2019年12月24日火曜日

兵士の手紙ときよしこのよる


      誕生日の話題を引っ張っていたらクリスマスイブになってしまった。

             

これ、なんだかご存知ですか?
ここのところ毎日このバッチつけて歩いているけど
ほとんど知っている人がいない。
誰も気が付いてすらくれない。
綾ちゃんは今年の誕プレに自分でこのバッチを選んだ。


安部首相や菅官房長官、麻生副大臣やその他多くの政治家の胸元を
見てほしい。ニュースを普通に見ていれば誰の目にも何度も
目に入っているはずのバッチだ。


このバッチには名称がある。


拉致被害者救出を誓う想いの形だ。



綾ちゃんは二人の子供の母親として、
誕生日を「生命の意味」を問う日にしたいのだ。







兵士の手紙ときよしこの夜

もう一つ、この12月にとてもショックだったこと。
日本の子供達に「きよしこの夜(Stille Nachtドイツ語が原曲)」を
教えて回ったがほとんどの子供がこの曲を知らなかったことだ。


ドイツでクリスマスを迎える日本の子供たちへ。
クリスチャンでなくても今日だけは聴いてみよう。


きよしこの夜。



2019年12月14日土曜日

心尽くしの


      誕生日アピールをし過ぎた??綾ちゃん、お誕生日当日、仕事の先々で
         歓待を受けまくりました。いやー、皆さん、ごっつあんでした!


Kさんのお宅で朝からいきなり素敵なおもてなし

 プレゼントの数々。

 実は一つ一つのプレゼントに皆さんとの思い出のストーリーがあるんです!


音楽好きな綾ちゃんのためにペンケースとか
綾ちゃんネーム入りののクリスマスクッキー
ラベンダーエキスもわくわく冒険談で盛り上がった時の思い出。


お誕生会も家族とお友達と2度も開催
生牡蠣食べに行きました!




集合論講義で
チョー盛り上がった家族パーティ









         お家に帰ったら福岡の姉からお洋服が
         そしてもう一つ、綾ちゃんリクエストのプレゼントが
         日本から、、、

         この話は次回に書きますね。



     みなさま、心尽くしの想いを本当に本当にありがとうございました!


2019年12月9日月曜日

初雪に逝く人



朝目が覚めたら雪が積もっていた。



白黒の世界。

初雪だけれどモノトーンの世界。
この世が丸ごと異世界へタイムワープしてしまったような
とても違和感のある朝だった。




そしてニュースを見て識った。
また一人私たちは誰か大切な人を失ってしまったのだと。
綾ちゃんは彼に会ったばかりだった。あれは10月の半ば。ガスタイク。
彼は綾ちゃんのお気に入りの一曲、ブラームスの4番のシンフォニーを
驚きの巨匠然としたものすごい演奏で聞かせてくれたばかりだった。



綾ちゃんがあの日、大感激して「今日まで生きててよかったー!」とさえ
思ったその日から2ヶ月と経っていない。


誰しも先に逝ってしまいただ私たちが後からやってくるのを
穏やかに待ってくれているだけなのだと判っていても
それでも身にしみる。
冷たい骨に染み入るようなドイツの冬の寒ささながらに。


ヤンソンスという名の偉大な音楽家を全人類が失った。


なんだかもうやりきれない。

今年になって一体どれだけの人を失ってしまったのだろう。





2019年11月29日金曜日

カウントダウンの誕生日


            社交的な二男はしょっちゅう遊び歩く。

           友人がいっぱいいて誕生会の数もハンパない。

        なんだか今日も飛び出していったけれどもまるきりの鉄砲玉で
       随分遅くなったのに帰ってこない。23時を回って心配になった。




23時半に湖ってあそこは暗いし凍るほど寒い。
足でも滑らせたら秒で死ぬぞ。


何やってんだー!



