2016年11月18日金曜日

心が揺れた最終日




     そして最終日がやってきた。今日の病院は静か。おそらくドクターが
    意識してあまり患者さんを入れなかったんだ。



     朝、いつものように病院に一番乗りでやってきた綾ちゃん。
    台所を覗くと大きな花束が用意してあって、おお、きっと綾ちゃんが
    後で頂くのかなあと恐縮。お花のそばに領収書まで丁寧に添えてあって
    その値段にまたびっくり。あーあ、相変わらずだなあ。もう一生、このまま
    なんだろうなと思いながら朝の支度。今日はキーホルダーから鍵を外して
    おく。


             
    
         ドクターが遅れて出勤してきてまずは一緒に記念写真



      患者さんが順番にやってくる。やっぱりいつものように仕事を
     行いながら、意外にも淡々とした自分に驚いている。



         今日はいつもより随分早く終わりそうだ。
      お世話になりました、とドクターに鍵を返しに行くと



      『ヨシオカさん、やっぱり今日、ちょっと食事にでもいきませんか?』




      ドクターから再度のお誘いだ。実は先週から何度も誘いを受けていた。
     皆でお別れ会をしようって。でも綾ちゃんは静かに去って行きたくて
     ずっと断り続けていたんだ。まあ、暇になってしまったし最後だし
     昼食だけ、やっぱり甘えちゃおうかな。



               綾ちゃんの心が揺れた。



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