2015年11月30日月曜日

Happy Birthday!




いやっっほーい!今日は綾ちゃんお誕生日でーす!



そうはいっても我が家の男3人、気の利くことは何も考えちゃあくれない。


綾ちゃん、何とか盛り立てようと無理やり息子共から母親誕生日税を徴収。
一人で(息子たちからの!?)誕生日プレゼントを買った。

シュシュ2つ。欲しかったんだー。ありがとう!



LINEの彼方の国に住む夫は「や〜、金もないしなあー。」でお茶を濁そうとする。
これも説得、やはり一人で(夫からの!?)プレゼントを買いに行った。

薄いピンクのカシミアのマフラー。わあ、欲しかったのー!



も、もしかしてこれって寂しい??

虚しさに負けじと一人歯を食いしばっていたところにドクターが


『フラウ ヨシオカ、日曜日にご飯でもご馳走してあげよう。』
と誘ってくださった。もちろんこちらからは何もねだっちゃあいない。


やったー、やったー、やったー!!さすがドクター!!



二家族でこの間と同じお店へ。この巨大な鯉の迫力が写真じゃ伝わらないなあ。


ドクターと奥様からお財布と手袋いただきました。中身つき!!


  
海鮮鍋に海老生姜炒め、海老シューマイ
綾ちゃんの好物三昧。メシに目がくらんで人間の写真を撮り忘れた。




お家に帰ったら今度は息子たちが綾ちゃんのためのお誕生日特別
コンサートを開いてくれました。


長男はお顔公開したくないそうです。二男は髪がハネてる。


うう、やっぱり幸せいっぱいです。


この感謝を胸にまた明日から頑張って行きます。
みなさま、ありがとう!



2015年11月29日日曜日

大敗



        国家資格を取るぞー!と燃えていたこの時期、実は綾ちゃん、同時に
   かなりの体調不良を抱えていた。産後の肥立ち、というけれど二男出産からあと
   ほんのわずかの不具合がゆっくりと時間をかけて、こ、これは何かがおかしい、と
   はっきり自覚するところまで来ていた。



               ミュンヘンに来てから日も浅く馴染みの病院が無かったという事情もあり、
   とりあえず自己流の治療でごまかしつつ(この話をドクターにすると、ああ、
   その頃知り合っていたらボクが治してあげられたのになあって言われた。
   全くごもっともです。)試験まで強引に乗り切ろうとしていた矢先、一気に
   体調を崩し救急病院に駆け込む羽目に陥った。



                綾ちゃんの病状についてはまあ、命に関わる病気ではないものの深刻な
   状況であることは確かで、日を改めて罹患部の切除手術を強く薦められた。
   その日は一泊の応急措置的手術で乗り切った。



               これは例えていうなら盲腸炎の手術を勧められているようなもんで現代医学なら
   お茶の子さいさいで完治出来るが放っておくと危険だよっと言われたような感じ。



               でも綾ちゃんは既に申し込んでしまって目前に迫っている試験を逃したく
   なかったし、こういう時こそ色んな自然療法を試してみたいとか思惑が渦巻いて
   ぐずぐずしてしまった。


                そうこうするうち試験の日を迎え、見事大敗してしまうのだった。
   やっぱり、、、って感じだったけど。







       綾ちゃんは毎年アドヴェンツクランツ(聖霊降臨祭のリース。
      第1から第4週まで1本づつ灯の数を増やしつつ楽しむ。)
      手作りします。これ、専用のお皿に乗せるだけで簡単です。
          ちょっと今年は地味にまとめてみました。




2015年11月27日金曜日

ドイツ第一号の中国人自然療法士





自然療法士、この国家資格は当初ドイツ国籍を有する者のみに
受験資格があった。EUの成立とほぼ時を同じくして受験資格はEU国籍の者、
のちに国籍を問わず、となった。



本来この資格はドイツ中に存在していた通称「素人(Laieライエ)」一掃を
目的に作られた物だった。ライエとはズバリホメオパスのことを指す。
もちろん西洋医学が彼らにつけた蔑称である。
ホメオパシー治療には西洋医学の知識は必要ない。ハーネマンの生きていた
18世紀から脈々と受け継がれているドイツ伝統自然療法は
シュタイナーやヒットラーなど時代の大物にそれぞれ保護されたり
擁護されたりしながら細々と生き延びてきた。道具を要しない治療だから
貧しい人々に受け入れられ自然派に守られてきた。常に医学と対立しながら。


