2013年2月23日土曜日

プロフェッサーのお友達 ④ 



 ラルフ君にどたばたしながら仕事を教えているうち、彼女がやって来る日が来た。




             プロフェッサーのお友達だ。




 彼女はドイツ人だった(よかったあ!英語しゃべらなくて済んだよ!)。
アメリカ人の歯医者さんと結婚なさっているチェンバリストでプロフェッサーとは
幼なじみ。ピアノの学友でもあるらしい。つまり、やっぱり七十歳以上の方。
ミュンヒェンの実家を整理するために里帰りだそうだ。



      ラルフ君は彼女の治療から「指圧デビュー」だ。 



 実は当初、我々は彼にそこまでさせる気はなかった。が、彼の研修期間は
3ヶ月にもなるという。だったらゆっくり教えてみようか、ということになり
(治療に対してお金を払っている)患者さんに対して決して迷惑をかけない形で
少しずつ始めてみる事にした。
時間に余裕のある患者さんを選んで前もって説明する。ラルフ君と私とで
指圧を行うがラルフ君がやった分は必ず私がもう一度「復習」として同じ動作を
繰り返す。つまり、患者さんにとっては指圧を二度受けられる「オイシい」話に
したのだ。
もちろん前もって二人でみっちり練習したあとのことだ。



       ところがいきなり最初から挫折した。



       忘れてた。プロフェッサーのお友達は、いや、
       プロフェッサーのお友達も、というべきだ。
       彼女も音楽家だった。プロのね。



       決してハンパは許さない人だった。



(つづく)
  

これがチェンバロ。古楽器です。こりゃまた綺麗だねえ。




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