2014年2月13日木曜日

なくしてしまったもの ~それが身体の一部なら ①





                        「大工さん」がやって来た。患者さんとして。





   去年、職場で事故に遭われたとかで今もむち打ちに苦しんでらっしゃるらしい。
さてえ、今日の綾ちゃんの出番はマッサージ。こういう時は指圧なんて関係なし。
筋肉をほぐすために背中の痛むところをぐいぐいもんだげる。不思議なもので
経絡とかツボとか考えない普通のマッサージのほうが綾ちゃんとしては楽チンに行える。






             『ああ、気持ちいいねえ。』





って言ってもらえてこっちも嬉しいよ。







    ふと何気なく患者さんの手元に目が行って一瞬ぎょっとたじろぐ。左手の親指の
第一関節に当たる部分がない。良く見ると人差し指も中指もそれぞれ第二関節までしか
ない。そうなんだ、この方、きっと「事故」の際に手もお怪我なさったんだ。
お気の毒に。ハンディを持ったまま職場復帰は並大抵ではなかったはずだ。





   そういえばうちの二男お世話になっている楽器屋さんはプロの音楽家の間でも
評判のいいマイスター職人さんのお店だけど、そこのおじさんも片手が不自由で
いらっしゃる。いつも器用にひょいひょい仕事なさってるけど常に危険と
隣り合わせなんだろうな。





        もちろん綾ちゃんは見て見ぬ顔をする。



  ここは病院だからこういうケースの患者さんにも出くわすことが多い。いちいち驚いてはいられないということもあるが、身体の損傷は心の傷に繋がっているに違いないからね。ま、普通の状況でもそれがマナーだよね。







先日ミュンヒェンの中心マリエン広場
夜7時過ぎ。空の色が怪しかった。


Foto by Jiro Y.


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