わざわざ空気も凍る湖のそばでカウントダウンして
花火(といってもWunderkerzeといってドイツでは花火に定義されない)で
みんなで文字書いて
ケーキにろうそく灯して、、、わあ、ロマンチック。



こんなお誕生会、一生忘れないだろうなあ。
いっぱい青春してる我が息子でした。



ところで綾ちゃんは今日お誕生日を迎えます。
静かに静かに時間を噛みしめる1日にしたいです。

ハッピーバースデー、トウー ミー




綾ちゃんが綾ちゃんに贈る一曲は大好きなURUさんの
マーメイド ラプソディー


「人と魚の半分ずつ」

相矛盾した二つの側面を世間は理解してくれない。

なんだか今の気持ちにぴったりです。


「きらめく 不自由な ダンスホールにもう一度 会いに来てね。
今宵 純白の ダンスを踊るから。」





2019年11月24日日曜日

贅沢グルメ 第2弾!


           行ってまいりました!! 秋の食事会のことです。

            お嬢様方とミュンヘングルメ、第2弾!!!



         しかも場所はミュンヘン中心部もど真ん中!
        こんなとこあったんだー!!!って目からウロコの場所、
              フラウエン教会のすぐそばです。





 今日は日本では花のJK、ドイツでは大学生のNちゃんの遅ればせながらのお誕生日祝い!


             うちのおぼっちゃま方も参戦!
           先付けで出てきた貝柱のっけマカロンが
            ひっくり返るくらい美味しかった!


     「この店はマカロン屋さんにリニューアルすべき」とは長男の言。



 ハマチ!!




もちろんいっぱい飲みました!!








 デザートにもう一度マカロン!!
 プチフールにお誕生日ケーキ!!

もう!これ以上贅沢ない!!って一晩でした!
さーて!みんな、新学期も頑張ろう!!






2019年11月17日日曜日

フェリー埠頭、、、その後


    (今日の記事をお読みになる前に2年前のこの記事を復習いただけると
               ありがたいざんす。)

        「     わたしフェリーにしたの。
           だって飛行機も汽車もなみだ乾かすには
                 短すぎるでしょう。          」



         綾ちゃんが彼の曲を好きな理由はやはり日本語を大切にする
         歌詞のせい。海が情景に出てくる歌は胸が痛い。




      『お客さーん、お客さんがそこまでいわっしゃあとやったら
         ここはアタシももヒトハダ脱がんとといかんですねえ。』


           福岡に帰ると実によくタクシーに乗る。
        タクシーとの運ちゃんとの会話が結構楽しみな綾ちゃん。


     あるとき(この夏だ)福岡でタクシーに乗って何気なく会話していたら
         運転手さんが長崎出身者であると言うことが判明!!


      もちろん(?)綾ちゃんは「フェリー埠頭問題=海岸通り問題」を
          やおら持ち出して運ちゃんに迫った!(←おいおい) 


  綾ちゃん『運転手さん!ワタシはですね、この間実際に長崎に行ってみて
     「海岸通り」が一般名称じゃなくって「大浦海岸通り」のことやったって
     気が付いた瞬間、ワタシのこの20数年間は全くの無駄やったとさえ
     思ったとですよ!!』←一体なに説教してんだ??



       「    みずに揺れるイルミネイション
           つづれ織りの道を あなたの横顔が
           くぐり抜けていく             」



     『いいですか?つまりですね、あそこの海岸通りは
     くねくね曲がっとってですね、今、もう別れようってカップルの
     彼女が最後に彼氏の顔ば見たか訳ですよ。でもよう見きらんけん
     せめてミラー越しに彼氏の顔を目の中に焼き付けようってミラーば
     覗くとこれが曲がり角ばっかしで彼氏の顔が浮かんでは消え、
     浮かんでは消えしてああ、せつなかあ、っていう表現な訳なんです!
     ↑おい!熱弁ふるってどうする!?(あの、博多弁通訳必要でしょうか?)



            すると運転手さん、やおらいきり立って


     『お客さん、いいことば教えてあげまっしょう!お客さん、今、
      "つづれ織りの道"っていわっしゃったですよね。だったら
      お客さんの降り立った"海岸通り"はそこじゃあありまっせん!』


        はああああー?それなーんー?どげんこと?


