2016年4月1日金曜日

一番太っているのは最上級の人じゃない?(綾ちゃんドイツ語講座)



         今日は比較級と最上級の話でもしようかな。


    不覚にも原級、比較級、最上級の実際に意味するところを知ったのは
   大学院に入った後だったように思う。使いこなせるようになったと思ったのは
   ドイツで働きだしてからだったかな。これが意外に難しいもんなんだ。
   文法的な意味合いを言うならば別に英語もドイツ語も変わらない。
   英語だとロング、ロンガー、ロンゲストって奴だ。



    綾ちゃんがドイツ語の初級文法で習ったときには例文は何とデイック
   (太い)で絵まで付いていて笑ってしまった。だいたいこんな感じ。
              見にくくてごめん。

               

       原級がデイック(太っている=左)、比較級がデイッカー
  (より太っている=真ん中)、最上級がデイックスト(最も太っている=右)
  いやー、ドイツ人ってやっぱり肥満を気にしてるんだなあ。いや微笑ましいぞ。
  綾ちゃんは中学校で英語の比較、最上級を習ったときからずっと物事の比較は
  この順番で表現するのだと単純に思っていた。




              でも、これ間違ってる。


   実際の会話では決してこの順番で物事の有り様は測れない。これらの形容詞、
  副詞は会話の前後がものすごーく重要で比較する対象によって言葉の意味する
  範囲が変わってくる。


       ごくごく一般に言って、痩せてる順番に


      デイッカー<デイックスト<デイック、、、かな??



   ①「やだー、私、太っちゃったあー!」これはデイッカー(以前より太った)


   ②「恥ずかしいわ、だって私が一番太ってるんですもの。」デイックスト(比較の
   対象次第なのでむしろこの女性は一般的に言って全然太っていない可能性すら
   ある。モデルさんたちの会話とかね。)


   ③「彼女は太っている。」デイック(第三者による絶対的価値観だからこの人は
   きっと本当に太っているんだ。)


    ねね、綾ちゃんの言いたいこと、わかってもらえましたでしょうか?



    実際の運用だと比較級を婉曲的に使用することも多いんだ。これはね、
   言葉っていうのは意味を持っているから。形容詞でも、ポジティブに使うときは
   まんまでいいんだけど(これ最高に美味し〜い!とかね)ネガティブな文章の
   時には原級で表現するときつすぎるわけ。何?まっずうーい!とは言わずに
   もう少し塩分を控えたらより美味しかったのに(比較級)、とかね。


    こういう表現を生きた現場で体験してきてわかったんだけれどネイティヴ
   ドイツ人の多くは会話の一つ一つに配慮が細やかで極力穏やかな表現を
   望む。ものすごく直裁に感情を伝える時とすごく抑えるときとそれぞれの
   ツボのようなものが日本語のそれとはいろいろ違っているんだ。



            いや、奥が深いと思うよ。 

    

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