2015年3月5日木曜日

どこにも正義なんてない

               


        『ヨシオカさんって日本人なんですよね。お名前でそう思いました。
     この間、シリアで二人の日本人が殺されたでしょう?お痛わしい話です。』





                    治療の終わったあと、お昼をご一緒するチャンスに恵まれた。彼女は
    シリアから難民としてやって来て苦学してドイツの大学に入り弁護士に
    なられた方だった。同じく弁護士のご主人(ドイツ人)と事務所を構えて
    いらっしゃる。



                   ちょうどその頃ドイツの新聞一面を飾っている世界情勢は主に
    ウクライナ問題でメルケル首相の姿が連日紙面をにぎわせていた。
    その合間合間にシリア過激派情報が飛び交うといった感じだ。
    日本人拉致事件はドイツのメディアにとっては一瞬のトピックだった。
    ほどなく公開されたヨルダン人パイロット火刑報道が人々を震撼させた
    からだ。



                       『でもね、アメリカは訳も分からず介入してきてヨルダンと連合して
      3000人以上殺戮を行っているでしょう?過激派のやっている残酷な
      ネット公開処刑は最悪だけれど人間一人一人の生命という観点から
      みるとどこにも正義なんてないのよね。ISILがアメリカから資金援助を
      受けているという情報もあるし。』



                    うん、その記事は綾ちゃんも読んだ。真偽の程は定かではないとは言え。
    まあ、いずれにせよ真相はわからない。



                       『日本の首相がテロ憎しってやってるのも憎悪の気持ちを助長させて
      軍事に舵を取るアメリカのやり方になんだか似てるし。』




                    そうそう、そこ、それ。綾ちゃんは相づちを打つ。復讐、復讐の連鎖では
    どこまで行っても出口がない。



       軍需産業で潤う者たちだけが利を得る。それだけが真実か。





うちの町のたった一件のアイス屋さん。
出稼ぎご主人がイタリアからやってきた!
綾ちゃんの住む町に春の訪れ




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