『頭痛と言えば、、、なんですけど。いえね、随分以前になるん
ですけどこんなことがあったんです。』
綾ちゃんはマヌカン嬢に指圧を施しながらゆっくりと切り出した。
もう随分以前になる。綾ちゃんがミュンヘンに越してくる以前だから
10年以上前だ。近所にとても美しい女性が住んでいた。当時既に60歳
近かったと思うのだが本当に目鼻立ちの一つ一つが整っていて、
女優さんみたいな方だった。優雅で気品に満ちていて、でも気取った
ところのない心の優しい方だった。
お若い頃はどれ程綺麗だった事だろう。
彼女はお仕事もしていて(お子さんはいらっしゃらなかった)
ご主人はエリート、職場の人々からも慕われて近所の人々皆から
好かれていた。
誰からも好かれていた彼女だったけれど彼女自身は人付き合いが
苦手で誰かと「深く」付き合うということがなかった。当時
専業主婦だった綾ちゃんとも本当に仲良くなったのは知り合って
何年も経ってからのことだ。
彼女が人付き合いを避ける理由の大きな一因に「頭痛」がある
という話は聞いていた。症状はマヌカン嬢と全く一緒でそれが
やって来ると社会生活をまるきり行えなくなるほど酷いとのこと
だった。鎮痛剤とはかれこれ40年以上のお付き合いだと
おっしゃっていた。
何のキャラだろう?
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