2016年3月31日木曜日

元気ですと答えてはならない(綾ちゃんドイツ語講座)




    せっかく?病院がお休みなので今日はいつもとは違う話題を、、、。



    ドイツ語の生きたお勉強。この間、ドイツ人にこの話をしたらウケた。



    ドイツ語のお勉強を始めるとほとんど最初に習うのはグーテンターク
   (こんにちは)、ヴィー ゲーツ イーネン?(お元気ですか?)
   ダンケ、グート(ありがとう、元気です)だと思うんだ。
   綾ちゃんが大学一年生で生まれて初めて受けたドイツ語の授業は日本語ペラペラの
   ドイツ人の先生によるものだったけどやっぱりこんなもんだった記憶がある。



    挨拶言葉ってのは基本中の基本だからおそらく世界各国語何を習い始めても
   最初に習うのはこれだと思う。英語の勉強を始めた時も、ハロー、ハウアーユー?
   ファイン、センキュー、アンジュー?だったでしょ?




    綾ちゃんは英語圏で生活したことがないから学校英語にどっぷり浸かって
   実際に生きた英語を学ぶ機会がなかった。生活言語としての外国語は
   ドイツ語が初めての体験だったんだ。



    そして、いざドイツに来て生活してみると、この、初歩中の初歩である
   基本挨拶がほとんど「使えない」ことに程なく気づいたのである。
   「旅行(ちなみに一回め)」や「短期留学(二度目の渡独)」の際には
   気づくことはなかった。型通りの挨拶で全て事足りたのである。綾ちゃんが
   言っているのはマコトの住民としてドイツ人の中に入って生きて行くという
   意味では、という意味だ。



    ミュンヘン大学の構内で観察していると誰かが誰かに会う。ハロー、と
   ここまではいい。ヴィー ゲーツ?そのあと相方はシュレヒト(ダメ)!とか
   シュレックリッヒ(最悪)!とか言って会話が始まる。えええ〜?なんでー?




    もっと困ったのは病院だ。具合が悪くて病院に行ったら医者が患者に
   こともあろうかヴィー ゲーツ イーネン?なんて訊いてくる。だって
   綾ちゃんは真面目な学生だったんだからこのセリフを尋ねられたらもう
   機械的にダンケ、グートって答えちゃうんだよ(あはは!)おそらく死の床でも
   やるな、絶対。ありがとう、元気ですって。刷り込みってのは怖いもんだ。




       困惑した綾ちゃんは必死でドイツ人たちの観察を重ねた結果、
            驚くべき結論に達したのである!



      元気ですかと尋ねられてそのまま元気ですと答えてはならない!!



    これはほとんどニュートラルを通り越して相手に対する拒絶を意味したり
   さえするんだ。もちろん、使っていいんだよ、ダンケ、グートって。でも
   こう言ってしまうとそのあと話題が続かないじゃないか。グートのあとで
   そういえばさ、この間のあれ、どうなった?とかスムーズに波に乗れる人は
   いい。自信を持ってダンケ グートを使うがよい。あと、電話したら話を
   したい奥さん(日本人)じゃなくてドイツ人の旦那が出たケース。一応、
   ヴィー ゲーツ?って訊く。相手も早く奥さんに代わってあげたいから
   ダンケ グートでお茶を濁して話を打ち切るんだ。



    わかった?ヴィー ゲーツ?ダンケ グートっていうのは例えて言うなら
   タクシーの運ちゃんが一見のお客さんに天気模様の話題を振るような
   汎用性に溢れた意味のない言い回しであってあまりに無色であるがため
   これを使用した時にはやんわりと「アンタと話は無いんだよ」的なニュアンス
   さえ醸し出したりするんだ。


    ヴィー ゲーツ?と訊かれてシュレヒト(ダメ)なんて答えてごらん、
   途端にセリフが「個人的」なニュアンスを醸し出して私の相談聞いて的な
   雰囲気に一気に直行できるんだ。そして昨日の出来事を(それがつまんない
   ことでも)話題に延々とおしゃべりするきっかけになったりする。



        たかが挨拶、されど挨拶。侮ってはいけない。




       

          生まれて初めてミルフィーユ作りましたー!
         パイがちょびっと焦げちゃったけど苦くはなかった。
              ミルフィーユ大ー好き! 



      ちなみに綾ちゃんは毎日病院でこの基本挨拶言葉の実際的運用例を
     行っている。

      患者さんがやってくる。綾ちゃんがヴィー ゲーツ イーネン?って
     尋ねる。患者さんは十中八九綾ちゃんにダンケ グートを言う。
     直後にドクターがそこに通りかかる。ドクターが同じ患者さんに訊くんだ。
     ヴィー ゲーツ イーネン?って。すると今度は患者さん、泣きそうな
     顔に変わって「いいえ、聞いてください、ドクター。この間、これこれ
     こんなことが、、、。」ってね。



      、、、で、綾ちゃんはちょっぴり傷ついたりするわけだ。









2016年3月30日水曜日

あんまり教えたくないランチタイム



今週綾ちゃんはドクター無しの?出勤日。やったー!


ドクターは突然中国行きのチケットを取って里帰り。あんまり突然だったから
綾ちゃんは何か悪いことでも起こったんじゃないかって心配しちゃったりしたんだけど
そういうことでもないらしい。


だとしたら、綾ちゃんにも思い当たるフシが無いでもない。


いやいや、とにかく正月明けから気も狂わんばかりの忙しさだったんだ。
綾ちゃん自身も自分の体調や精神力、プライベートや家事のバランスに苦労した。
ここいらでちょっと一休みするために里帰りするのは
ドクターにとって大切なことなんだろう。



綾ちゃんは特に旅行の予定も無いのでお休みは取らずゆっくり骨休みを兼ねて
書類仕事。今日は一日雑務を「ながら」でして、、音楽かけて、コーヒー飲んだり
LINEでしゃべったり。


定時まで真面目に?お仕事した後はまっすぐうちには帰らない。今日は
後で息子と待ち合わせてチェロのレッスンに付き合う。さてご飯はどうしよう?