ライエを西洋医療的な物差しにはめ込んでしまおう、医学的知識のないものは
治療行為を行ってはならない、というのがこの隠された意味合いだ。
現在のようにアルタナテイフが高級なものになってしまう以前の話。
ついでにそれ以外の民間療法もひとまとまりに自然療法の名でくくってしまった。
中医学やアーユルヴェーダ、カイロなど後続の海外療法もここに属すこととなる。



ちなみに外国人にも門戸が開かれた年に受験、見事一発合格を果たしたのが
うちのドクターで、彼はドイツにおける第一号の中国人自然療法士であった。
医学部に入学後、すぐに(働く必要に迫られて)取った資格である。
もともと中国で医師であったわけだから、ドイツ語さえわかれば
お茶の子さいさいだったよっておっしゃってらした。




カールス門広場名物スケート場オープンしましたねー!
このくまさんが押し車になっていて初心者でもオーケーなんですよね。


いつ見ても壮麗な感じだな。


こっちが裏というか表というか屋台が並んでいます。
子供が小さかった頃は本当によく行きました。
綾ちゃんはおかげでマイシューズ持ってます。



2015年11月26日木曜日

自然療法士養成学校




 自然療法士養成というのは実は中身は自然療法とは何の関係もない、というと
驚く人も多いと思うけどこれは本当の話で九割九部方西洋医学の知識を
詰め込ませられるのだ。国家試験のための予備校だから大切なのは法律的に
何をどこまでやって良いのか悪いのかを徹底的に詰め込まれる。
救命救急などは特に重要で要は医学の分野におけるヒエラルヒーを
徹底させるための通過儀礼のようなものだ。






綾ちゃんは右も左もわからぬ、ドイツ語といえば文学本しか読んだことのない
文学オタクだったわけでとにかく単語がわからなくてめちゃめちゃ困った。
  文章そのものはただの平叙文でA=B的補語文章(This is a pen.的)なのに
一文につき10個以上知らない単語ばかりで医学辞書片手に単語帳作りながら
奮闘したものだ。ラテン語ばかりだし。ラテン語は実は綾ちゃん、大学で
西洋文学専攻生として半必須科目だったのだけれど、驚くほど何も覚えていなかった。
最初の半年間は予習にかかる手間と時間が膨大で子供も小さくて大変だったから
時間を決めてコツコツ勉強していった。




通常は卒業まで3年コース。病理学、解剖学の予備知識のある人は
2年短縮のケースもある。綾ちゃんは子育てで勉強時間が子供が学校に
通っている時間のみと圧倒的に少なかったため、最初から3年で卒業できるとは
考えていなかった。医学の知識ゼロだしドイツ語だとなおさらわからないからね。
実習もいろいろあって聴診器から注射針まで揃えねばならなかったし。
今、思い出してみると本当によくやったなあって思う。
結局、4年半ほどかかったかな、卒業まで。。
でも卒業試験の成績は満足できる結果を出せた。



自然療法の専門領域の方は多岐に分かれているからね。
専門分野は国家試験に通った後(または前)個別に行う。たいていの養成学校には
選択科目、特別講座として自然療法各種の集中講座が設けられている。
でもホメオパシーだとか鍼だとか専門の学校はそれはそれでまた別の独立した
学校がある。


とにかく綾ちゃんは医学の基礎知識は何とかついたんだけど
ドイツで勉強したもんだからほぼ全部ドイツ語でないと分からない!
病気の名前は何とかなるけれど人体の解剖図なんて日本語ではほとんど
どれも言えません。うへへー。







シューベルト 夜と夢 
綾ちゃん夫が芦谷で開催されたエリー アーメリングの公開講座に
行ってきたそうです。年老いてなお美しく素晴らしい歌声だったそうです。




2015年11月25日水曜日

時代の証人





初めてドイツに来た頃、綾ちゃんは学生であまりにも周りの人々が
オープンなのにびっくりしてオロオロうろたえたり、こちらでできた
    友人にハグされたりほっぺスリスリされてひゃあって舞い上がったりしてた。