    『その歌の流行ったとは今からもう20年とか30年とか前な訳でっしょ。
     だったら道路は埋め立てられて昔の面影はなかとですよ。
     お客さん、次に長崎へ行かれる機会のあったら
     小ヶ倉(こがくら)それから香焼(こうやぎ)ちう地名の場所を
     訪れにゃあ行かんですばい。ここが昔から言われる"つづれ織り"です。』




      後部座席の綾ちゃん、これがもしも助手席に座っていたら
     運ちゃんをハグして、いや抱きしめて離さなかったかもしれない。
     (事故るぞ。)


      そう、綾ちゃんも矛盾には気づいていた!大型フェリーが停泊する
     大浦海岸通り、ここは目的地であるべきでドライブ中に走る道である
     訳はないからだ。


この2箇所をグーグルマップで確認するとこう。

















           

        香焼から小ヶ倉を通って大浦海岸通りに出るまで
        ちょっとしたドライブコース。今では埋め立てられて
        しまったけれどくねくねと入り組んだ海岸沿いのコース
        だった。(どなたか長崎の方、真偽のほど教えてくださーい!)



        当時J-ポップという言葉すらなかった。いや奥が深い。

              絶対いかんば、長崎!






      



2019年11月8日金曜日

ウクライナの控え室にて



            




キックボクシングの世界チャンピオン佐藤嘉洋さんの言葉

ネット番組でたまたま彼の半生を視た。
その中でもこの小作文に目が惹きつけられた。
「雨ニモマケズ」を彷彿とさせるチャンピオンの決意が眩しい。


アスリートのこの作文には秘密があるらしい。
佐藤選手はこの頃、「辞書の旅」を行っていたというのだ。




三省堂 新明解国語辞典を毎日暗唱するという「言葉の修行」を行っていた。
知的な生活と無縁だった彼の脳みそに「言葉」がその定義と共に流れ込む、、、。


「修行」が1/5ほど進んだ頃、大分アタマの中の語彙も増えてきてふと、頭の中の「想い」を書き出してみようと思い立った、その時の文章だということ。


「自分が憧れるような人に自分はなりたい。」

そうだね、そうだねーって思った。


「そんな人を目指して今日も生きている。」


2019年10月31日木曜日

あれから時は流れて、、そしてヴァルハラ


              あれから時は流れて、、、


     くみちゃんは福岡では有名な進学校を経て東京の有名大学ヘ進学した。
              もちろんドイツ語専攻で。


   綾ちゃんはくみちゃんとは異なる私立の女子高に進学して地元の大学ヘ行った。
    つまり綾ちゃんとくみちゃんの人生航路がクロスすることはなかった。
    綾ちゃんはと言うとくみちゃんほど華やかな志を持つことはなかったが、
    くみちゃんと出逢わなければ興味を持つことは無かったかもしれない
               一冊の本を手に取った。
         中学生としてはとても早熟だったかもしれない。


          

              
             そう、この手塚富雄先生の名訳
      (手塚先生はなんと綾ちゃんとお誕生日が同じ日です!すごい偶然!)

            この一冊が綾ちゃんの進路を決めた。
       ドイツ語をぺらぺら喋っているカッコイイ自分は想像出来なかったが
   ドイツ語の文学書に埋もれてオタクと化している自分なら容易に想像出来た。




      くみちゃんが東京に行ったあと、どんな人生を歩んだのか
               綾ちゃんは全く知らない。
  風の便りに、幸せな結婚をして東京に暮らしているらしいとは聞いた事がある。



      ドイツにもドイツ語にも全く興味の無かった綾ちゃんが
     もう20年以上もドイツに暮らし、くみちゃんが東京にいるなんて、
        どうしてこんなことになっちゃったんだろう?


           

                ヴァルハラ神殿
         ユリウスとクラウスが謎の刺客から逃れ身を隠した。
       

2019年10月26日土曜日

ケプラー記念碑と「皇帝」



ベートーベンピアノ協奏曲第5番
       「皇帝」は   
    綾ちゃんにとって特別な一曲。


   だってなんたってあの「オル窓」の
       クライマックス


    演奏する場を奪われたイザークが
     レーゲンスブルク管弦楽団と
    野外コンサートを行った演目。
       

  その演奏を行ったのがこのケプラー記念碑。
   レーゲンスブルク中央駅の真ん前でした!