こんな時、綾ちゃんはだいたいここに来る。いやー、他人に教えたくないなあ。
今日はお天気も良くって絶対気持ちいいもんなあ。




カールス門そばOBERPOLLINGER最上階のLeBuffet
いわゆるデパ食ってやつだけどどうしてこれがなかなか。お一人様でも
長居してもノープロブレムだしゴハンも安いし結構美味しい。


パニーニなんて充実、今日の日替わりはトリフ入りマスカルポーネ&野菜。


綾ちゃんのお気に入りは目の前で作ってくれるパスタ。ソースと具、パスタを
選んで出来立てを召し上がれ。8ユーロ50セント。



うおおー、これは綾ちゃん、そのうち挑戦しようと狙っているトルティーヤサラダ。
これも8ユーロ50セントだったと思う。



屋上のテラス席でのんびり文庫本を片手にまったりしてます。


他人には教えたくないとっておきの場所、教えちゃいました。
ここでぼーっとしてるお一人様の日本人のおばさん見かけたら、
きっとそれは綾ちゃん。気軽にお声をお掛け下さいませ。





2016年3月28日月曜日

日本では観ることのできない日本発の心の叫び〜フクシマ モナムール



        行ってきました。観てきました。フクシマ モナムール。


       絶対に行くべきです。超おすすめいたします。本当に久々に
      観甲斐のある作品に出会ったと思いました。ドイツ語が
      お分かりにならない方も会話はほとんど簡単な英語で進むので
      大丈夫だと思います。日本語の部分は字幕が出ないところもあって
      我々日本人には超お得!何よりも強調したいのはこの映画は日本では
      観ることができない。おそらく日本語版のDVDも発売されることはない、
      ということです。今、観るべきです。




        原題は「フクシマからこんにちわ(Grüsse aus Fukushima)」
    綾ちゃんはお友達のもとこさんと一緒にSonnnenstr. (カールス門近く)の
    City Kinoに行きました。そのあともとこさんと夜中まで呑んだくれた。





     日本のニュース記事だと福島が舞台のドイツ映画に桃井かおりが
    ちょい役で出たみたいな書きっぷりだった。こういうテーマを日本に
    持ち込みたくない政治意志が透けて見える。でも彼女はロザリー トマスと
    ともにまるまるダブル主役の一人。
    ものすごい演技力だった。昨年89歳でお亡くなりになった釜石最後の芸者、
    故伊藤艶子をモデルとしたというサトミ役。 





     FUKUSHIMAという単語からイメージする悲惨さ、凄惨さはしかし
    実際の映像で見る現在の荒涼たる風景の中にすでにメタファーとなって
    訴えかける。舞台は、そして監督が語りかけたい喪失感は、そこが戦争の
    焼け野原でも地球の終わりでも同じことなのだけれど(そしてそのような
    映画はこれまでに山ほど産み出されてきたけれど)これはやはり
    FUKUSHIMAである特殊性が巧妙に訴える力を持っている。「平和」の国、
    裕福で文化薫るニッポン。その中にぽっかりと映えるブラックホールのような
    場所。全世界の人々がそのことを識っていて当事者国のニッポンだけが
    知らん顔を決め込んでいる。



     そんな黄泉の国への入り口で出逢った二つの傷つける魂のお話でした。



     セリフのひとつひとつに含蓄があって美が内包されていてカットの
    一コマ一コマにはっとさせるきらめきを感じる、とにかく久しぶりに
    出逢った素晴らしい映画でした。





      日本に住んでてロードショーを見れない方はせめてメイキング オブ
     だけでも。庭にある枯れ木は綾ちゃんには故タルコフスキー監督の
     遺作「サクリファイス」を想起させる。





      何度も言います。上映国にお住いのみなさん、絶対に観に行くことを
     おすすめします。




2016年3月26日土曜日

暗唱 祇園精舎




            イースター休暇中でーす!



         まっ、旅行とかに行ってるわけではないんですが
        毎日お友達に会ったり結構ドタバタしています。



         ブログの方がご無沙汰になってしまったので
        今日はまたまた理亜奈ちゃんの暗唱をご紹介いたします。





              理亜奈ちゃん。祇園精舎。







          弟の玲音くんも。小さいのに頑張ってます。





2016年3月24日木曜日

理亜奈ちゃんの暗唱〜枕草子




          

     最近、朗読にハマっています。自分で朗読するんじゃなくって
    (実は自分で朗読するのも好き)録音されたものを聞くんだけど。
    YouTubeとかに良質なものが色々アップされていて楽しい。
    目で読むのと違った楽しみがあるし「ながら」もオーケーだから
    アイロンとか家事をしながら物語の世界に入っていけるのもいい。



     夏目漱石やら樋口一葉などの名作を一通りおさらいできたのは
    ものすごい収穫でした!文学オタクの綾ちゃん、このマイブームは
    まだまだ続きそう。




     なあんて一人で盛り上がっていたところ、偶然、息子のお友達が
    小さい頃次々と名文の暗唱をしていたという話を伺いました。
    子供にどんどん暗唱させるといいっていうからさせてみたところ
    とっても上手なのでYouTubeにアップしておいたんだって。



