せっかく?病院がお休みなので今日はいつもとは違う話題を、、、。
ドイツ語の生きたお勉強。この間、ドイツ人にこの話をしたらウケた。
ドイツ語のお勉強を始めるとほとんど最初に習うのはグーテンターク
(こんにちは)、ヴィー ゲーツ イーネン?(お元気ですか?)
ダンケ、グート(ありがとう、元気です)だと思うんだ。
綾ちゃんが大学一年生で生まれて初めて受けたドイツ語の授業は日本語ペラペラの
ドイツ人の先生によるものだったけどやっぱりこんなもんだった記憶がある。
挨拶言葉ってのは基本中の基本だからおそらく世界各国語何を習い始めても
最初に習うのはこれだと思う。英語の勉強を始めた時も、ハロー、ハウアーユー?
ファイン、センキュー、アンジュー?だったでしょ?
綾ちゃんは英語圏で生活したことがないから学校英語にどっぷり浸かって
実際に生きた英語を学ぶ機会がなかった。生活言語としての外国語は
ドイツ語が初めての体験だったんだ。
そして、いざドイツに来て生活してみると、この、初歩中の初歩である
基本挨拶がほとんど「使えない」ことに程なく気づいたのである。
「旅行(ちなみに一回め)」や「短期留学(二度目の渡独)」の際には
気づくことはなかった。型通りの挨拶で全て事足りたのである。綾ちゃんが
言っているのはマコトの住民としてドイツ人の中に入って生きて行くという
意味では、という意味だ。
ミュンヘン大学の構内で観察していると誰かが誰かに会う。ハロー、と
ここまではいい。ヴィー ゲーツ?そのあと相方はシュレヒト(ダメ)!とか
シュレックリッヒ(最悪)!とか言って会話が始まる。えええ〜?なんでー?
もっと困ったのは病院だ。具合が悪くて病院に行ったら医者が患者に
こともあろうかヴィー ゲーツ イーネン?なんて訊いてくる。だって
綾ちゃんは真面目な学生だったんだからこのセリフを尋ねられたらもう
機械的にダンケ、グートって答えちゃうんだよ(あはは!)おそらく死の床でも
やるな、絶対。ありがとう、元気ですって。刷り込みってのは怖いもんだ。
困惑した綾ちゃんは必死でドイツ人たちの観察を重ねた結果、
驚くべき結論に達したのである!
元気ですかと尋ねられてそのまま元気ですと答えてはならない!!
これはほとんどニュートラルを通り越して相手に対する拒絶を意味したり
さえするんだ。もちろん、使っていいんだよ、ダンケ、グートって。でも
こう言ってしまうとそのあと話題が続かないじゃないか。グートのあとで
そういえばさ、この間のあれ、どうなった?とかスムーズに波に乗れる人は
いい。自信を持ってダンケ グートを使うがよい。あと、電話したら話を
したい奥さん(日本人)じゃなくてドイツ人の旦那が出たケース。一応、
ヴィー ゲーツ?って訊く。相手も早く奥さんに代わってあげたいから
ダンケ グートでお茶を濁して話を打ち切るんだ。
わかった?ヴィー ゲーツ?ダンケ グートっていうのは例えて言うなら
タクシーの運ちゃんが一見のお客さんに天気模様の話題を振るような
汎用性に溢れた意味のない言い回しであってあまりに無色であるがため
これを使用した時にはやんわりと「アンタと話は無いんだよ」的なニュアンス
さえ醸し出したりするんだ。
ヴィー ゲーツ?と訊かれてシュレヒト(ダメ)なんて答えてごらん、
途端にセリフが「個人的」なニュアンスを醸し出して私の相談聞いて的な
雰囲気に一気に直行できるんだ。そして昨日の出来事を(それがつまんない
ことでも)話題に延々とおしゃべりするきっかけになったりする。
たかが挨拶、されど挨拶。侮ってはいけない。
生まれて初めてミルフィーユ作りましたー!
パイがちょびっと焦げちゃったけど苦くはなかった。
ミルフィーユ大ー好き!
ちなみに綾ちゃんは毎日病院でこの基本挨拶言葉の実際的運用例を
行っている。
患者さんがやってくる。綾ちゃんがヴィー ゲーツ イーネン?って
尋ねる。患者さんは十中八九綾ちゃんにダンケ グートを言う。
直後にドクターがそこに通りかかる。ドクターが同じ患者さんに訊くんだ。
ヴィー ゲーツ イーネン?って。すると今度は患者さん、泣きそうな
顔に変わって「いいえ、聞いてください、ドクター。この間、これこれ
こんなことが、、、。」ってね。
、、、で、綾ちゃんはちょっぴり傷ついたりするわけだ。