2013年2月27日水曜日
プロフェッサーのお友達 ⑦
ラルフ君はお誕生日を最後に働きに来なくなった。
お誕生会のあと、実は明日から3週間家族と休暇でイタリアに行きます、ってさ。
でも3週間後に戻って来るかどうかはわからない、労働局の相談窓口にまず行くから、
ってやんわり「辞めます」とほのめかした。
3ヶ月の労働予定がたった10日間で終わってしまった。
『やっぱり無理だって、病院で働くのは。最初からそう思っていたのよ。』
奥様が言った。
実は彼はうちで実習を行う前、老人ホームへ研修に行った。でもやっぱり
一週間しかもたなかったらしい。心優しい彼は何か、人の役に立てるような
福祉関係の仕事をしたいと考えているのだが彼にとってはとてつもなく
大変な事だったそうだ。
ドクターはうちの病院ならみんな、ラルフ君の弱点を知っているから彼も
居心地いいんじゃないかと思ったみたいだったけど、なかなか上手くいかない
ものだなあ。
私も、彼が長く続くとは思っていなかったんだけれど、どこへ行くにしても
「指圧」を知っておけばものすごく役に立つんじゃないかと思ったんだ。
だけど、クリングさんの「ダメだし」は効いたからなあ。
そう、クリングさん。
彼女はそんなラルフ君の顛末を全て静かに見守っていたのだった。
どうでもいいんですけど、こういう「胸毛」のある人って西洋人に多いんですよね。
で、おなかにお灸を当てると毛を燃やしちゃう事があるんです。(誰にも言えない失敗)
(写真は映画HOLIDAYのジュード ロウさん)
(つづく)
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