           ではご紹介。お母様の了解を得て。




        理亜奈ちゃん、当時6歳。身振りも交えてとっても上手。



      他にもいろいろあるので機会を見つけて順次紹介していきますね。
    

2016年3月23日水曜日

縁の切れ目




   綾ちゃんの経験上、Zおばあちゃんのようなタイプの人とは大体において
  永く縁が続くことはない。必ず(こちら的には大したことない)クレーム絡みで
  トラブルが発生し人間関係に亀裂を生じさせる。でもそういう際にも、
  綾ちゃんの個人的見解だと、クレームの上がる「流れ」の裏には、結局、
  「完治せぬ現状への苛立ち」が隠れ潜んでいてネガティブな感情を抑えられず
  理性を欠いた振る舞いになるような気がするなあ。



   治療が長引くと予算的にも辛いだろうし、お年寄りの場合、何をやっても
  治らなかった辛い症状が漢方薬と鍼で軽減すると嬉しくてもっともっとと
  なるんだろうけれど若い頃のような完全な健康体に戻れるかどうかは別件だ。



   我々は患者さんに(普通のお医者さんがするように)ハイ、これでおしまい、と
  簡単に治療の幕引きができない。歯医者さんなら詰め物を取り替えたらおしまい、
  内科なら薬を処方して注射を打ったらさあおしまい。
  でもうちの場合はほとんどのケース、治療の終わりは患者さんに判断させる。
  多くはお財布との相談だ。
  その「終わり」が綺麗にいかない典型的なケースと言ってもいい、今回のはね。



   案の定、前回貼った湿布薬が肌に合わなかったのか指が赤くなっちゃった
  おばあちゃんがものすごい勢いで怒鳴り込んできた。
  あたしゃあね、病気を治しに来たんであって病気をもらいに来たんじゃあないよ。
  こんなところ、二度と来るもんかい!



   残念ながらたまたまその時お昼休みでドクターは外出中。綾ちゃんが
  受付に一人だった。本当に残念無念。おばあちゃんは言いたいだけ毒を
  撒き散らすと帰って行っちゃったけどさ。もしこの場にドクターさえ
  いらしたら、まあまあまあなんて言いながら優しく謝って指の治療してくれて
  きっと次回の鍼治療分を一回無料にしてあげたりするんだろうけどさ。
  こういうの(運のなさ)も縁の切れ目だったりする。



            

           復活祭ですね。どこのお宅にもこんな風に
          卵の飾り付けがあります。春の訪れ。







2016年3月20日日曜日

盗まれた




        いやもう、盗まれるなんてもんじゃない。



   とにかく共用の場所に物を置いてくやつがバカだと言わんばかりの
  節度のなさだった。暑いのでミネラルウオーターや牛乳、ヨーグルト、
  朝ごはん用のサンドイッチなどを買い込んで冷蔵庫に入れておくと
  綺麗さっぱり無くなってしまう。一つ一つに名前を書いてそれをまとめて
  袋に入れてセロテープで封をしてもう一度大きく名前を書いておいても
  全く役に立たない。そして食べかけ、飲みかけのままで袋に戻しておく常識が
  理解できない。息子はただただ唖然とするばかりだった。母親の言っていたことが
  正しいどころかもっと凄まじい現実。


   綾ちゃんたちは洗濯をしたりで冷蔵庫の前を一日に何度もうろうろしては
  いたけれど綾ちゃんが見ている限りでは冷蔵庫を物色している人影は
  見当たらなかったから、何の恥じらいもなく何でも取って食ってるわけでは
  ないのだと思う。
  むしろ大事そうに紙袋なんかに入れて隅っこに置いている感じが高級で
  美味しいものが入っている印象を与えちゃったのかもしれない。




   正規の寮生には個人のミニ冷蔵庫が充てがわれ鍵をもらっているようだったが
  うちは2週間だけのお客さんだったからそういうサービスはなかった。



   オーストリアの大学寮とはいえ内訳はほとんど韓国人学生だったのでつい、
  韓国の国民性を疑ってしまいたくなった。どうなのかね?韓国って?綾ちゃんは
  あんまり親しい友人とかいないんだけど。(ちなみに綾ちゃんは学生時代、
  ミュンヘンの学生寮で生活していた経験があるがそこではこのようなことは
  全くなかった。韓国人も結構いたけど共用の棚や冷蔵庫、全然平気だったよ。)


   もしも、もしも、老人ホームがこんな場所だったとしたら、
  Zおばあちゃんみたいに何が何でも持ち物全部持ち歩いてしまいたくなる人が
  出現するのもわからんでもないなあ。もしもお部屋が誰かと相部屋だったら
  場合によってはそうなっちゃうかも。



   子供達が少年合唱団員だった時代、よく老人ホームに歌いに行ったものだけれど
  綾ちゃんが見た限りではそんなにひどいところには見えなかったけれどなあ。
  抽選で入る公立のとことかデラックスなホームとか随分差があるって話は
  聞かないでもないけれど施設の雰囲気によってはひどいところも
  あるのかもしれない。


            
           今日はいいお天気。ぶらぶら外に出てみたら
           高〜い木の上に何か停まってる? 