特に、綾ちゃんの大学の一年上の交換留学の先輩がドイツ人の彼氏を作って始終
ベタベタしているのを見たときはショックだった。ドイツ到着一週間目
くらいだったっけ?学部は違うけれど知的でさっぱりしてて姉御肌の
彼女はクールな印象の方で、お家でパーティーしましょうと言われて
やってきたら彼氏の膝に乗るはぶっちゅーと長い抱擁と接吻を衆目をも
顧みず絡みつくはあたし達を呼んだ目的がよく分からない会だった。
もちろん内心羨望の眼差しもチラリと有ったりするわけなんだけど。




あの先輩はあれから日本に帰国して2年後に遠距離恋愛に終止符を打って
お見合い結婚したって聞いた。
今は某大学の教授になってらっしゃる。





ドイツで1年、2年と過ごすうち、誰しも羞恥心なくベタベタしているんじゃないと
わかってきた。特に「良い社会階層」の人たちは私たちと変わらないのだと
気がついた。ああ、自分は自分のまんまでいいんだなとホッとしたものだった。




病院にいらっしゃるお年寄りの方から意外にもこんなコメントを伺った。



『今時のモンはなっとらん!恥ずかしげもなくいちゃいちゃベタベタしおって!
わしらの若い頃のドイツは皆恥じらいというものを持っとった。
あーゆー変な習慣は戦後、駐留軍のロシア兵が持ってきたんじゃ。』


へー、そうだったんだ。時代の証人ってやつだな。
綾ちゃんもさすがにこれだけ長い事こちらに住んでると、来たばかりの人が
ドイツはこんなですって話してるの聞くと、ああ、それはつい4〜5年までは
なかったのにねーって思ったりする事も多くなってきた。
老婆語りの域まであと一歩だな。





こういう落書きって一体いつ誰が描くんだろう?



2015年11月24日火曜日

ついていけない




綾ちゃんはプライベートでの羞恥心という意味では(多分?)昔のまんまだ。
こっちでの生活が長いせいで日本の人たちの変化についていけない時もある。
今時の人は日本人でもハグとか平気だったり路上でキスする若者だって
普通になっちゃったからね。



以前(もうずいぶん前だ)、日本人駐在家庭のお子さんが事故でお亡くなりに
なるという事件があり、その頃専業主婦だった綾ちゃんは通訳のお手伝いで小児科病棟に
詰めていたことがある。脳死判定がなされ主治医から移植用臓器検体の説明がなされた。
もうこれ以上手の尽くしようがない、最期の時を決断してくれ
(生命維持装置を外す決断)などと重い通訳をしなければならなかった綾ちゃん。
その場の全員、気が遠くなりそうになっていた頃、私たちの重荷を下ろすように
すうっとそのお子さんの心拍が自然に途切れた。
生命維持装置にも反応しなくなった。




あまりにも突然に訪れた不幸な結末にその場に居合わせた日本人、
ご家族と会社の方々、学校の先生、そして綾ちゃん、
女の人たちは皆、抱き合って泣いていた。



綾ちゃんはボランティアだけど通訳だからまだ仕事が
終わったわけじゃない、泣いちゃあダメだ、とググッと涙をこらえながらも
脳がすっかり痺れてしまい思考力ゼロに陥ってしまった。、、、が
この後に及んでやっぱり別の脳は働いているらしくぼんやり目の前に
広がる風景を間違った部屋に入ってしまった人のようにあっけにとられて見ていた。




なんでハグ???




「抱き合って泣く」という表現で綾ちゃんが思い浮かべるのは
何人かの女性たちが一箇所に集まってめそめそする、その時肩を抱き合ったり
ほっぺをすり寄せたりする行動のことだが
その時は女性同士だが、泣きながら二人で互いをぎゅうっと抱きしめ
背中をさすったりして離れまた別の人のところに行ってぎゅうをするという
いわゆるハグだった。



結局綾ちゃんは西洋人の集団の中でぽつねんと一人浮いている時みたいに
その輪の中に入ることができないという別の意味でのショックも体験した。
(まー大したことじゃないんだけどね。)



これはドイツ人の中に入っていけないショックよりもっと大きなショックです。



ちょっと重い話でしたが昔話でした。







パンプキンパイ焼きましたー!あずき入り。






2015年11月23日月曜日

はじらいの境界線






    医療関係者なら解ると思うけど、わしらの世界では身体をさらすことに
     対する羞恥心を持っていては仕事にならない。恥ずかしがっていいのは
デンタルな人たちくらいのもんだろう。




