ハルさんはきさくで率直な人だった。
この人は先生の親友と言うより正確に言えば先生のお父様の親友でいらっしゃった。
先生と奥様はは中国ハルビンの出身だ。先生のお母様の家系は医者の一族だが
お父様はエンジニアで満州鉄道の技術担当でいらした。建物の設計も手がけていらして
彼の手による建築物もまだ残っている。文化大革命の嵐の吹き荒れる中、ドイツのシュトウットガルトへ留学経験のあるエリートでいらした。満州鉄道の技術提携でドイツ人を
招いた際、ドイツ語のしゃべれる先生のお父様が通訳として活躍した。
それ以来、家族ぐるみの付き合いだったらしい。
1980年代の中国ではラジオ付きカセットデッキなど見たこともなかった。先生にとってハルさんは魔法のようなものをたくさん持っているおとぎの国からきた人だった。
このまま中国にいてはいけない、ドイツにいらっしゃい、別の世界と別の価値観を
経験した方がいい。そういって、当時24歳で医学部を卒業して大学病院の癌科クリニックでインターンをしていた先生をドイツに誘ったのが彼なのだ。
(続く)
今日、患者さんにクリスマスクッキーをいただきました。手作りです。
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