             何の鳥だろう?ずーっと一箇所に留まって
             いました。




2016年3月19日土曜日

盗まれる

                
   盗まれる、で思い出した、、、。



    共同の棚とか冷蔵庫とかだと日常的に物が無くなる。これは日本も
  ドイツも同じなんだろうと思うけど。


               去年の夏休み、息子がザルツブルク音大のサマースクールを2週間体験した。
   宿泊先は大学寮だったから綾ちゃんは荷造りの時忘れずに付箋とマジックペン、
   セロテープを用意して置いた。暑くなりそうだったしね。冷蔵庫は共用だと
   踏んだんだ。



               こういう共同生活が初体験の息子は綾ちゃんの説明を最初全く信じなかった。
   盗まれないように買ってきたものにいちいち名前を書いて更に袋に入れて
   封をしろだと?誰も他人のものなんて盗ったりしないよ!



              いやいや、こう考えてごらん。綾ちゃんはびっくり驚く息子に説明した。
   ボクは紅茶を飲みたくてテイーバックを買ってきた。お湯を沸かしてさあ飲もう、
   と思ったらお砂糖が無い。しまった、買い忘れちゃった。お茶は目の前で湯気を
   立てている。砂糖はほんの一匙でいい。そして目の前には誰か知らない人が
   置き忘れていった大きな砂糖のパックが口を開けて置いてある。さて、ボクは
   この砂糖を使うかい?それとも無糖で飲むかい?とりあえずカップを置いて
   10分歩けばたどり着くスーパーマーケットに買い出しに行くかい?



                           ・・・・・・・多分、使っちゃう、、、。


               ね、そう思うでしょう?何よりボクはこれまで家で家族としか暮らしたことが
   ないからこの砂糖が誰の砂糖かなんて考えたことなかったでしょう?この場合、
    家族の甘えの延長上のつもりでもそれがどんどんエスカレートしていって
   他人の物と自分の物との区別が全然つかなくなってきたりしがちなものなんだ。
   何よりはっきりとこれは誰かの所有物だから使わないでねっていう意思表示を
   しておくのは自分にとっても回りの人たちにとっても礼儀だしそれが親切って
   ものなんだよ。


                息子はそれでもまだ半信半疑だったが素直に綾ちゃんの用意したグッズを
   荷物に入れた。



               しかし、綾ちゃん&息子の直面した現実はそれよりはるかにハードなもの
   だったのだ。   




           

             ミュンヘンでも絶賛公開中。
         フクシマ モナムール (ドイツ語ではGrüß aus Fukushima)
         イースター休暇中にぜひ見に行こうっと。

2016年3月18日金曜日

カート



     それにしてもZおばあちゃんを象徴する買い物カート。肌身離さず持ち歩く。
    ごたごたした雑貨しか入ってないように見えるんだけどそんなに大事なのかな?
    トイレに行く時まで持って入るし治療中も絶対目の届くところに置いているし
    うっかり触ろうものなら大騒ぎされそう。



     先日、治療の終わり頃になって指の痛みを別件で突然訴えたおばあちゃん。
    そうかい、そうかい、って言ってドクターは湿布薬を貼ってあげようと
    治療室へおばあちゃんを連れて行った。が、一、二分もせぬうちどたばた
    駆け戻ってきて




     『誰も触らなかっただろうね。これは私以外の人が触ることは
     許さないよ。』




     いや、誰も触りたくないと思うってツッコミはもちろん綾ちゃんの
    心の中だけにとどめておいてる間に当のおばあちゃんはがらがら
    カートを押して戻って行った。やっぱりあのカートを命のように
    大切にしてるんだ。




     でもそれ以上特に思索にふけることもなく綾ちゃんは別の仕事に
    没頭していた。



     そうこうする間に、手に湿布薬を貼ってもらったおばあちゃんは
    またがらがら出てきて受付に座っている綾ちゃんを認めて突然説明
    し始めた。



      『私はね、誰のことも信用しないのさ。人間ってやつはとんでもない
      からね。何が起こるかわかったもんじゃない。だから私は自分の
      所有物を全て必ず持ち歩いているんだ。絶対に誰にも私の持ち物を
      盗ませないよ。』





     ひえええええ〜!!そっ、それで歯磨き粉からパンツまで24時間
    持ち歩いているんだ!それってまさしく浮浪者生活じゃん!





     おばあちゃんは大方抜けてしまった少ない歯を綾ちゃんに見せて
    にやりと笑って見せた。



     それは多分、綾ちゃんの見た初めてのおばあちゃんの「笑顔」だった。






             

           随分春っぽくなってきました。綾ちゃんちの
          玄関前に咲いていたただの雑草。高山植物っぽいね。


           


     

2016年3月17日木曜日

負のエネルギーのコミュニケーション




  


   そういえばこの間の鍼を抜く順番を綾ちゃんが間違えたとか言ってクレーム
  つけた件は後からおばあちゃん、わざわざうちの病院に書留郵便を送りつけてきて
  今後、ドクターからしか「鍼を抜く」治療を受けないこと、綾ちゃんが鍼を抜く
  順番を間違えたこと(おい!)によって彼女に健康障害が起こった場合、
  ドクターが責任を取らねばならないなどと手書きで書かれた紙が入っていて
  びっくりした。
  ほらほら、おばあちゃんがクレームつけた時、どうせいろいろ説明しても
  聞いてくれないから適当にハイハイって相槌打ってたらなんかわけのわからん
  成り行きになっているじゃないか。



   まあいいけどね。綾ちゃんは一つ仕事が減ったわけだし万が一、こんなことで
  訴えられたとして(どうやって??)どんな立証も不可能だし、第一、おそらく
  おばあちゃんはなんだか嫌がらせでいろいろやってるだけで絶対そこまで
  いきっこない。多分、こういうこと(クレームの手紙を書いて書留で送る)すると
  胸がせいせいするんだろう。それならそれでいいや。



