2013年1月31日木曜日

シャボン玉 飛んだ ⑬



   私のその無謀で傍若無人な発言でわずかに心動かされたらしく
  ドクターは少しだけ正気を取り戻し患者の元へ行った。
  頑張っていつものように仕事をした。



 私はあれだけ偉そうなことを言ったのに、もちろん自分に出来ることは
先生の100分の1以下だった。でもとにかく私もベストを尽くした。
出来るだけ先生を表に出さないようにつとめて前に出て患者さんと
コンタクトをとった。さりげなくでも大胆に患者さんをさばいていった。
幸運にも午前中の患者さんで薬の処方が必要な方はいらっしゃらない。



 やっとで昼休み。2時間空いている。次の患者さんを私が先に指圧や
お灸をすえればさらに30分以上引き延ばせる。



 さあ、いよいよ私の出番。


    『はい、先生、今日という今日は許してあげません。
    昼食が済んだら私が治療して差し上げます。
    洋服を脱いで(!)診察台で待っていてください。』




(つづく) 

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