2013年10月12日土曜日

ハルさんの遺言と裁判    その11


  




       ドクターに見せてもらった裁判資料によるとハルさんは
      確かな意識のある時(それはいつのことを指すのだろう?
      近親者は誰も彼のこの遺志を知らなかったというのに。)
      にこの意思を担当医に伝え 、担当医が
      彼に代わって代筆。サインだけをおぼつかない手で
      ハルさんが直筆。さらに遺言書の客観性を高めるために
      担当医が三人の知人に頼んでハルさんの前で遺言書を読み上げ、
      内容に間違いがないか尋ね、遺産相続人に指定した当人を
      指差し確認させたとのこと。




          アヤしい、アヤしい、アヤシすぎる。




 そもそもハルさんが自発的にこんな事を言い出したのか、どこにも証拠が
残っていない。これが本当の事なら絶対に奥様にご相談なり(だって元々の
相続人だもの、仁義ってものがあるでしょう。ハルさんはキチンとした人だったし。)
があったと思う。





    『もちろん、私はハルさんの土地や家が個人的に欲しい訳では
    ありません。でもこのままではモーリー(仮名。ハルさんの奥様)が
    可哀想すぎる。あそこは二人で40年以上過ごした大切な場所なのです。
    私にとってもたくさんの想い出が詰まった場所です。出来る事なら
    私が彼の家を相続して何らかの方法でモーリーに返してあげたい、
    少なくても自由に使わせてあげたいと考えているのです。』





 そうだよ、そうだよ、私だって同じ立場ならきっとそんな風に考えると思う。
おおっと。先生、時間、オーバーしちゃってます。もう、ほとんど9時にちかい。




         『先生、頑張ってくださいね。』






       別れ際に握手をして私はドクターを見送った。












なんだかなあ



ようわからんが





すごいんだろうなあ






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