   と、放ったらかしておいたらまあ、次から次に他にもいろんなクレームを
  言ってくる。もう自分でも覚えてないんじゃないだろうか?
  そんなに不満なら他所に行った方が病気も治りそうなもんだと思うけれど
  多分違うんだな、これが。綾ちゃんもドクターも結局、こういうことを見抜いて
  それなりに相手してあげてるからおばあちゃんも通い甲斐があるんだ。
  負のエネルギーではあるけれど立派なコミュニケーションなんだと思う。



               甘えってやつだな。


   ホームでもこんなことばっかりやってるのかな?きっとそうなんだろう。





            




   



    チェロはイマイチだけどスプーンの方は結構力作、に見える。


2016年3月16日水曜日

高級プライベート医院の邂逅




     実は先日、Zおばあちゃんとモニカさんがクロスオーバーした。
    どんな「高級プライベート医院」なんだ!ここは!?




     モニカさん、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれないが住所不定の
    本名を明かさない浮浪者のおばあちゃんだ。言葉の端々からおそらく
    不法滞在者のようだ。職業(と言えるのか?)は空き瓶回収業だと
    つい先日聞いた。妙なご縁でなんと彼女はうちの患者さんとして
    居ついてしまった!彼女は3ヶ月に一度ほどのペースでふらりとやってくる。
    少しずつお金を貯めて鍼の料金に達したら治療を受けに来るらしい。
    それが礼儀だと考えているらしく、必ず綾ちゃんに3ユーロほどの
    チップをはずんでくれる。要らないと言ってもどうしても受け取って
    欲しいと譲らない。彼女の治療は必ずドクターが全て一人で行うのに。




     いつぞやは綾ちゃんがふとモニカさんを後ろから覗いたら薄いズボンが
    ぱっくりと5センチ四方位に穴が空いていてこりゃあ大変だと思って
    慌ててうちの余っている作業着をあげた。たまたまドクターがサイズを
    間違えて買ってきたやつがあって誰も着ないので持て余していたズボンだ。
    


     彼女にも(というかおそらく負い目があるからこそ)プライドがあるらしく
    最初は施しを受けるのをものすごく嫌がったが結局受け取った。




     ただし彼女はとても穏やかな人好きのする性格でうちでは皆に愛されている。
    身なりはみすぼらしくてもおそらくかなり気を遣っているらしく身体は
    清潔に保っている。ちっとも臭くないし服だって靴だって汚れてはいない。



     これも気を遣ってかドクターがどんなに勧めても決して食べ物を口に
    しないしお茶も飲まない。いや、「施し」じゃなくって本当にただうちの
    ドクターは他人にあれ食えこれ食えというのが好きなだけなんだけどね。



     経済的に負い目のない人たちは何のわだかまりもなく「じゃ、ごちに 
    なりやす」てな具合なんだけどモニカさんとZおばあちゃんは決して
    何も口にしない。ここら辺はものすごく似ている。





     でも二人を見比べると明らかだ。どう見てもZおばあちゃんの方が
    圧倒的勝利で浮浪者に見える。彼女が待合室にいると他の患者さんが
    「引いて」いるのがわかるもん。






           3・11はドイツでは大震災の日ではなく
           「フクシマ」の日です。



2016年3月15日火曜日

鍼を打つのはステイタス





     『これは困るよ。私は老人ホームに住んでいるんだ。
     ホームに帰った後で同居の仲間に鍼治療に行ってきたことが
     バレてしまうじゃないか。』





   えっ?おばあちゃん、ここにきてること秘密にしてるの?しゃべりまくる
  必要も無いことではあるけれど(病気のこととかね)。それって耳つぼシールを
  取らなきゃいけないほどのこと?耳つぼって効くんだよ。ダイエットとか
  禁煙だとか長期治療の必要な患者さんに手軽に施してあげられるし、しかも
  ドクターはこれ、サービスでしてくれて特別料金おばあちゃんから取っても
  いないんだよ。




     『ホームの老人たちはね、嫉妬深いんだ。私がプライベート医に
     かかって高級な鍼治療をしていることがバレたらまずいことに
     なっちまう。』



   そう言って彼女は綾ちゃんに耳のシールを全部取らせてしまった。
  肌色のシールだからよーく見ないとわかりませんよって一応言って
  みたんだけどね。患者さんが望まない治療を強要することは出来ない
  からね。 




   そうかあ、プライベート医にかかって高級な鍼治療、、って綾ちゃんは
  日本人の感性で考えちゃうから「たかだか」鍼って思っちゃうけれど
  こっちの人にとってはそうじゃないんだ。鍼ってものすごいステイタスだったり
  するんだね。





             いつものスピードドローイングです。
         なんとうちの息子はこれが学校で話題になってそのことだけで
         ドイツ語の先生が成績を(内申点)皆の前で上げてくれたらしい。
         ドイツの教育ってかなり不可解なことがある!? 


2016年3月14日月曜日

耳つぼシール





     Zおばあちゃんの言いがかりは数え上げればきりがないほどだった。



          ここまで疑り深いと治る病気も治らない。




     彼女は身寄りがあるのかどうかは不明だが住所は老人施設だった。
    個室だが料理はできない。したがって自宅で漢方薬を煎じることが
    できないので毎回病院で用意してポットに入れてあげてお持ち帰り
    させてあげることにした。治療が終わるとその場で湯のみに薬湯を
    出して飲ませる。残りは二日分。多少間が空いても良いので次回
    お見えになられた時にまた二日分を煎じる。急にキャンセルすることも
    あるのでおばあちゃんの顔を見てから煎じ始める。



     けれどおばあちゃんの病状は一向快方には向かわなかった。




     ドクターはおばあちゃんのために耳つぼ用のシール状のミニ鍼を
    打ってあげた。レギュラーの治療の後に。治療効果が継続するようにって。



                          

ebayの画像より
日本ではダイエット用の宝石ツボピアスが流行ってるんですよね。



これは数日から1週間くらいはこのままにしておける。


そう聞いたおばあちゃん、いつもの毒舌こそ出なかったものの
ひどく困惑したようで、やっぱりシールを外してほしいと頼んだ。


ええ?なんで?





