綾ちゃんは少し迷ったのち、患者さんには基本的に
綾ちゃんの退職について語らないことにした。ただし何人かの
ものすごく綾ちゃんと親しくしてくださった方にはきちんと
お別れをしよう。それ以外は普通に働いて普通に接して心の中で
さよならを言おう。
程なく綾ちゃんの後任も決まるだろう。そうすれば自然な流れで
この病院の色やリズムも元に戻る。心配することはない、大丈夫。
ドクターは相変わらず勘良く(辞表を提出した後、ほとんど彼は
綾ちゃんの退職問題に触れなかった)綾ちゃんに習って誰にも
このことを告げなかった。
そしていよいよもうあと何日という時にベルヒ先生からの
予約が入った。電話を受けたのは綾ちゃんではなかったが彼は
今ハンブルクにお住まいだとか。親戚の集まりで近くに来る用事が
あるので半日だけミュンヘンに寄れるという。
そうだ、ベルヒ先生!
そう、綾ちゃんが今、一番会いたい人は彼だったんだ。
だって最初にドクターを綾ちゃんに紹介してくれた人はベルヒ先生だもの。
彼の予約は綾ちゃんの最終勤務日の前日だった。
なんという偶然。これこそ引き寄せに他ならない。
最初にアップした画像が削除されていたのでトレーラーに変えました。
懐かしの一曲のお時間。みゆきさんは今も昔も綾ちゃんの憧れの人。
60歳過ぎてどうしてこんなに綺麗で魅力的でいられるんだろう。
みゆきさんは名曲がありすぎてどれを紹介したらいいか
わからないけれど、光に包まれることもない名もなき
人々の努力を歌い上げたこの名曲を今日は紹介します。
先日、ボブ デイランがノーベル文学賞を受けて「歌詞」が
文学として評価されたことに賛否両論だった(綾ちゃんも正直
これはちょっと腑に落ちないんだけど)みゆきさんの歌詞は
本物の「詩」だと思うことがある。「ヘッドライト テールライト」も
本当にすごい。
綾ちゃん夫など、「歌詞のイミわからん」などと言っておったので
ヘッドライトが英雄でテールライトが縁の下の力持ち、正面から
見ると気がつかないテールライトがないと車は安全に走れない
(プロXなだけに)、と説明するとようやく納得していた。
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