『ねえ、私は典型的なドイツ人で典型的なカトリック教徒だから
キリスト教の一般的な内容しか宗教といえば知らないわ。
でもこうして死を目の前のことと思って考えると、どうしても
納得がいかないの。私が教会の日曜学校で子どもの頃習ってきた
知識では私の今の恐怖心に打ち勝つことができないの。
何でもいいから、どんなことでもいいから私の心を慰めてくれる
言葉が欲しいの。
アヤコさん、あなたの知っている範囲のことでいいの、日本や
中国では違う宗教があって違う教えがあるんでしょう?
教えて、お願い。日本と中国では死はどういうものだと教わるの?』
いや、日本と中国と言われても私は日本のことしかわからないんですけど、と
綾ちゃんは前置きして、、、さて、どこからどんな風に説明していったら
いいやら一生懸命考える。やっぱここはお釈迦様の教えだよね。
綾ちゃん実は仏教の学校(高校)を出ている。浄土真宗だけどね。
従って学校時代一通り集中的に勉強させられたクチなんだけど
こんなところであの頃の勉強が役に立つとはあの頃は思いも
よらなかったなあ。海外に暮らすと誰しも自分の国を背負って立っている。
こんな風に「日本はどうなの?」と訊かれることは本当に多い。
日本人なら日本の伝統文化が全てに聡い人わけない。ドイツ人だって
自分のこと考えりゃあすぐ分かるだろうにと思ってしまうけどね。例えば
一体クラシック音楽が好きなドイツ人が今時どれだけいると思うんだ。
海外に住んでいるとこんな風にして自国の文化を、政治を問われ続けるから
自己のアイデンティティーと向き合う機会がとても多くなる。
とりあえず今はハンナさんの一番聞きたい事に集中しなくっちゃあ。
仏教の基本的な教えの中で彼女が一番知りたい事ってなんだろう?
輪廻転生だな。
漫画の古典ですね。名作です。
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