2016年3月12日土曜日

デモンストレーション





     うちのドクターなんかは必ず患者さんの目の前で鍼のパッケージを
    取り出してパリンと音を立てて包装を破って見せる。慣れた手つきで
    鍼の手元を左の指の間に挟み込み、一本一本右手に持ち替えながら
    ひょいひょい刺していく。




     尋ねてみたことはないけれど、これは明らかに患者さんに対する
    デモンストレーションだと思うんだ。鍼のパーフェクトな衛生状態を
    アピールするための。



     でも鍼を打たれる患者さんにはそこまで気がつかないことがあって
    (こっちだって、ほーら新品ですよー!、大丈夫ですよーなんて
    いちいち説明しないし。そんなことしたらむしろアヤシイし)
    後からこっそり綾ちゃんに、ねえ、大丈夫なの?なんて訊いたり
    する。ここで面倒がらずに丁寧に説明するのが重要。
    衛生面は皆の関心事だからね。




     使用済みの鍼は専用の缶に集めて後でお掃除の人がこれまた専用の
    プラスチック瓶に集めてから医療ごみとして業者に渡す。
    医薬事法の規定通りの処置だ。



                 使用済み鍼入れ



     うちの病院みたいに建物一軒まるまるお医者さんが入ってるビルって
    いうのはドイツでは良く見かける。患者さんにとって便利が良いという
    だけでなくごみ収集問題などもいっぺんに行える利便があるわけなんだね。



  

2016年3月11日金曜日

鍼灸の鍼は使い捨てです!




       これまた説明するにも及ばない、と思っていたけれど
      案外良く質問されるから解説しておこう。




           鍼灸の針は使い捨てです!





    扱いは西洋医学の注射針と全く一緒。大昔(って言っても綾ちゃんの
   子供の頃とか)にはおそらく殺菌消毒して再利用していたんだろうと思う。
   けれどAIDSという病気が鍼を含めた医学全般の衛正体系を劇的に変えた。
   先進国で鍼を再利用しているところはないはずだ。ここから一気に
   医療ごみ問題が加速度的に深刻度を増していくのだと思うけれど、まあ
   その話はそのうちにね。




    鍼治療の針は国際基準に従って大きさが定められていて使用頻度の高い
   細めの鍼(国際基準は無い?みたい。うちのは中国基準で32号とかが
   多いかな?)などは5本ひとまとまりにパッキングされている。
   

          

           拡大すると


           

             ね、5本セットでしょ。
           これより大きいサイズは一本ずつ。



       
           
          

2016年3月10日木曜日

春のコンサートのお知らせ 




            子供達がコンサートをしまーす!









      未熟者たちですがみんな頑張ります!
     日本の子供達も数名出ます。うちの二男も弾きますよ。
     来る3月12日(土)12時よりマリエン広場近くのMOVIMENTO
     (Neuhauserstr.15 ミヒャエルス教会正面のお店裏の入り口5階)にて
     入場無料です。上の招待状は何を勘違いしたか10月12日に
     なっていますね。すみませーん!3月12日の間違いです。



            お誘い合わせの上、いらしてくださーい!




2016年3月9日水曜日

恐れていた通りの展開




      『アンタ、医者じゃないんだろ。ど素人のくせに私の治療に関わるのは
      止めてくれないかい?私はちゃんと覚えているよ。この間はドクターが
      私の鍼を抜いたんだ。間違いなく足から抜き始めたね。アンタは
      鍼のことなんか何にも分かっちゃあいないから手から抜き始めたよ。
      これじゃあアタシの病気は治るものも治らなくなっちゃうじゃないか、
      どうしてくれるんだ?』





    やっぱし。始まっちゃったね。恐れていた通りの展開。しかもこれは
   取り繕う余地の全くない一方的な毒のばらまき。何故ならおばあちゃんは
   殆んど耳が聞こえない。こちらの説明など聴こえないしそもそも聞く気も
   ないのだ。筆談では用が間に合わないし。しかも殆んど被害妄想からくる
   滅茶苦茶なこじつけばかりだ。




    ちなみに、言うまでもなく、鍼は打つ場所が問題なのであって順番には
   意味がない。抜くときはなおさらだ。但し、綾ちゃんははっきりと
   鍼を抜く順番を決めている。まずは両手。右から左手。(左手利きの方は
   左から右)手のツボは意外に鍼を刺すと痛みがある、というのも理由の
   一つだが何より患者さんの両手をまず自由にして万一に備える。
   思いもかけず出血場所が多かった時など患部の止血を手伝ってもらえるからね。
   注射の針を抜いたときみたいに。血液凝固剤を常用している患者さんは
   多いんだ。鍼の傷はとても小さいから抜いた直後に塞げばマルクマ
   (凝固剤)の患者さんでも大事にはならない。少なくとも綾ちゃんは大事に
   至ったケースを一つも知らない。



    こういうことは誰に習うようなことではない。経験が教えてくれること
   なんだ、、、っておばあちゃんに教えてあげたいんだけど、ああん!
   聞いてくれないよーん!




