2014年10月18日土曜日

広がる、伝わる「言葉の魂」





        采女(うねめ)の袖吹きかえす明日香風(あすかかぜ)
             都を遠みいたづらに吹く
                   志貴皇子(しきのみこ)
        (訳 采女の袖を明日香の風が吹きかえしているよ。
           いまはもう京も遠くなりむなしく吹くことだなあ。)

              言葉にすればたったこれだけ。


                                        
               歌枕直美の世界
    ~歌で日本の歴史と未来をつないでいく 
      Naomi Utamakura



         

              コンサートの第一曲目『明日香風』を聴きながらずいぶん懐かしい
    忘れ物を思い出した様な気分になった。ああ、これが文学の基本の
    基本じゃあないか。綾ちゃんは久々に
    「目から鱗」状態だった。


                  コミュニケーションの手段としての「言語」が芸術に昇華する瞬間、
    というのはひとつひとつの言葉(またはそれを組合せることで)にどれだけの
    「エネルギー」を持たせられるか、ということに尽きる。
    (綾ちゃんの私見ですよ。色々難しい文学理論があることは知っていますが
    結局はこれを分析するための試みだと思います。)



     「言葉」に色や形や音や匂いを持たせる。そこには存在しない
    風景や物語を呼び覚ます。そう、一陣の風が吹くだけの情景に
    采女(宮廷女官)の袖の色、しなやかさ、寂しさ、寒さ、飛鳥の宮の
    栄衰の物語が鮮やかに浮かび上がる。
    全ての失われ行く懐かしいものたちへの想いは特に日本文化に
    特有のもの。



     心行くまで堪能いたしました。







     
    

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