      綾ちゃんは医者じゃないから医学部の様子とかは知らないけど
      自然療法士養成学校はそうだった。ドイツの学校だから特に全体として
     恥じらいの度合いが違うのでびっくり一人赤面する場面も多かった。



注射を打ったり(ドイツでは法律上注射を打ってもいいのは=治療目的で
人体を傷つけることが許されているのは医者と自然療法治療師だけだ。
そう、看護師はこの限りでない。日本はどうなのかな?現実には
ドイツでも看護婦さんが主に注射を打っているけれど法律を盾にとって
注射を打つことを拒む看護婦さん、看護婦に打たれることを拒む患者も
存在する。少数だけどね。)西洋医療的診療の授業なんかではみんな
ヘーキでパンツ一枚になれるし(綾ちゃんはジョギングパンツを持参して
行ったらそんな奴おいら一人きりだった!ジーザス!)。




普通の病理学の授業中でも、しょっちゅう誰かが服を脱ぐ。
一度感染症の授業中に30歳代の女性が突然、手を挙げて立ち上がって
教壇の前まで来るとおもむろにジーンズを下ろして内股の斑点を見せ
「これはどうなんでしょうねえ。実はこれこれのことが最近あったんですけど、、。」
なあんて語り出したりしたことがあったっけ。




綾ちゃんだって毎日仕事で患者さんに触れる。


泣いている患者さんを抱きしめるなんて日常茶飯事だし
(ただし!男性の場合はやらない!)身体の不自由な方の着替えやベットから
起き上がるのを手伝ったりする時には両手で抱きしめる仕草もするし
(これは男性でもやる)治療中に必要であれば下着の中身が目に入ることもある。
綾ちゃんが恥ずかしがってちゃ患者さんが可哀想だもんね。
職業意識のど根性ってのはすごいもんだ。



でもやっぱり素の綾ちゃんはやっぱり元の綾ちゃんのまんまで
きっと誰しもそうなんだろうなって思う。
自分が患者になってみるとわかるもんだ。
恥ずかしいものは恥ずかしい。




2015年初雪



2015年11月21日土曜日

おかげさまで、、、





      ご想像に難くないと思いますが?綾ちゃんの貞操!??は守られました!?
     ていうかこれは綾ちゃんの早とちりだったようで、ドクターは綾ちゃんの
     症状と音大教授夫人を結びつけて考えたりはしなかった。



                      普通に?鍼を打たれたあと30分後に綾ちゃんが自分で鍼を抜いていると
     (さすがにスタッフなのでセルフサービスです)ドクターがもう一度現れて
     再度鍼を打たれた。おお、ありがたや。お昼休みの時間を結局全部潰して
     綾ちゃんのケーススタディに充ててくれたんだ。



                       2度目の鍼のほうが効いたような気がする。でも鍼というのはとことん
     消耗させられる。副交感神経を刺激するのでだるさが頂点まで来るのだ。
     (リラックスを司るのが副交感神経。自然治癒力が断然活発になる。)






漢方薬も飲みました。
朝7時の綾ちゃん出勤時の朝焼け。
健康は大切です。おかげさまでずいぶん回復しました。


ドクターに、オステオポローゼ(骨粗しょう症)とかじゃないの?
と言われてショックを受けている。そ、そんな歳かあ、、、。




2015年11月20日金曜日

おののく綾ちゃん




ある意味恐ろしいことにこの治療は成功した。


もちろん患者さんはドクターの処方した漢方薬も真面目に飲んだし
ツボ押しや吸玉療法なども受けたから鍼だけで全快したとは言い難い。
あの、ビックリする箇所に鍼を打ったのは初回のみで2度目、3度目の来院の
際には普通の(教科書に載っているような)経路に沿っていたと思う。



そうして彼女は治療を終えた。
ドクターにものすごく感謝して。あの後一回いらっしゃったっけ。
お花持ってご挨拶に。


そういうカンケイの人だ。ドクターとは数年に一度しか会わない。
(元々はお亡くなりになったご主人が患者だった。)



綾ちゃんは違う。毎日ドクターと顔合わせてるんだよー!
いやー、足が痛みますか。ふむふむ、ヨシオかさん、ご主人がいらっしゃらないから
肉体的、精神的な渇きが原因ですね。じゃ、ちょっとパンツ脱いで、、、
なーんて訳にいくもんかーい!!!