     『アンタ、今、床に落ちた鍼を拾ってあの缶(使用済み鍼を集める)に
     入れただろ。知ってるよ。あれを私に打ってるんだ。
     止めてくれないかい?』  




    ぎゃー!人聞きの悪いことを言うのはやめてくれー!!
   今度はドクターに噛み付いているよ。







           ちなみに今日は国際女性デーらしいです。中国では
          ものすごく有名な日なんだって。ということで??
          ドクターにお花をいただきました???
          女性を大切にする日ということで男性が女性に贈り物を
          するらしい。ヴァレンタインデーみたいな感じかな?
          奥様には立派な蘭の鉢植えをプレゼントしていたよ。



 

2016年3月8日火曜日

嵐の予感?




     彼女は耳が遠くて殆んど会話というものが成立しなかった。お年寄りの
    患者さんが多い職場だから慣れてはいるけれど彼女のケースは最も
    コミュニケーションを取りにくいパターンだった。要点のみ筆記で
    (マジックペンで大きくボードに書く)判ってもらってなんとか受付終了。




     そうこうするうちドクターが出てきて、やあやあやあなんて言いながら
    (おばあさんのものすごい格好に気がつきもせず?うん、多分気付いて
    いなかった)色々コミュニケーションを取ろうとするがやはり壁にぶち当たり
    慌てて差し出した綾ちゃんのボードを頼りになんとか診察にまでこぎ着けた。




     受付から診察室へ移動する段になって初めて例の買い物カートに気がついて
    ぎょっとしながら改めておばあさんの格好をしげしげと眺めやったりしている。



     綾ちゃんも手続きを型通り行いながら、いやー偏屈そうなお年寄りだなあ、
    こりゃあ、一波乱起きなきゃあいいけど、なあんて無意識に自分の堪忍袋の
    緒の太さ強さを測ったり試したりし始めていた。



            


ドクターから中国のお土産でミニ屏風をいただきました。
何に使ったらいいのかな?



2016年3月7日月曜日

その女性が入ってきた時




     その女性が入ってきた時、綾ちゃんはてっきり物乞いの人が紛れ込んだと
    思ったんだ。病院は街の中心街にあるから隙あらばホームレスの人が
    雨宿りやなんかで寄り付こうとする。大病院の待合室なんて上手くいけば
    気づかれないしね。まあ、大抵の場合管理会社の人たちがきちんと対処して
    いるから問題にならないけどね。だから綾ちゃんも安心してこういう時は
    落ち着いて応対できる。予約はおありですか?うちは事前予約制のプライベート
    病院ですが、、、ってね。



     でもそのおばあさんは予約済みだっていうんだ。お名前はZさん。
    あれ、本当。はあ、それではどうぞ。こちらへお掛け下さい。
    お茶はいかがでしょう?
    初診の問診票にご記入いただけますでしょうか?




            、、、しかし、すごい格好だ。



     にほんのせんべい布団を縫い合わせたようなコートはぼろぼろで磨り減ったり
    破れたり汚れたままだし髪もざんばらで山姥状態。佝僂(くる)病で
    折れ曲がった背中がミステリアスに怖い。もちろんうちの病院にはこの症状の
    患者さん自体は別に珍しいことはない。当然ながら背筋痛や腰痛に苦しめられて
    いらっしゃることだろう。



     だが彼女の容姿にとどめを刺しているのは彼女自身というより彼女の
    「持ち物」にあった。どこにでもあるショッピングカートなんだけど
    やはりぼろぼろで中の針が外に飛び出している。雑多な生活用品が
    詰め込まれているらしく歯磨き粉チューブ(8割がた使用済み)とか
    顔を覗かせているしそこに入りきれないものはスーパーマーケットの
    ビニール袋にいくつも詰め込まれてカートの持ち手のところにぶら下げて
    あった。これじゃあ綾ちゃんがホームレスの人と間違えたのも無理はない。





           

本文と関係ありませんが本日ニコラウス アーノンクール
の訃報を知りました。偉大な、偉大なマエストロです。
彼の古楽器バッハ全曲集のCDは偉業です。
ご冥福をお祈りします。



2016年3月5日土曜日

人間は見た目の通り?




          人は見た目で決まるなあって最近よく思う。



    綾ちゃんは長ーい間、それとは反対のことを考え続けていたんだ。人間の
   価値は外見ではないって。


    それは例えば容姿が美しいとかお金持ちだとかどんな車に乗っているとか
   そういう問題とは似ているようでちょっと違うし綺麗にしていれば良いとか
   いうのともすこおし次元が違うように思う。



    「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」といったのはリンカーンだ
   けれどこれだな、これ。




    小さな子供に自由に絵を描かせると驚くほど幼い心情や抑うつの正体を
   正直に表現するものだけれど、それと似ているんじゃないかな?
   大人になると社会との関わり方や自らの思想が全て外見に集約されてくるように
   思われるなあ。



    お金がなくったって身体が不自由だって清楚な身なりをすることは可能だし
   ヤクザな商売をしている人たちはいつの間にかそういう匂いを外見にも
   ファッションにもまといつけるようになってしまう。



    これから話そうとしているおばあちゃんも、一目見ただけでびっくりするような
   風貌だったんだ。




          

彼だってイケメンじゃありません。




             

2016年3月4日金曜日

トラブルメーカー




     トラブルメーカーの人というものはだいたいいつもどこかにいるものだ。
    うちの病院にもそういう患者さんはもちろんいてこっちもヒヤヒヤしながら
    対処に追われたりする。まあ、お高いプライベート病院だから滅多に
    いないんだけどね、ありがたいことに。



