2015年9月6日日曜日
第2の髪
癌の患者さんが増えるということは綾ちゃんがマッサージ師になるという
ことを意味している。皆さん、全身の筋肉痛を訴えるからだ。
もう、ツボとか言ってる場合じゃない。ツボはもちろん意識しながら
だけどしのごの言わずにとにかく全身マッサージして少しでも
痛みを和らげるほうがいい。綾ちゃん、最近マッサージ師としての
活躍?が目立っている。
意外に患者さんがハマっていくのは頭部マッサージ。ドイツでは
頭のマッサージって滅多にない。やってもちょっと「こする」くらい。
綾ちゃんが丁寧に頭を揉んであげると大感激する人が多い。日本だと
美容院なんかで普通にサービスでやってもらえるんですよっていうと
びっくりする人が多い。中には「大事な頭部を美容師なんかに
マッサージされてアタマがどうかなったらどうするんだ?」って
怒り出す人もいるくらい、こちらでは馴染みないものなんだ。
ハンナさんの次にマッサージすることになったトムさん(仮名
女性)。頭も揉んであげようと思って後頭部に指を伸ばす。
『ごめんなさいね。そこは地毛じゃないのよ。』
いや、綾ちゃん、言われなければ気がつかなかった。確かに
ちょっと地肌のところがごわごわしてるかな?
あれれ?でも今日の彼女は先週お会いした時と全く違和感無く
同じ髪型だったよ。そして先週も、彼女の頭部に触った。そして
その時の感触を覚えているけれど絶対地毛だった。
綾ちゃんが率直にそういうと
『そうなんです。これほど早く来るとは思っていなかった
んですけど、先週の木曜日、急に一気に全ての髪の毛が
抜けたんです。抗がん剤治療開始から10日目のこと
でした。すぐにカツラ屋さんでこれを買ったんです。』
とのお答え。いや、シビアだな。ドイツ語だと義歯や老眼鏡のことを
第二の歯、第二のメガネという言い方をするから(婉曲表現)これは
さしずめ第二の髪というべきなのかな?
頑張れ、トムさん。じゃ、そろそろ本題に入って生まれ変わりの
話題でも始めましょうかね。
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