ここにはマトモな神経と理性の持ち主はいないのか?
と、やおら綾ちゃんの背後からいかにもドイツ人ドイツ人した年配の
おじさんが立ち上がった。渋顔で運転手のところへ行った。
『おい、茶番は終わりだ。警察を呼べ。なんでこんなバカバカしい議論を
しなければならないのだ!あそこにいる男は社会を食い物にするただの
犯罪者じゃないか。この腐れ猿め!』
チェコのお菓子といえばトルデルニーク。
あちこちで焼きたてを売ってる。素朴なお菓子です。
はーい!綾ちゃん、おじさんに一票!綾ちゃんはタダ乗り野郎に
1セントだって金を恵む気にはなれない。
ドイツ人は「フェア」という言葉が大好きな民族だ。何かをごまかそうなんて
輩(やから)を最も憎んでいると思う。でも残念ながらことはそう簡単にいかない。
運ちゃんはハイハイ、今そうしようと思っていたとこですっておじさんを
いなして席に戻らせた。もちろん電話する様子はない。(その気があれば
とっくにしていると思う。)
多数決で決めるなら正論を唱えるドイツ人のおじさんは圧倒的少数派だ。
そもそも出発時に乗客の数を確認しなかった最初の運転手が悪いから
バス会社の責任だ。もちろん一番悪いのはタダ乗り野郎で
そいつに「交渉」を持ちかけた二番目の運転手も同罪、
その「交渉額」で揉めるなんてサイテーの状況に他の乗客を巻き込むな!
以上が綾ちゃんの論告。
なんか文句ある?
こういう、古き良き時代の正論が全く通らない社会、このバスの
今の状況ってもしかして移民政策にあっぷあっぷ言っているドイツ社会の
縮図そのものなのかもしれない。
そう気がつくとなんだか寒気がした。
前列の女性が勝手に車内を歩き回ってお金を集め始めた。コインを出す人、
5ユーロ札!を差し出す人、無視する人、、、
綾ちゃんと隣席のにーちゃんはドイツ語を解しないと(!!)思われたらしく
素通りされた。ま、いいけど。
『全部で40ユーロ集まったわ!これで解決ね!』
どうやら「解決」した(???)らしかった。
運ちゃんは50ユーロを受け取り、ブツブツ文句言いながらだったが
バスの運転を再開させた。
暑い日でね、こうしてソフトクリームを乗っけて食べると
美味しかった。でも腹にこたえる!実はこれを食べようと
お昼ご飯は小さなサラダ(とビール、もちろん)だけにしておいたんだけど
夜ご飯も何も入らなかったです、ハイ。
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