実はこういう闇交渉はドイツの至るところで、ありとあらゆる
場面で行われている。ドイツ社会の二重構造だ。(そのうち説明するけど
実はタテマエの上にも下にもそれぞれ「闇」がある三重構造と言える。)
カレル橋から見た風景
バスの運ちゃんとしては、タダ乗り野郎を警察に突き出しても一文の得にも
ならない。おそらく時間のロスも多く、定時どころか大遅刻する公算大だ。
だがこのまま乗せることは絶対にできない。彼にとって一番楽チンな方法は
ダフ屋並みの料金をふっかけて自分のポッケに入れるやり方だ。
そして乗客たちはその料金設定に文句をつけ悪辣(!?)だと
非難しているのである。
オイ、おかしいだろう、問題の所在がずれてるだろう。
第一、あのおっちゃんが何しにプラハに行くのか知らんが
まだ乗車券を買っていない状態で所持金30ユーロのみなんて
わざとらしく変じゃないか。
一番近くに座ってゲキを飛ばしているのは小太りのアジア人おばさんだ。
フィリピンとか東南アジア系。
改めて周りを見渡してみると主に運転手を非難しているのは外国人だという
ことに気がついた。このバス、どれだけの割合でガイジンが乗っているんだろう。
綾ちゃんも隣のにーちゃんもガイジンだし。よーく見ると7割がたガイジンっぽい
気がする。これだけお値段が安いわけだから社会的弱者の移動手段にもなるわけだ。
なるほど。今現在の議論はガイジン同士がやってるいがみ合いってわけね。
最前列の若い女性(これはドイツ人ぽく見えた。発音もね)が大声で提案した。
『ああ、わかったわよ。この強欲オヤジめ。
ねえ、ここには44名の乗客がいるんですもの。皆でお金を集めましょうよ。
一人1ユーロずつ募金(???)したって44ユーロになるわ。
それを彼にあげて全部で50ユーロにしてあの運転手に渡すの。
いいアイディアだと思わない?』
拍手が上がった。
だから、なんでそうなるんだ???
カレル橋にある30の銅像の一つ
聖ノルベルト バーツラフ ジグモント
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