2013年2月12日火曜日

もう片方のスッポン 鬱病か?



      彼の口調は明るい。よくしゃべる。ずっとしゃべっている。
      しかも金髪の男前だ。でも内容は歪んでいる。



  『ええ〜?あなた、絶対自分に嘘ついてるよ。仕事が楽しいだって?
  これだから日本人はクレイジーなんだ。あなたは僕が生涯に出会った
  3番目の変わり者だね。』


  『いいかい、僕はね、ルーマニアで情報学科の大学を卒業したんだ。
  発明品も作って(新型の哺乳瓶らしい)特許だって取得したんだ。
  そんな僕がドイツに来てありついた最初の仕事は朝の道路掃除だぜ。
  今は毎日ベルトコンベアーから流れてくる自動車にうんざりして
  同僚からいじめを受ける毎日さ。でも誰だって似たような人生じゃないか。
  少しでもましな給料をもらって休暇でマジョルカ島に行くんだ。それとも
  イタリアか。人生ってのはあそこで過ごす数週間のことを指す言葉さ。』


そしてドイツ人の悪口悪口。アジア人への蔑視(ならうちに来るな!)。ロシア人を
馬鹿にして他の東欧諸国を分かった顔してそれ以外の外国人のこともひたすら
悪口。




 心の中でバリアを張りつつ、でもこれってきっと「心の毒出し」なんだよなっと
理解して、一応私なりの見解を随時述べる。あくまでポジティブな方向へ。
するとまた噛み付かれる。これの繰り返し。


 彼の主訴はこれまた耳鳴りとめまい。ああ、性格病だあ。全然良くなってないし。
彼は鬱病患者ではない(実際明るいし社会生活もちゃんと出来てる)が精神を病んでいることは間違いない。ズバリ鬱病の患者さんもこれまで何人か見て来たが、やっぱり
皆さん扱いが難しい。基本的に皆さんネガティブ思考なので治療途中で効果に疑いを
はさんでやめていく人が多い。


 彼は今のところよく続いているね。やっぱり私を相手に悪態をつくのを楽しみにしているとか??



 まあ、いいか。ふう。


(つづく)





北京同任堂のお灸。これが効くんだ。日本で言うお灸とは少し形状が違うかな。
                                                                                                             Photo by J.Y.

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