        秋の日差しの中、
     あの情景が蘇りそうな美しさ!
  イザークのピアノの音色がこぼれてきそう。





ヴィルヘルム バックハウスは「オル窓」の物語にも実名で登場する。
のちにウイーンでシェーンベルクの弟子となるイザークの
心の師。少しばかり古式ゆかしい演奏ですが
現代のピアニストたちが出すことのない色々な「音」が聴こえてくる。






イザークの妹、フリデリーケが兄のために祈りを捧げていた教会




クラウスが故国を想いながらうたた寝をしていたドナウの河岸





2019年10月20日日曜日

オル窓の舞台、レーゲンスブルク

     ドイツに来たら必ず訪れて欲しい街は数多い。中でもここは特別。



     少女漫画の古典名作、オルフェウスの窓の舞台、レーゲンスブルクだ。

               


         恋に憧れるお年頃のくみちゃんがハマりまくっていた。
      (私が読んだのはドイツに来て何年も経ってから。2000年過ぎてた!
          なぜこの超名作をあの頃読まなかったのだろう!)


           時は日露戦争前夜のドイツ、レーゲンスブルク。
      ここの寄宿制音楽学校(トウルン ウント タクシス公居がモデル)にある
          悲恋伝説の「オルフェウスの窓」で3人の男女が出逢う。

            
伝説の窓


      遺産相続の犠牲となり男性の振りをする運命に悩む美女、ユリウス。
       彼女を狂おしく想いながら貧困に喘ぐ天才ピアニスト、イザーク。
      ユリウスへの愛を心に秘めロシア革命に突き進む潜伏貴族クラウス。

         3人の青春を育むレーゲンスブルク(第一部)、
         第二部の舞台はウイーンへ。イザークのピアニスト生涯、
         第三部セント ペテルブルクのロシア革命、
        そして嵐過ぎ去りし後のレーゲンスブルク再び(第四部)。

            全ての運命が悲劇の終末を迎える。(ネタバレ?すまん!)

            中でも第一部レーゲンスブルク編は圧巻!


    ユリウスが女性であったと識った時にイザークが感じる運命の調べ。
    
    ケプラー記念碑でイザークがレーゲンスブルク楽団と演奏した「皇帝」。

    血の繋がらぬ妹フリーデリケの兄への秘恋と献身ゆえの死。

    ユリウスの母とかつての恋人ヴィルクリヒの再会そして悲劇の選択。
    
    殺人にまで至る狂気の遺産相続の果てにユリウスの出した決意。
    
   
    どのエピソードを採っても震えが来るほど感動的!そして誰もが「愛」を
    胸に秘めている。その「愛」ゆえに道を誤ったり不思議な力を漲らせたり、、
 しかし至るところに散りばめられるあらゆる種類の恋愛がどれ一つとして実らない。

    ギリシア悲劇すら彷彿とさせる悲恋というものをどこまでも掘り下げた作品。


    しかし絶望の果てにユリウスは己の「愛」だけを頼りにロシアへ旅立つ。




             あああーん!やはり少女漫画決定版!!

                 不朽の名作ですう!!





2019年10月17日木曜日

くみちゃんの壮大なる夢


             その娘の名前はくみちゃん。

         綾ちゃんの人生に決定的な影響を与えた友人の名だ。

        私達は異なる中学に通う中学2年生でひょんなことから
          共通の友人を介して「文通」をしていた。
         メールもネットも無い時代のお話だ。昭和だね。


           普通に地味に中学生活を送っていた綾ちゃんにとって
        くみちゃんのココロと告白はあまりにもオトナでカッコ良すぎた!
     (実物の彼女は当時の綾ちゃんよりもっと大人しくて無口な娘だったらしい)
     
       『私は将来、世界中を渡り歩くキャリアウーマンになるの!
  普通の奥さんにだけはならない!外交官とか国際弁護士とか同時通訳になりたい!』


                 『当面の目標は高校に入学したらアメリカに
      高校生留学すること!』
   
     『でも本当に憧れているのはドイツ!
        ドイツには必ず行くの!
      私、大学はドイツ語専攻のある大学に
            行きたい!』


    綾ちゃんはといえば、なんとなく地元の学校を出て(英文科とか?)
    普通に結婚して幸せな家庭を持ちたいとかささやかな夢見るヒトだった。


   幸せな家庭を持つことに価値が無いとは当時も今も1ミリも考えていない、が、
 くみちゃんの燃える若さと比較すると綾ちゃんのココロザシはあまりにも
          自分の力量に見切りをつけたものだった。


      彼女がドイツ!ドイツ!と騒ぎ立てるのには一つ重大な書物があった。


              その本の舞台であったのが、、、



この美しく由緒ある街

なかなか行き先を明かしませんね。ここどこでしょう?



