2014年2月2日日曜日

眠りたいの。 その4

             





             今日も新しい患者さんだ。






            『とにかく、友人がホメオパシーをやっていて昨日は体質レメデイーを
   処方してもらったんです。私自身自然療法士ですし様々な方法を試みています。
   明日はニュルンベルクにある甲状腺の専門医を訪れる予定です。
   甲状腺異常が睡眠障害を引き起こすことがあるらしいので
   橋本病(甲状腺病)持ちの私としては治療の必要があるんです。』






ってアンタ、やり過ぎだってば。それじゃ身体のほうがびっくりしちゃって
ますます眠れなくなっちゃうよ。




       そう、不眠症はインテリジェントの女性に多い。彼女はご自身が自然療法士で下手に色々知識があるから、手当たり次第に治療を受けまくっている。どちらかというと自己満足に過ぎないぞ。これも一種の依存症。けっこうアブナイパターン。そう言ってあらゆる治療を(他力本願的に)行いながら睡眠導入剤とはただの一晩も縁を切れない。





 べらべらしゃべり続ける彼女をとりあえず治療室へ誘うと、交代におとつい
わあわあ泣きわめいたラインさんがおみえになられた。ずいぶんすっきりした
顔をしてらっしゃる。ほらね、上手くいったでしょ。





    『昨晩ね、時間にすると4〜5時間くらいなんだけど
    ものすごく深く熟睡できたの。目が覚めた時、もっと
    眠っていたいって身体と頭が睡眠を求めているのが
    わかったんだけどあいにくもう起きる時間で。
    でも顔を洗ったらすごくすっきりしていて
    ここ数ヶ月の疲れがずいぶん取れてるのが実感出来たわ。
    今日は金曜日でしょう、私、今日はゆっくりして少し
    早めにベッドに入ろうかと思っているの。
    いっぱい眠りたいもの。』



 おおお〜!!コングラッチュレーショオン!!!やったぜえ〜!!そう、
そして彼女はこの日の晩は早く寝て翌朝10時まで熟睡、寝坊を満喫する
ことになるのだ。そのあとは規則的な睡眠ペースを取り戻す。全快。




 このラインさんはおとついうちにやって来てひとしきり泣きわめいた後、
熱々のスープを飲んで、涙に暮れながらたくさんの打ち明け話をした。
子供時代の事、恋人との不運な別れ。会社(ドイツ最大手の銀行だ)で
昨年大リストラが敢行され幸い肩たたきには遭わなかったものの、
人員削減の余波を見事に受け、ものすごい分量の仕事と次は自分が
首切りに遭うのではという恐怖に怯える日々の話などなど。



 興味深い事に不眠症でうちの病院を訪れる女性たちは皆同じパターンで
働き盛り、インテリジェントのキャリアウーマン、溢れる教養、しかし
知識が溢れすぎて自らの重圧となり己を苦しめる事がある。子供の頃の
(多くは父親との関係)幼児体験、現在の仕事のストレス、が重なって
躁に近い状態になっている。一人きりになると鬱に陥りネガティブ思考が
止まらない。




 対照的に男性の不眠症はどっからどう見てもいつも「鬱」、
つまりネクラ男のパターンが多い。ううん、男女の違いは大きい。
男は正直者、女子は自分にムチ打って頑張るんだ。




 今日、初診で来た方の彼女もこれがまたビックリするほど同じパターンだった。









これ、ミュンヒェンの目抜き通りカウフィンガー通り
で売っていたドイツ国旗模様のメガネ。
ガラスは入ってません。
息子がかけてみた。目は見えるんだって。
サッカーの観戦用か?





0 件のコメント:

コメントを投稿