でたよ。
あ〜あ、またでた。ドクターの無茶ブリ。私に何をやれっていうんだ。
『どうも私はヨーロッパの文化についてあまりにも無知で恥ずかしいと
思っていたのです。是非あなたの様な専門家に教えていただきたい。
本当は週末に時間を割いてもらえると一番いいのだけれど
そういう訳にもいかないでしょうからチャンスを狙っていたんです。』
そう、うちのドクターは日曜日にわざわざ自分のために家庭教師を雇って
勉強をしている。今は中国文学を勉強し直すと言って中国人の大学生に
来てもらって一日みっちり古典からおさらいしているらしい。
でも、私にそんな大役引き受けられる訳もない。第一、私は専門家ではない。
そういえば遥か昔のこと、私が主人と結婚した時のことだ。
結婚式前にうちの親戚が主人の学歴を聞いて(うちの主人は日本一受験倍率が高い
ことで有名な東京の某国立大学の出身)、それぞれ好き勝手に
『おお〜!オレ、トランペット習おう!』
とか
『これで合唱団のメンバーが一人増えましたな。』
など滅茶苦茶を言っていた。ちなみにブログで暴露するほどのことでもないが
私のご主人様は音痴である。芸術大学の音楽科でオーボエを専攻していたのだ。
他の楽器なんて出来る訳もない。
だが世間というものは時にとんでもない思い込みで激しく間違った方向へ
進んでしまうことがしばしばである。海外生活をしていると西洋かぶれのガイジンと
(東洋人)自国の文化に拘泥しているヒトの二種類に分かれる。ひとつの分類方法だ。
そしてもちろんうちの病院で言うなら綾ちゃんは前者、ドクターは(激しく)後者
なわけだ。
ドクターだって政治問題や経済のことなら西洋事情にだって通じているんだけれど
西洋文化となるとアヤシい。綾ちゃんは他のことは何にも知らないけれど独文出身だし
夫が音楽畑出身なのでつられて少しだけ音楽好きになった。
患者さんとお話しする時にこういう話題はニュートラルで盛り上がりやすい。
かくして音楽好き芸術好きの患者さんがいらっしゃる時は主に綾ちゃんがお相手する。
そんな状況をご自分で歯がゆく思っていらっしゃったらしい。
主人の師匠にあたる方です。オマール ツォボリ
バッハ イングリッシュホルン スイート Nr.3
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