2019年10月14日月曜日

ジーンズがぶかぶかで



         一年半ぶりくらいにジーンズというものに足を入れたら
     ぶかぶかで笑った。スニーカーはぶかぶかじゃなかった。当たり前か。

               
 中指丸々分ぶかぶか



赤のパーカーに袖を通したのは実に2年ぶりのことで
ポッケに手を入れたら英国庭園のビアガーデンの
デポジットコインが出てきて今度は何だか涙が出た。



         情緒不安定かも。

                     




  昨日はつまんないことで気持ちが塞いでしまい
  「アガンなくて」四苦八苦したっけ。



      綾ちゃんたらジーンズ履かなかったって山登りも遠足も
             してなかったってことじゃん!
      体格が変化していたことにも気づいてなかったんだ。


           立ち直りの早い綾ちゃんは本日6時に目覚めて

                  よっしゃー!

      と家を飛び出した。お子様方はすやすやお休み。プチ家出!
            一人だから「家出」がぴったり。


   夫がいたら「夜逃げ(いや朝逃げ)」だし、男トモダチなら「駆け落ち」になるし
   女トモダチだとただの「遠足」になる(そうか???)から
   やっぱり「家出」という響きが心地よい。


          さて、綾ちゃんはどこへでかけたのでしょう?


         綾ちゃんね、ミュンヘンから2時間もかければ行ける街。
        綾ちゃんにとって超重大な意味を持っている街を訪れたのです!


2019年10月13日日曜日

曇天に頬杖をついて


              ああ、空がとっても低い!
    

     
あの建物の屋上に駆け上がって大きな大きなハシゴを空に架けよう!


そしたらどんより淀んで汚れた雲の裏側を垣間見ることが出来る。

 うす暗いベールに覆われた空の向こうに
んな愛おしい夢が隠されているのか覗き見出来る。




            オクトーバーフェストが終わったあとの
      10月と11月のこの空の色!誰も寄せ付けない空気の切れ味!




       或いは今という季節がこの国で最も美しい季節なのかもしれない。



      曇り空が美しいのは次に来たるべき季節への憧れを隠しているからだ。





     そこには人恋しい暖炉の暖かさに人を導く雲の息吹がある(北風と太陽!)。





        夕方になればこんな風に夢の中身を垣間見させてくれる。
               パステルカラーが艶っぽい。




                    真夏の果実 by URU


        曇天を眺めながらため息をついているかもしれないあなたへ。
                 この曲を贈ります。



2019年10月7日月曜日

正解の無い答え⑤〜晩夏のピアノ

 
         『僕らの世界には正解ってものがないんです。』



      遠くを見ながらその人が綾ちゃんに言った。最近知り合った
     新進気鋭のヴァイオリニストさんとおしゃべりしていた時の言葉だ。



              軽いデジャヴュに襲われる。
         あれ、この言葉つい最近聞いたような。しかも何度も。



         そうだ、ロルフィングだ。セッションの時に聞いた言葉だ。




       夏が過ぎ去っていつの間にやら綾ちゃんの情緒も外側の身体も
     何だか妥協点を見出したのか上手くやっていた。絶好調といってもいい。


        「夏」が全ての鍵だと識っていた。日本の夏。暑い熱い夏。
     この夏、色んな事があった。(なぜいつも前もって理解っているのだろう?
     この予感はどこから来るのだろう?)たくさん泣いたし感動したり癒されたり
               ちょっぴりイタイ思いもした。


                  ピアノも弾いた。



     実は綾ちゃん、病院勤務時代に指を痛めて鍵盤を押さえただけで
     激痛が走る状態だった。壊れてしまった指はもう元に戻らない。
    もう二度とピアノを弾くことは無いと勝手に諦めていた指を治してくれたのも


