綾ちゃんが自分のいた部屋(4号室だ)を片付け終わったその時、またしても玄関のベルが鳴り次の患者さんがやって来た。
慌てて白衣を羽織って受付をした。もはやここのアシスタントは私しかいない訳だから今日はこのあとは仕事だな、と腹をくくり新しい患者さんの施述に向かおうとしてドクターにその旨伝えたが却下された。
『吉岡さんは今日は患者さんなんだから仕事はしちゃだめ。患者さんたちは待たせておいて構わないから、もし時間があって手伝ってくれるのなら電話番だけしてくれると助かります。』
実際受付に一人いるのといないのとでは仕事の捗りかたがまるきり違う。あきらめて事務作業に没頭していたら(ドクターからの電話で駆けつけた)奥様がいらっしゃった。そしてそれと交代に私には帰宅令が出た。
その週はその後もほぼ毎日通ったけれど私が何度申し出てもやはり仕事はさせてもらえなかった。(私の目にはドクターは意地でも私を使うものかと心に決めているように見えた。)リリーさんの事件もなんとなく言い出せなくて訊けず仕舞いだった。
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