ということで問診と治療が始まった。
『あ、あの、やっぱり名前が無いと不便なんで、下の名前(ちなみに
ドイツ語では英語と同じく「上の」名前、英語で言うフォアナーメって
いうけどね)だけでも教えていただけませんか?』
彼女は随分抵抗したけど結局これは妥協してもらった。
その名はモニカさん。多分本名。
いやあ、真面目なもんだ、モニカさんは。偽名やニセ住所で
切り抜けることだって不可能じゃないのに。
モニカさん、アンタついてるよ。今日はなんてったってドクターの
誕生日。他の患者でパンパンの別の日なら全然違う流れになったに
違いないんだよ。
ドクターは彼女のケアを最初から最後まで御自ら執り行って
ずーっと彼女の身の上話を聞いていた。一人身になったいきさつ。
生活費のため麻薬の売人をやった過去。今日、ここに来るために
少しずつお金を貯めたこと。(彼女にとって今日は晴れがましい一日で
あったのだ。)
まあ、考えようによっちゃあ、モニカさん、やって来たのがうちで
良かった。普通このケースは相手にしてもらえないんだよ。
ここはミュンヒェン中心部のマリーエン広場の
精霊教会
夜のライトアップ
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