2013年2月16日土曜日

思いやりの気持ち



 大きなスーパーマーケットまでバスで二つ先の停留所。歩いていくのはちょっと大変。
バスに乗った。


これは市内バス。うちの街にも同じ型のバスが走ってる。



 ドイツのバスは前から乗って(運転手さんに切符を見せる)後ろから降りる
ことになってるけどすごくいい加減。車いす用の乗車口は後ろだし朝の通学時は
大量に乗降があるからどっちも開けてる。日本みたいに一回一回機械を通したり
しないからね。



 今日、うちの前のバス停から私ともう一人の女性が乗った。私は前から乗ったけど
そのもう一人の方はわざわざ後方のドアの前で立ってたのに運転手さんは
知らんぷり。

女性 『どうして開けてくれないの?私は足が悪いから広い乗車口でないと困るのに。』
運転手『規則で乗車は前からと決まっているだろう。』


 運転手さんはバスを発車させたけどこのことでずっとお客さんと喧嘩になっちゃって
他の乗客の人たちまで巻き込んで大騒ぎに発展しちゃった。


 運転手さん次の停留所でエンジン止めちゃって
  『皆さん!私はここでどちらの言い分が正しいのか検証したいので警察を呼びます。
  バスを降りてください!』

興奮してそう言ったから、もうほかの乗客の人までみんな怒ってえらい騒ぎ。
何人かの人はげええって顔して本当に降りちゃった。


 私は全然降りても良かったんだけど、もともとどうでもいい距離をバスに乗っているのだという妙な意地があり(!)外は寒いし(−5℃)とりあえず成り行きを見ていた。
バスに残っているお客さんは十人ちょっと。


 さすがに口論に参戦していなかった他のお客さんたちも運転手に文句を言って
『オマエ、運転手なんだろ!とにかく仕事しろよ!バスを出せ!」と騒ぎ始めた。


        もっともだ。


 結局バスは再び走り始めたので事なきを得たって感じだったんだけど、ふと、
思ったんです。今、わあわあ騒いでた人たち、みんなドイツ語ぺらぺらだったけど
発音を聞く限り外人だったなあって。使ってる言葉の言い回しも(ちょっと説明しづらいんだけど)社会階層の低い労働者の言葉だったなあって。



 ドイツにはこんな風に長期(世代をわたって)滞在の労働者がいっぱいいます。
ドイツの国籍を取得してドイツの権利を振りかざして喧嘩してる。ちゃんとした
ドイツ人ならこんなところでこん風に分けの分からない喧嘩は普通しない。
足の悪い彼女は(私の目から見ても傍目にはそうとは分からなかったから)
「すみません。足が悪いので後ろのドアを開けていただけますか?」って尋ねれば良かったし運転手さんも「お困りの理由がおありですか?」って聞けたし、理由が分かったあとで「今度からそうおっしゃってくださいね。開けますから。」って言えたはずだ。



 この間ブログに書いたBMW工場勤務の彼(鬱のほう)なんかも朝から晩まで
こんな環境で仕事してるのかもって想像しちゃった。


          そりゃあ、すぐ病気になっちゃうよね。



 思いやりとかいたわりの気持ちとか、優しさや愛がバックグラウンドにある環境
から遠ざかるって事なんだろうか。外国に出稼ぎに出ざるを得ないって言うのは。





 日本の人はお遊びがてらで海外にやって来て長期滞在をファッショナブルに捉えてる人も多くって、ちょっと辛い。私だってそんな風に未開の国の原始人に見られる事もしょっちゅうなのに。



 慣れぬところで生き残っていくために無意味に「きつく」なる必要はないと思うよ。
        


              大切なのは思いやり。









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