仕事中、突然停電した。
おい、昨日の今日だぜ。
ここのところ停電騒ぎがしょっちゅうだ。この間は漢方薬を煎じようと
薬瓶(仕組みは要するに炊飯器と同じで漢方薬専用の調理器具)のスイッチを
入れたとたんバチンとブレーカーが落ちて往生した。カンベンして欲しい。
これで漢方薬を煎じます。
あれれ?電源板に走る綾ちゃん。ブレーカーは落ちてない。
建物全体か?この地区全部?
ここはミュンヒェンの中心部。停電なんかしたら
大騒ぎのはず。以前、地下鉄も何もかも止まって
大問題になったことがあった。
ドクターが困った困ったと頭を振りながら診察室から
出てきた。まっ、うちはさほど大したことでもないんだけどね。
とりあえずお向かいの歯医者を覗いてこようっと。
お向かいのドアを開ける。
おお、見事に開店休業状態。
歯医者こそ電気がなければ何もできない。
ザンダー先生、アシスタントたちと顔を突き合わせて
途方に暮れている最中だった。
と、そのとき、なんだかくぐもった声と何かを叩きつける音が
かすかに聞こえた。
『助けて!助けて!誰か!お願い!』
え?まさか、誰かどこかに閉じ込められている?
0 件のコメント:
コメントを投稿