2012年11月22日木曜日
砂漠の彼方に光る井戸 ②
『おはよう、フラウ(ドイツ語のミセスにあたる)ヨシオカ。』
あれ?先生、今日はずいぶん早いじゃない。どうしたのかな?
私 『おはようございます。ドクター。今日はずいぶんお早いんですね。』
うちは8時に受付開始。私は電話を取るので何があってもこの時間には
いるが、完全予約制なので先生は最初の患者さんの時間に合わせてやってくる。
その日は珍しく暇な日で午前中は10時と11時にそれぞれ一人ずつ予約が
入っているだけだった。
先生 『もう少ししたらホフマンさん(仮名)来るよね。』
あはは、やった〜!先生おトボケ!大勘違い!
私 『ドクター、ホフマンさんがいらっしゃるのは明日ですよ。』
先生は時々おっちょこちょいを発揮して失敗したり墓穴を掘ったり
まあ、色々ある。でも今日は誰にも迷惑をかける訳じゃないから
いいよね。仕事は残念ながらたくさんあるしね。先生は勉強家でも
いらっしゃるので空いた時間は文献を勉強なさったり、患者さんの
ケースを検討したりしている。いつも一人で黙々と机についておられる。
そんなお姿を間近で見られるのも私には素晴らしい刺激だ。
さてと、先生にお茶でも持って行こうとした時だった。
ドアベルが鳴って「飛び込み」の患者さんがやってきた。
とても苦しそうに頭をおさえている。
『もう、苦しくて苦しくて我慢できないの。予約なんて
入れてないけどいいでしょう?』
うちは病院だから飛び込みの人は絶対断らない。いや、それにしても
たまたま先生が間違えて早出をして来た日に飛び込むなんてラッキーな
ひとだなあ。普段なら飛び込みだと時間調整が大変で(うちはベットが4台。
一人の患者さんの治療にに最低でも1時間半はかけるから。)患者さんを
待たせちゃったりすることもあるのにね。
先生も先生だ。なんていうか、勘がいいというか、鼻が利くというか、
意味もなく出て来たと思ったらそこに患者が飛び込んで来るんだから
すごい「才能」なんだなあ。
(続く)
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