『鍼を打ってくれんかね。一回鍼を打つのはいくらかね?金なら
持っとるよ。禁煙したいんだ。もう身体がぼろぼろでね。』
このお婆さん、薄手のズボンに穴がいくつも空いている。バサバサの
白髪を束ねて野球帽をかぶり綿のシャツを着ている。靴は冬物。
粗末だけれどこざっぱりしていて臭くはない。
治療を受けたい、カネはあるというなら断る理由はない。
綾ちゃんは料金をざっと説明したが大丈夫、支払えるというのだ。
『ではそちらにお掛けください。ジャスミン茶をどうぞ。こちらが
初診の方のカードでございます。こちらにお名前、住所等をご記入
なさったら、、、』
つと、綾ちゃんの説明を遮って
『いえいえ。私は書かない。私には住所は無いんだ。名前も
言うわけにはいかない。サツに捕まるのがオチだからね。』
ひえー!!そんなわけにはいかないよおお!
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