綾ちゃんはこのような妄想に突如襲われて治療台の上で(つまりすでに
まな板の鯉状態)恐怖に怯えていたのである。





マリエン広場。フランス国旗が掲げてあるのが見えますか?


2015年11月19日木曜日

必殺技?





      そのご婦人はオーストリアの某音大教授夫人で半年前に夫と死別
     なさったばかりだった。声楽がご専門(ご主人)とのことだったが
     会話が弾むにつれ、綾ちゃんと直接、間接の知人があれこれいることが
     わかっていやー、イッツ ア スモールワールドの感に打たれたりして
     すぐに仲良くなった。彼女はご主人を生涯こよなく愛しまた尊敬していた分の
     喪失感が大きく、またそれ以外にもここ数年のうちに次々と周囲の愛する
     人々を(その中には綾ちゃんの知っている名前もあった)亡くしたショックの
     ただ中にいらした。





      彼女の症状は右足(そう、彼女も右足だった)の奇妙な痛みで他はまるで
     健康。整形外科でCT等検査を行ってみたが特に器質的な異常は見られず
     鎮痛剤、ステロイドにビタミンやミネラル剤を処方されたのみで
     鎮痛剤以外は効果を見せずまた鎮痛剤に頼るのも嫌だということで
     来院なさった方だった。




      ドクターは彼女との問診が終わると引き続き治療を開始。熱心に
     幾つかの経穴本と首っ引きになった。



      綾ちゃんがとりあえず痛む場所をさすったり揉んだりしている脇で
     ページをめくりながら時々質問する。喉の渇きはないか?夢見が
     悪くないか?尿の色は?などなど。


      綾ちゃんはとりあえず太陽叢のお灸に切り替えてお腹を温め始めた。
     ドクター、中々ピタリとくる処方に出会わないらしく難しい顔をして本に
     顔を埋めている、、、と、つと顔を上げてのたまわった。





       『原因はご主人がいらっしゃらなくなったことによる触れ合いの
       欠如ですね。精神、肉体、両方の心の渇きがホルモンに作用して
       います。』




      あっと驚く早業でドクターは彼女の下着をおろして(!?)あろうことか
     局部にぽんと鍼を打った。さっと下着を元に戻して、綾ちゃんの方を向いて




        『鍼を抜くとき今の場所に鍼があるのを忘れないようにしてね。』



      と言い置いて(他の場所もひょいひょい打ったけど)出て行った。



      私たちは雷に打たれたようにその場にカタマッテしまった。




          

息子に教えてもらったゲーム。
秋の東京が舞台なんだけどこれがいかにも
ガイジンの目に映る日本の風景。
見慣れてくるとそれらしく見えてしまうのがコワイ。



2015年11月18日水曜日

それだけは、、




          始まっちゃたよ、綾ちゃんの治療。



     今、お昼休みの時間なんだけど、、、ご、ごめんなさーい!!
    なんとドクター自ら綾ちゃんのマッサージを始めた。もちろんお礼なんて
    受け取っちゃあくれない。必死で綾ちゃんのおみ足を揉んでくれてるよ。
    でも、、、あ、あれ?




     『あ、あのー。大変申し訳ないんですが、足、もう片方の方です。』



     いやー、相変わらずおとぼけだな。腹ばい状態の綾ちゃんの足、左右逆
    だって気付かず力技でぐいぐい揉んでくれる。
    気持ちいいけど違うって。仰向けとうつ伏せで左右逆になる失敗は実は
    綾ちゃんも時々やる。ちょっとホッとしちゃうよ。上司が同じ間違いすると。




     でもそうこうするうち、綾ちゃんのアタマをある、比較的最近目撃した
    治療の記憶がよぎった、、、そういえば、あのおばさん(おばあさん、と
    呼ぶべき年齢で相応の見た目だった)綾ちゃんと似たような症状じゃ
    なかったっけ???




    それは綾ちゃんがこれまでに見てきたドクターの治療の中でおそらく
   もっとも驚いた光景だった。も、もしかして、綾ちゃんも同じことになるのかな?




          い、いや、それだけはご勘弁くだせえ!



          詳細は明日のお楽しみ!?