                ロルフィングだった。


               
        この曲練習してました!シューマンの「最初の悲しみ」
        ちなみに綾ちゃん、超初心者です!譜読みもアヤシイ。


       母の死に端を発する混乱とピアノの練習が出来るようになった
          タイミングが重なったのはもはや啓示だと感じた。
            どちらもロルフィングが起こした奇跡だ。
             だから心を込めてピアノの練習をして
         母の仏壇に聴かせようと決心した。自己満足で構わない。


     そうすれば夏の終わりに自分だけの解答を出せるような気がしていた。
    そうして得られた自分の姿がどんな形であれば正解だというのか
                結局自分でも理解らない。
      
    仏間と昔綾ちゃんが自室にしていたヤマハのある座敷は一続きになっていて
              そこで一心にピアノを弾いた。
                  そしてその後、、、
    とにかくもう亡霊は追ってこないし母との想い出も小さくたたんでポケットに
    しまえるようになっていた。


     ロルフィングが綾ちゃんの母との死別の悲しみを癒やした訳ではない
          傷を癒やしたのも立ち直ったのも自分だけの力だ
             そこを勘違いしたりしてはいない。


           ただ、その大きな契機にあったのはこの療法で
           今となっては綾ちゃんは出逢うべくして出逢った、
              運命だったとさえ思っている。

   そうやって心の芯にぶち当たる療法は本物で身体に働きかけ心も成長させる。



     このあと次のロルフィングのセッションで何が起こるのか?
     おそらく来年の春までには続きのレポートをするつもり。乞うご期待、です。




施術者の木村義朗氏のHPはこちら
音楽家のパフォーマンスアップがご専門の方ですが
もちろんそれ以外の方もウエルカムだそうです。

2019年10月4日金曜日

決壊④〜統合へのステップ



『お父様が入院しました。』


福岡から綾ちゃん姉のLINEが入った瞬間にそれは始まった。



   綾ちゃんはドイツ語の授業終わりで荷物をまとめて
      退出しようとしていた矢先だった。


         目の前が真っ暗になった様に感じたがそれはほんの
       1秒ほどだったらしく世界は一瞬前と何ら変化していなかった。
         ただし綾ちゃんの体調は激変していた。震えが止まらない。
          歯が噛み合わないから言葉を発する事が出来ない。
      真夏日なのに寒くて仕方がない。外に出たら涙が止まらなくて困った。
        どこか休憩できるところはないかと辺りを探すも虚しく、
        とりあえず地下鉄のベンチで心を落ち着けるべく努力した。


綾ちゃんパパは90歳で(綾ちゃんはかなり遅くに生まれた娘だ)現在身体障害者手帳を
持つ身の上。綾ちゃんパパもこの年末緊急搬送されてあの時も慌てて飛行機に
飛び乗ったっけ。ここ半年間、度重なるアクシデントで月一ペースで福岡に帰っていた。
     今更入院したくらいでショックを受けるような情報でもない。


           自分で分かっていた。ショックの理由が。

  母を亡くした。4月のことだ。綾ちゃんは母親の死去のショックを思い切り
 引きずっていた。世の中にはもっともっと辛い想いを耐え忍んで明かるく日々を
 過ごす人々で溢れかえっている。こんなおばさんになってしまった綾ちゃんが
 一人暗く落ち込むなんてあり得ない!ドイツに帰れば綾ちゃんを待ち構える
 たくさんの仕事に忙殺されていつしか悲しみも薄れるだろうとタカをくくっていたのに
母親との思い出が綾ちゃんのインナーチャイルドになって亡霊のように迫ってくる。
どうしたらこの問題と決着をつけられるのか途方に暮れていた矢先だったのに、、、
       この上父まで失くすことになるの、、、?


         自分で分かっていた。この動揺の具体的な契機が。
     自然療法に携わったことのある人ならば識っていると思う。
     治療がもっとも深部に響いた時に起こる精神の揺さぶり。
     綾ちゃんはこれを身を以て体験したのは初めてだったけれど
     疑う余地なくすぐに理解した。


               ロルフィングだ。
    心と身体のアンバランスが落ち着く場所を探してとうとう決壊したんだ。


           つい先日、見事に整えてもらった表層筋。
          その中で塒(とぐろ)を巻いていた深い悲しみ。
         死の悲しみというより母と過ごした全ての時間の寂哀。
    ロルフィングのセッションなど受けなくても遅かれ早かれやってきたであろう
         心の決壊が実に極め付けのタイミングでやってきた。


     こんなに早いタイミングで心にまでやってきたのか、ロルフィング!


