとどうしよう。



                外では口論の末、ロンさん追い出されちゃったみたい。
              ようやく静かになったかと思いきや怒り収まらぬドクターは
    こっちの部屋にやって来た。今度は夫婦喧嘩あ?





               『♂∞※▽$@/&+∞▲◇〆〇℃↓≪◎▲¥∞∴!!!』


      奥様も負けない。




             『+¥〆≪◇@$.][!゛ゝ仝〆∞≠>◇〓※▲☆⊆&←♭Å∬!!!』


                       ここは病院。ちっとは考えようや。







アウグスブルク。目的地はモーツアルトハウス前
あれ?中世のお坊さんのフィギュア?
正体は確認出来ぬまま



小黄金の間
天井




ここで二男のカルテットがコンサートに出演しました。



2014年5月26日月曜日

破局模様 続き


          

           奥様だった。



          奥様、ロンさんの接待にいらしたのだけど、ロンさんがくつろいで(!?)る
  様子を見て安心したのか綾ちゃんに別の用事を言いつけた。
  指圧をしてくれないかって。



          実はドクターの奥様、身体が虚弱でいらっしゃる。低体重で生まれたことと
  関係ありそうだということで昔から不定愁訴に悩まされている。最近は更年期と
  セットで体調がお悪いようでドクターに治療を受けている最中だった。
  医者のダンナ様ってやっぱり便利。



             ドクターはお昼寝中だから特に誰にも断らず私たちは治療室に入った。
  ロンさんは勝手知ったるカンジだしね。



                『ああ、いい気持ち。もう、身体中痛くてしようがなかったの。
      やっぱりヨシオカさん、上手ねえ。』



               えへへ。そうでしょう。そうでしょう。奥様だから特別大サービスの
   スペシャルコースなんだもん。あっちをもみもみ、こっちをもみもみして
   いた。ら、突然どっかのドアが爆発したかのごとくばばーんと音を立てた。
   何事???




           『〇£$%☆¥〃〆!!/々?仝◇▽★●〓∧△♂$∴÷∞◇▲※!?!!!』





           綾ちゃんにはさっぱりわからない言葉で大声出しているのは
    なんとドクターその人!え?ええ~!?



     なんか全然わからんけどきっとこれってヤバい状況???



             以前綾ちゃんはドクターとお料理の女性が怒鳴りあっているのを
   遠くの部屋から聞きつけ、大変だ!仲裁しなくっちゃって飛んで行ったら
   二人はただ単に「談笑」していただけだった、ということがあった。
   二人仲良くニコニコ笑いながら怒鳴っていて最後は可笑しくて堪らなくなって
   げらげら笑いころげていてショック(これぞカルチャーショック!)だった。

                   でも、多分、これは、違う。


          ふと気が付けば診療台に横になっている奥様も身体を固くしてらっしゃる。




アウグスブルクの街中でふと見上げるとバルコニーに
人影が • • • 。






影絵?フィギュア?





正義の女神ユステイチア
剣と天秤を持った法の女神




表玄関に回ってみると弁護士さんたちの
集合事務所でした。


アウグスブルク、なんかすごい。