 
   




   

        ここでは日本のメディアの一般的な論調とは隔絶たる
       意見が語られています。歴史的見地も含まれており是非一度は
       聞いていただきたい説です。




2015年11月17日火曜日

まいった

                            


                   まいった。




                   先々週くらいからなにげに痛んでいた右足が正体不明の悲鳴を上げ始めた。
     足の付け根から太もも、膝、ふくらはぎ、足の甲、裏、全部痛い。



                                なんだあ、こりゃあ?



                  これじゃあ、仕事にならんじゃないか。こんな日に限って忙しいんだし。



                 よろよろしながら気丈に振る舞う。ぐぐっ。頼みのドクターもこの忙しさでは
    治療をお願いする訳にもいかんし、、、。



                 あーあ、こんな時、ドイツ人なら何のためらいもなく早退したり病欠取ったり
    するんだろうな。綾ちゃんがいなくなったらどんな騒ぎになるかと想像した
    だけでも震えが来るよ。

                             しかし、一体何事なんだろう?



                 だけどやっぱりドクターはこういう時には目ざとくて仕事の合間に綾ちゃんの
    元へ飛んで来て、



                        『フラウ ヨシオカ、ギックリ腰ですか?湿布薬だけでも貼っといて
      あげましょうか?』




                  ありがとー!でも本当にギックリ腰ならそもそも動けない。腰じゃないし。




                   普段から体力、栄養をつけている綾ちゃん、でももうだめ。
    湿布薬は丁寧に断りついでにやっぱり治療をお願いした。
    もう涙が出そう。後でいいから。



                 ど根性でとにかく仕事を終わった。多分患者さんたちには気付かれなかったと
    思う。


                                  『ささ、早く治療室に入って!』


                                 あーあ、久々のご病気です。

                                  綾ちゃんの運命やいかに?




          
                


     さてさてパリ惨劇の歴史的背景について武田先生の解説が始まりました。
     まだ続くって感じの内容ですけど、まずは拝聴してみましょう。


2015年11月15日日曜日

パリの音、それから黙祷





11月11日、聖マルテインの日、綾ちゃんは久々にガスタイクへ
足を運びました。



ゾル ガベッタ出演のパリ管弦楽団を聴きに行ったのでした。

綾ちゃんは正直いうとあんまりガベッタ好きではないのですが
今回彼女はうちの息子がメインに練習しているサンサーンスのコンチェルトを
弾くというのでこれも何かの縁と勉強がてらに足を運んでみた次第です。



子供達のテルツ時代は通うように訪れていたフィルハーモニー。
ミュンヘン一(いち)のコンサートホールですがモダンな感じがどうも綾ちゃん的には
つまらないと思っていた。オペラ座やプリンツレゲンテン劇場みたいな豪華な華やぎに
欠けるというか、、、。


でも改めて思い知らされました。ここはミュンヘンの「心」なんだって。
音楽への情熱がここに結集されている。


もうコンサートが始まる前から音楽の息吹に酔ってクラクラしていました。


ガベッタのチェロは、その音色を聴く者に「ああ、これを聴けたら死んでもいい!」と
思わせるほどの域には達していない。音楽性も、まだ模索中という感じだ。
(ナマイキ言ってますけどもちろん彼女はチョー上手なんですよ!ちなみに)
けれどそこへ到達するための切符を手にしている人だ。道の途中。
だから自分のオリジナリティーを確立するためにたくさんの試みがあって
そこを感じ取るのは勉強になる。


それより驚いたのはパリ管弦楽団のレベルの高さ。
ガベッタ目当てで来た綾ちゃんはオケの方はノーマークだったので目から鱗!
こ、これがパリの音!!
ガベッタの音楽性を全て吸収して全体として何次元にもわたる
美しい織物を編み上げるように激しくも格調の高いサンサーンスを提示して見せた!


圧巻でした。
後半のベルリオーズの幻想交響曲も言うことなし!笛が(ソロだけでなく)
特にレベル高かった。オーボエ最高でした。





幕間の広間


図らずもあれから2日の後にパリで恐ろしいテロ事件が起こりました。
綾ちゃんは事件の第一報を聞いた時、あの「パリの音」が砕け散った感触に
襲われました。これが破滅の音なのだ、と。



実は綾ちゃん、ここのところずいぶんとドイツで問題になっている
難民のことや政治のことを書こうかどうか考えていました。
病院でも毎日のように患者さんたちから様々な意見を拝聴しています。
ただ綾ちゃん的にはどうも考えがまとまらず未だブログのテーマに出来ずにいました。
もう少し落ち着いたらきっと書き始めます。



今はただ黙祷を捧げたいです。




妊活労働争議?