重ねて言うが誤解しないでほしい。おそらく綾ちゃんはロルフィング療法と相性というか
感度が良すぎたのだと思う。ほとんどの人は綾ちゃんのようなことにはならないはずだ。3度目のセッションの後あまりの体調の良さと裏腹にこうなる予感がしていたし、こうならなければ綾ちゃんの心と身体のバランスは統合のチャンスを見出せなかったはずだ。



      そして全身の震えを伴うショック症状はは5日間にも渡って続いた。





施術者の木村義朗(よしお)氏のH Pはこちら


2019年9月30日月曜日

燕尾服が似合わない③〜嵐の予感

         
           最初から全てを見透していた訳ではない。

          嵐の予感のようなものを感じ取っていただけだ。

            
   3度目のセッションを終えた綾ちゃんの肉体は既に完璧なフルボディースーツと
   化していた。胸郭に続いて足を整えてもらった。
  足がぺたりと大地に吸い付き久々にグラウンディング=体幹に地球のエネルギーを
         吸い上げる感覚が蘇ってきた。そして側面にも。
   ここ20年来、そう、出産後これほど身体の調子が良いと感じたことは無い。
   信じられない!たった3回で!
      もはや施術者の木村氏の実力に一点の曇りも無いことは明らかだ。


         でも、少しだけ待って。この戸惑いの正体は何?


   これまで綾ちゃんは、カイロ、ドルンメソッド、その他様々の施術や講習を
   受けた経験がある。マッサージも各種然り。


  これまでに綾ちゃんが体験した療法とロルフィングはどこがどう異なるんだろう?


綾ちゃんの症例を先に説明すると、、、

綾ちゃんは上半身特に右側の凝りが慢性化していて、定期的に水泳と自宅での体操で普段未使用の筋肉とともにほぐして何とか乗り切っているという状態だった。それでも段々と辛くなって来るのでチャンスがあれば整体に飛び込んだりマッサージに行ったりを繰り返しの生活。これに関しては決定的なセラピーも信頼できる施術者にも出逢うことはなく、きっとこうやって一生少しずつ「古くなっていく」カラダをなだめながら過ごしていくしかないのだろうと諦めていた。

  何より上記の療法は、施術直後にはスッキリしても大抵2〜3日すら保たない。



じゃあ、ロルフィングでは何をするのかというと、、、

一般的なロルフィングの説明文をざっくり要約してみると、

   体(内蔵、骨組織)を包む筋膜のバランスを整えることによって
   重力との調和を図る、、、その結果持続的な効果を得られるというもの

                             、、、らしい。


 だが綾ちゃんは正直、こういう教科書的な説明ではよく納得することができない。


綾ちゃんは上記の説明文を読んで、さらに自分が何度かセッションを受けた感じから
次の逸話を思い出していた。




           オーダーメイドの燕尾服の専門店の話だ。

       
世界のトップオーケストラの指揮者達が御用達に選ぶ
       燕尾服の仕立て屋さん。


指揮者は聴衆の前で一人身体を振り動かす
肉体労働者。
しかもお客様に見せるのはほとんど背中ばかり、
という極めて仕立て屋さん泣かせの職業!

        そのお店は最上の素材と人材を駆使して世界に一着しかない
    オーダーメイドの燕尾服を仕立てる。しかし、他の一流店と決定的に違う点は
      依頼人の「ジャストフィットに作らない」ところだというのだ!


