2013年1月18日金曜日
涙の重さ
涙がぽろりと一粒。大切な宝石がこぼれていったように見えた。
ドクターが鍼を打った瞬間、彼女の瞳からあふれ出たものだった。
先生はそりゃあ慌てて、『申し訳ない!そんなに痛かった?』とおろおろしていた。
『ごめんなさい。私、ずっと辛かったものだから。やっと治療してもらえて
気が緩んじゃったんです。』
ヴァイスさんは今年始まって一番の患者さん。本来、彼女よりも警察官をしているご主人との方が我々との付き合いは長い。奥さんは去年の暮れに突然腹膜炎で手術した。
それで予後の治療に通ってらした。年末に具合が悪くなって普通のお医者さんにも行ったんだけど成果がなかったらしい。ずっと具合の悪い状態でうちのドクターのお帰りを今か今かと待ってらしたんだって。
わかるよ。その気持ち。そう言えば去年の暮れ(正確には一昨年だ)うちの二男が具合を悪くしてここの病院に電話をかけたら冬休みを取ってるってテープが流れてショックだったのを思い出した。あの頃私はまだここで勤めることになるなんて思いもしないただの
患者さんのママだったんだ。
もちろんうちの子供たちにはかかりつけの小児科医がいる。とても立派な先生でその方のことも私はすごく尊敬している。(私は医者の選択にはとてもうるさい。)
だけどうちのドクターの代わりはどこにもいない。
あらためてじんときたなあ。かけがえのない場所でかけがえのない瞬間を過ごしている。
ヴァイスさんの涙に自分の姿を重ねて、そしてそれから日々病気で苦しむ色んな患者さんの姿を思い浮かべて、よし、頑張らなきゃ、と思いました。
少しでも皆様のお役に立てるよう日々精進して参ります。
今年もよろしくお願いいたします。
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