またまた話がずれるけど、今、ちょっとした風景が広がっている。
不妊治療とそれから妊婦さんの患者さんが多いうちの病院なんだけどね。


この人たち、皆、職場の同僚なのだったりするんだ。
その会社とはドイツ最大手の一つで各種専門書から大衆紙まで
幅広く扱っているドイツ人なら知らぬ者はいない出版社。
さしずめ日本なら講談社、新潮社とか小学館みたいな感じ。
綾ちゃんも独文時代たくさんお世話になったしうちの病院にだって
この出版社から出ている医学書がたくさん置いてある。



ここで働く一人の女性がうちでめでたくご懐妊。彼女は引き続きつわりや
腰痛などの治療に通ってらっしゃる。



この彼女がたくさん同僚の女性をうちの病院に引っ張ってきてくれた。
そして説明してくれたんだ。この会社で今、妊活がブームに
なっている、その訳を、、、。



半年以上前なんだけど、会社で年に一度の総会があった。大手なのに
大会場を借り切って社員全員出席の大規模なお祭りのごとき行事らしい。
その席で役員の一人が事もあろうに問題発言をしたんだって。


うちの会社にキャリアの女性は要らない、オンナは役に立たないから
うちにいて家庭の世話をしろって、、、。


一体、何時代の発言???



その日を境にはっきりと社内の全女性社員の士気が下がって明らかに
効率その他が落ちちゃったんだって。


でね、その彼女は元々赤ちゃんができなくて少しだけ悩んでいたんだけど
この発言でいきなり妊活意欲に火がついて、何が何でも
子供を産んで産休も取って、そしてキャリアとして君臨してやる!と
決意を固めたんだって。


で、めでたくご懐妊。
この朗報を社内中に広めた。


彼女に共鳴する女性たちが我も我もとキャリアママを目指しているということらしい。



いやー、久しぶりに明るくめでたい話題だ。



頑張れー!!




11月11日ガスタイクのフィルハーモニーへ


コンサートに行きましたー!詳細は明日。


2015年11月14日土曜日

わかっていて目をつぶる




ご主人とその上司には綾ちゃんお会いしなかったから
いった何が秘密でそれがうまく守られたのかとかはわからない
(というか関わり合わなくて済んで正直ホッとしている)けれど
楽園さんとは相変わらずお会いしているから、こちらの方では判ったことがある。




即ち彼女は自分が妊娠初期の状態である、かのように振舞っている、ということだ。




つまり、綾ちゃんに対する態度が彼女にとって「一般的な」人との
関わり方!であって、彼女は嘘をついているというよりは自分を騙して
自分に言い聞かせている。辛い現実から目を背けつつ、もう一方の理性的な
自分が何とか収拾をつけようと必死で不妊治療に通っている、、、ということらしい。



こういう、一人の人格の中に巣食うダブルスタンダードって
心の内奥にはいろんな形で存在しているのかもしれないけれど
表面化してくると危険な匂いがする。


大事にならなければいいけれど、、、。






綾ちゃん、自宅で鍼にチャレンジ!自分で打ってみた。
お灸もやってます。


2015年11月12日木曜日

口止め






もしかして、、、って疑いを抱いたのは翌日のこと。




『今日は楽園氏(つまりご主人)、明日は彼の上司がいらっしゃる日なんだけど
楽園さんの不妊治療の件はくれぐれも口外しないように。』




と、改めてドクターの奥様から口止めされたからなんだ。おお、なんと楽園さん、
お忍びで治療にいらしてたんだ。


うちは口コミで患者さんのネットワークが広がっていくから
こういう芋づる式の人間関係が少なくない。
守秘義務なんて当たり前のことだと思っていてもご家族だと
守秘内容の境界線が微妙になってくることがよくあるからね。
本当にまるきりオープンな場合も多いし、その場合は問診を家族みんなで
受けたり患者さん本人がうまく説明できないことを家族やパートナーが
補ってあげたりする二人三脚形、つまりはほのぼのとしたケースは問題ない。


それと違ってどこかに秘密があったりギクシャクした人間関係だと
こっちもちょびっと緊張する。余計なタイミングでうっかり喋るべきじゃない
情報を漏らしてしまうんじゃないかってね。



