ハルさんが入院期間を終えリハビリ施設へ移ることになった。それは
回復を意味するのではなく死に場所を提供するためのものなのだと言うのが
ドクターの説明だった。
『病院というところは自分のところで患者を死なせたくないものなんだ。
だからババ抜きみたいに下級の施設に押し付けるのさ。』
病院勤めの経験も長くていらっしゃる先生のお言葉は重い。そのリハビリ施設にも
毎日のように通ってらっしゃる。私は夕方には帰宅するのでハルさんの元には行かない。
毎朝、先生にハルさんの容態を聞くのが日課になって来た。
『とにかく治療方法が根本的に間違っている。あれじゃあ患者の体力を奪って
死期を早めているだけじゃあないか。』
先生、怒ってるなあ。
昼間は毎日たくさんの患者さんであっぷあっぷの時間を過ごしているし、
日々の治療を終えると準備してハルさんの元へ向かう。
私たちもいっぱいいっぱいだ。
(つづく)
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