何とドクターはりんちゃんの変化に何にも気付いていなかった。
ここらへんがこの人のようわからんところでめちゃめちゃカンが
良かったり空気を読んだりするのが得意な癖ににぼおっと
抜けてる時には本当に何にも見ちゃいない。
綾ちゃんはお昼ごはんのタイミングでドクターと二人きりで話を
した。りんちゃんがどんな経過でモチベーションを無くしていったか。
現在、どのような問題が起こっているか。(クレームをあげた3人の
患者さんのうち、2人まではドクターにも直接もの申していた。
が、ドクターはそこまで深刻なことだと認識していなかったようだ。)
りんちゃんと綾ちゃんが直接話をしたこと。どんな風に不満を持って
いるか。(もちろん、ドクターにとんちんかんに怒られた一件は
差っ引いて説明したよ。これはこれで大笑いのエピソードだけど、
本人の名誉に関わるからね。残念ですがオフレコです。)
そして綾ちゃんの「意見」というか「結論」。りんちゃんは
(冷たいようだが)うちの職場勤務に関しては長期的(または本質的)な
意味において改善の余地が無い(ところまで来ている)と思うこと。
故に勤務態度に関してキツく叱ったりすれば決定的な決裂に繋がるし
労働法上彼女は(こちら側も)即事解約出来るので結局突然彼女を失って
困るのは我々だということ。私が経営者なら、一刻も早く次の人材を
探しにかかるだろうということ。いつでも彼女を「切れる」状態に
しておく、という意味だ。
ドクターは注意深く綾ちゃんの話を聞いてくれた。綾ちゃんは
おそらく、ここでお勤めを始めてから初めて誰かのことを
ネガテイヴに「口に出して」話した、と思う。普段心の中で悪態を
ついても頑張って他人の悪口を口に出さぬよう心がけてきた。
ポジテイヴシンキングも欠かさなかった。だからドクターはきっと
綾ちゃんの話を真面目に受け取ってくれる、その確信があった。
『あなたの話はよくわかりました。でも私もりんとは直接話を
してみたい。次の人材の件はあなたの言う通りすぐに動き出した方が
良いかも知れない。』
バイエルンFC応援団
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