患者だったのはもともと彼女のお嬢さんの方だ。
綾ちゃんとほぼ同い年の。
障害者の御家族の抱える問題というのは計り知れない。
障害者本人が高齢に達すれば介護人はもっとご高齢になるのは道理で
社会保障率の高いドイツでもかなり難しい。
特にこのケースでは40歳を過ぎたお嬢さんが突然の脳卒中で
要介護の脳障害者になってらっしゃるので周囲の抱えるストレスも
突然訪れただった。
お嬢さんは医療の現場で出来うる事をやり尽くした後、うちの病院に
やって来た。卒中の発作からはもう何年も過ぎていた。
初回の鍼治療の直後、車椅子から立ち上がって壁づたいに20歩ほど
自立歩行が出来た奇跡には皆が涙した。これだけ自立すれば
トイレに一人で行ける!
その後は3ヶ月ほど通院なさったけれども言語障害の方は
これといって目立った回復は望めず
「やれるだけのことはやった」
とそれなりに’納得して治療を打ち切った。
あれから彼女のこと、押しの強いおばあちゃんのことを
時々思い浮かべてどうしてらっしゃることかと幸福を祈ることは
あったが、このようにおばあちゃんが一人でご自分の治療に
来られるとは予測していなかった。
要介護のお嬢さんはどうしたのかしら??
ミュンヒェンマーク
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