2014年8月10日日曜日

クロスワードパズル、SUDOKU、そしてスマートフォン

          


      『アンタ、ドイツ語わかんないんだろう?それとも耳が遠いのか、
     どっちなんだ!』




              リアクションが一歩遅れると罵声が飛んで来る。綾ちゃんは
     こ、この状況でどう対応したものか俊巡していたのだ。眼底出血の
     おじいちゃんは意味もなくオープンの30分前にやって来て(7時30分、
     つまり綾ちゃんの就業開始時間だ。)苦しみを訴える。
     夜眠れないからね、夜が明けるのを待ちわびてやって来た様子が
     目に浮かぶ。



      綾ちゃんは話を聞いてあげたいけどここで朝の準備を怠ると
     そのあと一日中仕事に支障をきたすのでとりあえずほったらかす。
     椅子を勧めてお茶を淹れたらソッコーで朝の支度に取り掛かる。
     (ちなみにドイツの普通の病院だと開院時間外は一秒たりとも
     患者を中に入れてくれない。)
     するとおもむろに新聞を取り出して裏のクロスワードパズルを始める。
     おお、ドイツ人!!!




              余談だが「クロスワードパズルに熱中する姿」というのはここ
      7、8年前まではドイツ人の超典型的時間つぶしの姿だった。
      朝の電車、病院の待合室、公園のベンチ。漫画を読んでる人なんて
      一人もいない。新聞を読むか小説を広げるか暗記物のお勉強にいそしむか、      あとは皆クロスワードパズルに夢中だった。

          
          





      が、突如として革命が起きたのは10年ほど前のことだ。
     あれほど人々を熱中させたクロスワードパズルより面白い一人遊びが
     広がったのだ。それがSUDOKU。手軽さといい、難度の具合といい、
     ヴァリエーションの豊富さといい、全てドイツ人のニーズにぴったり!

         





             けれどそれはとても短い期間だった。今、人々は電車の中で
    SUDOKUをしているのかなんだかよくわからない。
    スマートフォンやタブレットだからね。新聞を読むのも小説を読むのも
    ゲームするのもスマホだと「携帯」の一語で片付いてしまってつまんない。
    (ちなみに私見によればおじさん、おばさん族のひまつぶしは圧倒的に
    ソリテイアかテトリス。ゲームも古典が強い。)かくいう綾ちゃんも通勤電車で
    ブログ書いてるしね。
  


            だから、病院にやって来て新聞のクロスワードパズルを始めた
    おじいさんの姿は圧倒的なものがあったのだ。



             おそらく彼は携帯を持っていない。老人の一人暮らし。連絡をとる相手も
    いない。携帯を持つ必要性を感じないのだ。



           綾ちゃんはやむなくこの翌日からあと30分早起きして(サービス出勤さ)
    早く来るおじいちゃんを待ち受けることにした。
    どこまでもやってやろうじゃないのお!!




           

                ソリティア




           

               テトリス  シンプルイズベストだな。
            ちなみに綾ちゃんはゲームしません。







          

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