義理の妹にあたる方だ。ドイツ人だけどドクターたちとは親戚同様の
付き合いをしている。70歳位だが見た目は若く美しい。昨年大きく体調を
崩してうちのドクターを頼ってやって来た。何十回と治療を受けたが
ドクターは一度としてお金を受け取っていない。すっかり元気になられた
ところで、では一度食事を招待させて下さいと言われて綾ちゃんまで
ご招待に預かった。息子も一緒だ。
お店はこちらで選ぶようにということだったので北京ダックを
食べることにした。
ドクターたちが知り合いのコックさん(もちろん中国人)に聞いて、
オリジナル北京ダックを用意してくれる店の情報を仕入れたのだ。
前日、ドクターの奥様が中華料理店のホームページを検索していたので、
綾ちゃん、そこの住所をメモしておいた。なんだ、随分遠いなあ。
ミュンヘン空港に近い駅だし、しかも駅から徒歩20分くらいかかりそう。
一時間前に家を出ても間に合いそうにない。
結局その日は朝10時半ごろ家を出た。あのメンツなら死ぬほど食べる
ことになるに違いないから朝ごはんは抜いてきた。
お昼の12時の約束だけどタイミングよく綾ちゃんたちが乗るつもり
だったのの前の列車が遅れてやって来たのでかなり早めに駅に着いた。
まだ11時過ぎ。でもこれからたくさん歩きそうだし、、、と思っていたら
ドクターから電話がかかってきた。
『フラウ ヨシオカ、今日のお店がどこか知らないでしょう?』
え?「シャンハイ(Shanghai)」でしょ?全部メモってきてますけど。
『ちがう、ちがう、うちの奥さんが間違えて教えたんだ。
僕らも行ったことないお店なんで勘違いしちゃったんだ。』
ウソ、もう駅まで来ちゃってますよお。
『えっと、その駅じゃなくってもっと手前の駅なんだ。
住所はね、、、、でも駅を出たらすぐ右手だからわかるよ。』
あの、で、そのお店は何ていう名前なんですか?
綾ちゃんがそうたずねると、ドクター、突然電話の向こうで慌てて
『ええっと、えー、、、は、はるもにー!(Harmonie)』
ああ、そっか。中国語の発音を綾ちゃんたちは理解できないから
とっさにドイツ語訳してくれたのね。んん?Harmonieに当たる
漢字って何だろう?
息子とああでもない、こうでもないと話しながら電車で引き返し
正しい駅に到着した。駅を出るとすぐ右手にとてもチープな感じの
さびれた中華料理屋の入り口があり(HITという大型スーパーマーケット
のテナントだった。)まさかこれではないだろうなといぶかしんで
看板を見上げるとそこには、、、
和合 Banana Blatt
と書かれていた??????バナナの葉って「和合」の訳??
ドイツ版北京ダック
中国クレープに千切り野菜付き