     綾ちゃん的ブラックリストナンバーワンはジェレミーおばあちゃん(仮名)
    もうこれまで何度も彼女の話題を出してきたし彼女はすでに精神崩壊の域に
    達しているから(もちろん身体もボロボロ)はたで見ていて本当に哀しい。



     彼女の場合はしかしながら生命エネルギーが非常に強くて身体と心の崩壊に
    とことんあらがっている。自分のやり方で。わがままではた迷惑なんだけど、
    ある意味ものすごく元気なんだ。




     最近彼女はうちの病院にはご無沙汰で、そうなるとそれはそれで心配に
    なってしまう。老人の一人暮らしであのお身体で(性格で)どうやって
    暮らしているのかしらって。



     まあ、綾ちゃんも毎日彼女のことを考えているわけではなくって時折
    手の空いた時にふっと頭をよぎるという程度のことなんだけれどね。




     でも最近、また新たなへんてこりんおばあちゃんが現れたんだ。



     どっちの方がよりトラブルメーカーなのか甲乙つけ難いかも、、。




           いや、勘弁してほしいもんだ。







2016年3月3日木曜日

女たるもの




参った。


今日は久々に郊外電車が事故で大混乱。(なんと街中の幹線部で
衝突事故があったとか。その2時間後にもう一度事故が起こったらしい。
この間も国鉄で衝突したばかりだぜ、大丈夫か?)行きはなんとか職場に
たどり着いたが行きは良いよい、帰りはコワイ、状態で家に帰れなくなった。


パージングという幹線端っこの駅までヒーヒー言ってたどり着いて綾ちゃんの
電車が18分後に来るというので待っていたら結局40分経っても来なくて
来ると書いてあったはずの電光掲示板の表示も消えていた。


寒くて凍えちゃったので諦めてパージンガー アルカーデというショッピング街で
お茶休憩することにした。



aranというコーヒーショップ。

綾ちゃんが一人でお茶するなんて滅多にないんです。家庭があるからね。





疲労今ばいしていた綾ちゃん、このソファーに誘われてしまった。
セルフだからお一人様しやすい。



コーヒーもあんまり飲まないしケーキなんて滅多に食べないのですが
おお、驚きの旨さのチーズケーキでした!薔薇の花びらがオサレ。


ゆっくり休憩してから家に電話をかけたら(市内の学校に通っている)長男は
家に帰り着いたそうな。ははん、復旧したな。それからゆっくり帰途に着きました。


久々の優雅なお茶タイムで楽しかったけれど、席についていざコートを脱いだら
あら大変、今日は土砂降りに決まっているからとよれよれのジーンズに
汚いズック(庭仕事用)で出てきていたのを忘れていました。
あら、恥ずかしや。脱いだコートを膝にかけて思わず足元を隠してしまった。


女たるものいかなる時も気を抜いてはいけないのでした。


おばさん道もベテラン中のベテランの域に達した年齢の綾ちゃんですが
おっとここで負けてなるものか!(って一体何と勝負してるんだ!?)
反省しきりの綾ちゃんでした。身だしなみと乙女心を忘れなーい!



2016年3月2日水曜日

新作




         息子のお絵描き。新作です。





もう、お勉強しないで何やってんだかって感じですけど
お絵描き全くダメの綾ちゃんにはへー、こんな風に描くんだーって
結構新鮮です。



よろしかったらご覧ください。




2016年3月1日火曜日

ヴェアムートvs. バイフース、、wiki博士の限界?



     結局いちいちwiki先生のお世話になっているあたりがワンパターンで
    情けないんだけどさ、イマドキはこれで大抵解決できちゃうからね。
    やっぱり手っ取り早く先生にお尋ねしちゃおう!とパソコンに向かった
    綾ちゃん。ん?意外にも壁にぶつかった。




     曰く、ドイツ語の wikiによるとお灸(Moxabution=モクサってドイツ語で
    いうんですよ)はやはりバイフースでできているらしい。じゃ、バイフースって
    なんなのさって当たってみるとお灸の原料とはっきり載っている。
    ちなみにここらの記述に日本語はなくてBeifußを中国語(中文)で引いてみると
    なんかちょびっと言い訳みたいな解説が載っているだけでこれでお灸を作るとか
    書かれていない。


     日本語のwikiにはお灸の原料はニガヨモギと出ていてヨモギと引くと
    お灸の原料と書かれているがヨモギのページのドイツ語Wermutにはお灸の
    原料とは書かれていない。???なんのこっちゃ?



     Artemisia indica var. maximowicziiと言うのがヨモギのラテン語名で
    Artemisia vulgarisがバイフース、Artemisia abinthium L.はヴェアムート、
    ドイツ語ではヴェアムートのことを苦いバイフースという言い方も
    するそうだ。
    


     つまりこれらはすべて近い親戚だが全く同じものではないんだな。



     あほくさ。どっちでもいいんじゃん。綾ちゃん的にはやっぱヴェアムートに
    一票なんだけどドイツの世間的にはバイフースの多数決勝ちって感じか?




     なんか、こんな分野でまで訳語の難しさのお勉強をしてしまったと
    どっと疲れた綾ちゃんでした。


     久々に力の抜けた結末だった。


         

気の抜けたヴァレンタインが去った後、街は復活祭商戦に
入ります。どでかチョコうさぎ。





ちなみに今日はうるう年のうるう日ですね。
うちのピアノの先生は確か昨日が赤ちゃんの予定日だったはず。
でもまだ何もお知らせがないから今日だったらいいなあ!?などと
勝手に盛り上がる綾ちゃん一家でした。