『頭のマッサージ?それは素晴らしいアイデアだわ。是非、お願いします。』
患者さんから許可をいただいて、そろそろと頭部を揉み始める。百会(ひゃくえ)というのは頭頂部の有名なツボ。上半身のエネルギーをつかさどると言ってもいいかも。その百会の部分に親指を持っていくと何やら金属の感触が。こりゃあ、私の時代(!)には「カッチン止め」と呼ばれていた髪留めだ。
『髪留め、お邪魔かしら?』
『いえいえ、そのままで結構ですよ、おほほ。』
な~んてね。そりゃあ、髪留めなんて無いほうがいいに決まってるけど指圧はやって出来ないわけじゃないし、何より綾ちゃんには髪留めを取ってもらって彼女の「秘密」を剥ぎ取る勇気が出ない。
そう、彼女の悩みは「円形脱毛症」。
髪留めは全部で3個。その部分が付け毛なんだ。
おいたわしや。カルテによれば、特に思い当たる節もなく、突然降り注いだ「悪夢」とのこと。ご主人は内科医で皮膚科で出来る限りの治療は行ったが脱毛は進行するとばかりだという。
ドクター、期待してるよお!!!
今は「パッチン留め」というらしい
『知っておきたい15の特効ツボ』より
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