ただ単にダンナ様をびっくりさせてあげたいだけならいいけど。
例えば、高齢になって妊娠にこだわる自分を自分のプライトが許さないとか。


実は浮気しているご主人をつなぎとめたいとか。古典的だけど。


こちらでは育児休暇を取る男性も本当に多い。
最長3年取れる育休を夫婦で分けてタッチ交代制にする人もいるし。
(仕事を正々堂々と休職出来るこのシステムは本来の育児という目的だけでは
なくて、仕事や仕事上の人間関係に疲れはてた男性にとって素晴らしい息抜きに
なるらしい。)でもそうなると職場に支障をきたすから上司にはバレない方がいい。
事前に閑職に追いやられたりしないためにね。








久しぶりのテラスご飯。豪華スモークサーモンパスタ。
サーモンは30%オフでした。お野菜どっちゃり。




本当は患者さんに近場のハイキングの場所を教えてもらって
出かけるつもりだった。電車がストップしていて中止。やけ酒?です。
ザクロ酒のスパークリングワイン。ちょっと甘すぎた。





調子に乗ってシフォンケーキまで焼いた。カシスクリームといただきます。





2015年11月11日水曜日

仮想想像妊娠?





『お寒くありませんか?毛布をもう一枚かけましょうか?』



鍼の時にはほとんど全裸に近い状態で30分から場合によっては
2時間近く横たわっていなければいないので(綾ちゃんも自分が患者になって
みてわかったんだ)忙しく働きまわっている綾ちゃんと比べると患者さんの
体感温度は全然違う。できるだけあったかくしてあげなきゃいけないんだ。




『ありがとう、ヨシオカさん。私のお腹には大切な卵ちゃんがいるわけ
ですからそおっと、そおっと扱ってくださいね。できるだけ暖かく、
でも重い毛布はダメ。もっと軽いタイプの毛布を持ってきていただけますか?』



え?

不妊治療じゃなかったの?

もしかしてもう妊娠しちゃったの?

それとも「タマゴちゃん」とは人工授精の受精卵のことか?


あれから新しい情報はまだもらってなかったからな。


とりあえずニコニコしてお茶を濁して後でドクターや奥様に尋ねてみたが
特に楽園さんにかんして変わったことはないという。


変なの、、、と特に深く考えていなかったのだがだんだん
本当におかしい、と感じるようになった。



即ち、彼女はドクターの前では普通に振る舞っているのに
綾ちゃんの前でだけあたかも自分が妊婦のように振舞っている、という
わけのわからない状況であるということがわかった。


これって何?

仮想想像妊娠?





綾ちゃんちのお庭からの眺め




テラスの手すりが新しくなりました。


2015年11月8日日曜日

出来ないこともある




夏頃通院してらした44歳の女性がたった3回鍼を打っただけで
妊娠した。ツボ押しもしなかったし(お灸はやったかな?)漢方薬も
飲まなかったと思う。マズイからやだって。
確かあまり時間がないとおっしゃって、さっと来て
パパッと鍼を打ってもらって30分経ったらじゃあバイバイって
感じで颯爽と帰っていくバリバリのキャリアウーマンの女性弁護士さんだった。



そうは言え、彼女はこれまでずいぶん長い事不妊と戦ってきた。
もちろん人工授精も試したし。
これまで妊活にはこれがいい、て事を何でも試してきて甲斐がなかったのに
ひょっこり妊娠、今は全く元気な妊婦さんだ。


彼女がネット検索でうちの病院をべた褒めしたので
一気に不妊治療の患者さんが押し寄せてきたというわけ。
そのうちの一人が楽園さんだった。



でも弁護士の彼女のケースは全くのレアで、40歳代の女性だとほとんどの場合、
やってる治療は更年期障害のそれと変わらない。まずは胎内環境を
アンチエイジング的に良くするんだけど、年齢に逆らうのは並大抵じゃない。
出来ることと出来ないことがあるんだ。



それから彼女等が妊娠を焦る理由はこちらの情報外の事情もふんだんに
含まれている可能性がある。


そのことに思い当たったのは楽園さんの様子がなんだかおかしかったのに
気がついたからだ。








どんな田舎に住んでんだって感じだけどミュンヘン中央駅から
郊外電車で30分離れているだけですよー。
こうやってみるといい環境に暮らしているなあ。