采女(うねめ)の袖吹きかえす明日香風(あすかかぜ)
都を遠みいたづらに吹く
志貴皇子(しきのみこ)
(訳 采女の袖を明日香の風が吹きかえしているよ。
いまはもう京も遠くなりむなしく吹くことだなあ。)
言葉にすればたったこれだけ。
歌枕直美の世界
~歌で日本の歴史と未来をつないでいく
Naomi Utamakura
コンサートの第一曲目『明日香風』を聴きながらずいぶん懐かしい
忘れ物を思い出した様な気分になった。ああ、これが文学の基本の
基本じゃあないか。綾ちゃんは久々に
「目から鱗」状態だった。
コミュニケーションの手段としての「言語」が芸術に昇華する瞬間、
というのはひとつひとつの言葉(またはそれを組合せることで)にどれだけの
「エネルギー」を持たせられるか、ということに尽きる。
(綾ちゃんの私見ですよ。色々難しい文学理論があることは知っていますが
(綾ちゃんの私見ですよ。色々難しい文学理論があることは知っていますが
結局はこれを分析するための試みだと思います。)
「言葉」に色や形や音や匂いを持たせる。そこには存在しない
風景や物語を呼び覚ます。そう、一陣の風が吹くだけの情景に
采女(宮廷女官)の袖の色、しなやかさ、寂しさ、寒さ、飛鳥の宮の
栄衰の物語が鮮やかに浮かび上がる。
全ての失われ行く懐かしいものたちへの想いは特に日本文化に
特有のもの。
心行くまで堪能いたしました。
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