多くの洋装店が、お客様の体型や癖に合わせたベストフィッティングを目指すのに対し、その店は「指揮者かくあるべし!」という職業の求める美的基準が優先でその器に「いかに中身を無理なく置くか」を追求する。
そしてクライアントはそのシェイプに惚れ込み、自らも世界の一流指揮者の名に恥じない外見たろうと努力(不節制の自重や姿勢矯正とか)を始めるというのだ。


綾ちゃんのこの喩えはおそらくロルファーの方々からは異論があがることと思う。


あるいは、もしかしたら綾ちゃんのロルファーが腕が良すぎた?のかもしれない。

あまりにも体調が急激に良くなった綾ちゃんは、しかし同時に最上の燕尾服に身を包まれた戸惑いも大きかった。哀しくなるほど自分という「中身」の狭さ醜さを突き付けられる「正しき器」が目の前に立ちはだかりそして綾ちゃんを包み込んでしまった!
こんなときこそ慎重に行動していなくっちゃと思うようになっていた。
こういう時、綾ちゃんのカンは実に良く働くんだ。



             外側にふさわしい中身になれる?



狭くて弱くて哀しい綾ちゃんの「自己と向き合う旅」が始まった。おそらくそれは必然の流れで綾ちゃんの思いも依らぬ大きな意思の配慮であったに相違ない。


               誤解しないでほしい。

       綾ちゃんはこれからお話する自分だけの「事件」が起こったからこそ
          ロルフィングを真剣に本物認定したのだから。

           綾ちゃんはあの時ぼろぼろだったんだ。
        ただ自分でそれを認めるのを恐れていただけだったんだ。

          「気づき」へのチャンスが目の前にあった。





2019年9月25日水曜日

ふいごになる②〜第一セッション胸郭

      

       自然療法ならば何でも試してみたいという単純な興味だった。
   

     ロルフィング=筋膜療法→肩甲骨剥がし?とか?→整体?の親戚??
         とりあえずしつこい肩こりが治ってくれたらラッキーかも。
       綾ちゃんたらチョー元気だもの。まあ、毎日仕事でキャパオーバー、
         それから運動不足。身体ガチガチなのが弱点といえば弱点。
   

       こういった単純なイメージでお試しセッションに赴いた綾ちゃん、
    そもそも治すところがあんまりないからお試し一回もすればおしまいかなあ?


      のちに「健康だ」と思っていた自分の存在そのものがある意味
      「思い上がり」の産物だと思い知らされることになるのだが、、。
    


    丁寧な問診のあと施術台で言われるままに足を曲げたり横を向いたり。
    施術の内容説明は懇切丁寧に受けながら、、とはいえ一つ一つの動作には
    半信半疑。今日は胸郭の補正???だそうな。



  『(脇を押さえて)いいですか?「ここに」息を入れていって(まじ?)ください。』

               『そう、そういう感じ!』



     いやいや、そいつは物理的に無茶でしょう、と心の中でツッコむ
        もう一人の自分を押さえ込みつつまずはイメージ。



             ふいごになってみよう。
           
              






             『良いですね。(まじいー??)』


   同時に手技でぐううっと特定の筋肉(筋膜?)を押し上げる。特に痛くはない。


           『じゃあ今度はこっち?!息を入れて!』


   半信半疑ながらも綾ちゃん、実は(筋膜の整復だけでなく)身体の特定の場所に
   呼気を送るという技が自然療法では内科的にも有効であるという知識を
   持っていた。例えば癌病巣に。それが爪先だろうが足指だろうが
   身体の隅々を駆け抜ける息吹を誰しも感じた事があるに違いない。
   そんな風に身体全体に息でもエネルギーでも送れるのだと思ってみよう。


  そう、イメージ。イメージ力がいかに大切か、正しく理解している人は案外少ない。



               せーの、ふうううっ!


   そんなこんなを1時間以上過ごしたのだろうか?第一回セッション終えたあとの
   綾ちゃんは、、、何だか胸のあたりがしゅうっとして肩が落ちたような気がする。



    昔、むかーし、日本に住んでた頃の綾ちゃんは地味で何をするのも自信の無い
      おどおどしたムスメだった。誰と視線を合わせるのも怖くていつも
          うつむいていた。(きっと誰も信じないね。)
       その頃の名残の下向き目線がふと、高くなったような気がする。

           誰かと、視線を合わせても、いいのか、な?


     一つだけ確信があった。今止めてはならない。この療法にはきっと奥がある。
  綾ちゃんの嗅覚は、これまで体験してきた他の療法にはない匂いを嗅ぎ取っていた。