Aさんは綾ちゃんとは割合気安い仲。普段、彼女は指圧のとき
絶対綾ちゃんご指名して下さる。ややこしいのは一緒にいらっしゃる
御主人も必ず綾ちゃんをご指名して下さることで、もちろん一緒に
お帰りになるわけだから、時間を計りながら二人真反対の作業を、
同時に仕上がるように行っていく。ああ、サービス業だなあ。私たち。
な〜んて普段から頑張っているからこんな時こちらのわがままを
きいてもらって、海のものとも山のものとも知れぬアヤシげな女の子の
施術の「実験台」になってもらったりしちゃった訳だ。
『そうねえ、悪くなかったわよ。私はいつも吉岡さんに施術して
もらっているからそれと比べると色々言いたい事はあるけれど。』
と、かなり正直に感想を語ってもらった。まあ、全体としてはそれほど悪くはなかった
ようだ。ただ、言葉が出来ないのは決定的だと思うけどなあ。
ちょっと一息ついた時、ルーシーにさっきの話をしようと彼女の姿を探したけれど
あれれ?見当たらない。あのお〜。ルーシーさん、もう、帰っちゃったんですかあ?
ドクター 『ああ、彼女はね、よその病院で働く時間だからって急いで
帰ったよ。水曜日にまた来るって。』
どういうこっちゃ。なんなんだ、あの子は?出稼ぎ?流し?
謎は深まる。
流しといえば「別れの一本杉」
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