2014年3月1日土曜日

ドイツ、男と女の物語 ④





                     話をうちの病院に戻すけど、例えば先月、新患である女性がやって来た。
    とても穏やかなアジアファン(このパターンは結構多い)の彼女は、
    さもありなん、うちの常連さんの仏教徒グループ(! 因みにチベット仏教です。
    かなり真剣な人々)の紹介でした。
           うちはオリジナルチャイナな雰囲気に惹かれて人々が集まるから、従って
    世界も狭い。彼女はうちの病院で意外にも何人かの知人にばったり再会する
    ことになる。例えば昔の同僚。



             実は綾ちゃん、もしやこのお二人は知り合いじゃないかと思っていた。
    同年代の二人から別々にお若い頃ルフトハンザ航空のキャビンアテンダントを
    していてアジア線を主に担当していたと伺っていたからだ。
    もちろん ○ ○ さん、ご存知ないですかあ〜?なんて訊く訳にいかないので
    黙っていたんだけど、ある時、二人がばったり顔を合わせた。




         『ええっと、私、あなたを知ってるわ。
          ええっと、名前は • • 。』




    なんてやりとりがあって昔の話題に花が咲く。スチュワーデス時代に
    たくさん海外を体感して、すっかりアジアファンになってしまったお二人。





       それぞれの人生があって航空会社を退職。その後の人生を互いに
     語り始める。このすっかり落ち着いた感じのおとなしい女性はしかし、
     恋多き人生らしく並べ上げる恋愛歴も半端ない。




       結局、2回の離婚歴を持ち、つい最近まで同居していた彼とも
     別れたばかり。引っ越しの回数が多いのはそのせいらしい。





       『ああ、それで吉岡さん、こちらに紹介したい患者さんが
       いるんだけど。』




って絶対「ワケあり」の人だよね。ね。



          
お二人とも声を揃えて
『私たちの頃、スチュワーデスってあこがれの職業だったの。
いい時代だったわ。』とおっしゃっていました。


            

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